――ブレイク時の忙しさを一度経験すると、その後、物足りなさを感じることも?

それはありますよ。一発屋なので、全然仕事がない時もありますし、でも、どうしていいかわからないし、お金もないし。

――そういった葛藤をどのように乗り越えてきたのでしょうか。

全然乗り越えてないです。ずっとそのままで、今はたまたま本を書く場所があって恵まれていますが、いつどうなるかわからないので。

――最近では、介護に関する講演も行われるなど、『ポンコツ一家』をきっかけにお仕事の幅が広がっていらっしゃいますね。

呼んでいただけるのはうれしいし、ありがたいなと思います。ただ、介護のことや、認知症、ダウン症に関するイベントが多いので、本を書いている時もそうですが、盛らずに正しく伝えることを意識しています。うちの家族が誤解されるのも嫌ですし、認知症やダウン症の方々が傷つかないようにというのは心に留めています。もちろん、イベントを見に来てくださった方々に楽しんでいただきたいという思いもありますが、一番は誰も傷つけたくないというのがあるので。

――11月18日に50歳を迎えられますが、今後の人生はどのように思い描いていますか?

計画を立ててそれ通り行ったこともないので、どうなるかわからないですね。一発屋になったというのも、最初から一発屋を目指している人なんていないと思いますし、思いもよらぬ方向に行っていて。でも、書くことは続けたいなと思っています。せっかく間口が開いたので、チャンスを生かして、たくさんの方に読んでいただけたら。

――ご自身のプライベートに関してはいかがでしょうか。

自分で稼いだお金で気心知れた仲間たちと食事に行ったり、旅行に行ったり、好きなことができたらいいなというぐらいです。

――執筆業での目標や夢をお聞かせください。

家族以外のことも書いていきたいですし、小説にも挑戦してみたいなと思っています。

――小説の内容はもう思い浮かんでいますか?

考えてはいますけど、まだこれからです。

――家族以外のことも書いていきたいということですが、『ポンコツ一家』もずっと書き続けていきたいという思いでしょうか。

家族次第です(笑)。家族の幸せが一番なので、それありきで本が続くならば続いてほしいと思いますし、私の健康も第一なので、私が病んでしまうようだったら全部捨てて逃げるというのも選択肢の一つとしてあり、「逃げました」と書くかもしれませんし、わからないです。

――改めて女王様キャラでブレイクした経験はご自身にとってどのようなものになっているかお聞かせください。

女王様キャラがあったから『ポンコツ一家』につながっているというか、一発屋だからこそ思い出して『ポンコツ一家』を読んでくださるというのもあるので、すごくありがたい経験をしたなと思っています。何にもなくて『ポンコツ一家』を書いていたら、まだ世に知られていない可能性もあるので、感謝しています。

■にしおかすみこ
1974年11月18日生まれ、千葉県出身。1994年にデビューし、2007年に『エンタの神様』(日本テレビ)で女王様キャラのSMネタを披露しブレイク。2009年には春風亭小朝に弟子入りし、落語家デビュー。高座名は「春風こえむ」。現在は『なないろ日和!』(テレビ東京)などでリポーターとしても活躍中。2021年より「FRaUweb」にて「ポンコツ一家」を連載中。2023年1月に『ポンコツ一家』を刊行した。