2番目に注目されたのは20時12~14分で、注目度82.8%。敦康親王が中宮・藤原彰子との別れを惜しむシーンだ。

「しばらくの間、里に下がりますが親王様は怠ることなく、学問にお励みくださいませ」彰子はにこやかに敦康親王に声をかけるが、敦康親王の表情はいつになく暗い。「親王様?」彰子が黙りこむ敦康親王の顔を覗き込むと、「お子が生まれたら、私と遊ばなくなるのでしょ?」と、敦康親王は不安そうに心中を吐露した。「そのようなことはございませぬ」彰子はすかさず否定するが、「私は中宮様の子ではありません。まことの子がお生まれになれば、その子の方がいとおしくなるのは道理です」と、幼い親王は答えた。

さすがに聡明な一条天皇と、皇后・藤原定子(高畑充希)の間に生まれた子である。この歳にして今、自分が置かれている状況を正確に理解しているようだ。「親王様がほんの幼子であられた頃から、親王様と私はここで一緒に生きてまいりました。今日までずっと。帝のお渡りもない頃から、親王様だけが私のそばにいてくださいました。この先も私のそばにいてくださいませ」長年、一条天皇の寵愛を受けられなかった彰子にとって、唯一の心の拠りどころが敦康親王だったのだ。「子が生まれても、親王様のお心を裏切るようなことは、決してございませぬ」彰子の本心からの言葉に、敦康親王にようやく笑顔が戻った。

彰子は出産のため、生まれ育った土御門殿へ戻ってきた。父・藤原道長と母・源倫子が、祖母である藤原穆子(石野真子)とともに彰子を迎える。ずらりと並ぶ女房たちの列の末席にはまひろ(吉高由里子)の姿があった。まひろは穆子のそばに控える赤染衛門(凰稀かなめ)と視線を交わし合った。

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「血よりも濃い絆で結ばれている」

このシーンは、敦康親王の繊細な心情と、彰子が親王を愛しむ姿に多くの視聴者の共感が集まったと考えられる。

わずか12歳で入内した彰子と、幼いころに母・定子を亡くした敦康親王にとって、お互いの存在はなくてはならないものだった。およそ8年もの間、ともに藤壺で過ごした2人は、この頃には実の親子に勝るとも劣らない深い絆で結ばれていたようだ。

ネット上では、「敦康親王、頭いいしいい子だなー」「敦康親王と彰子のシーンは源氏物語の光源氏と藤壺そのままだね」「血よりも濃い絆でふたりは結ばれているんだね」「敦康親王のこれからを考えると切なくなる…」と、2人の関係性に心を打たれた視聴者のコメントが集まった。実際の敦康親王の養育には、彰子の母・倫子が非常に積極的に補佐をしたと伝わっている。

ちなみに道長はこの頃、糖尿病に体を蝕まれていたようだ。敦康親王はこの後、内裏の政争に巻き込まれていくが、聡明な彼はすでにこの時、己の運命を予見していたのかも知れない。

敦康親王を演じる渡邉櫂はNEWSエンターテインメントに所属する関東在住の10歳。バラエティ番組やCMを中心に活躍しており、大河ドラマは『光る君へ』が初出演となる。難しい立場に置かれている敦康親王だが、その演技は「敦康親王さまの演技すごーい」「表情に色気があっていいな」「見た目は年相応なのに表情が大人っぽい」とSNSなどで絶賛されている。渡邉櫂のこれからの活躍にも期待だ。