アウトドアギアを中心に、高機能ウェアやシューズに搭載されることの多い素材「ゴアテックス」。高い防風性、透湿性、耐水性、耐久防水性で知られている同素材ですが、皆さんケアしています?
筆者もゴアテックスのスノーボードウェアを何シーズンも使っていますが、よく考えたら洗った回数は数回……。というかゴアテックスって普通に家の洗濯機で洗っていいの?
そんな疑問を解消するように、アークテリクスが正しいメンテナンス方法を体験できるという特別なランドリースペース 「ReBIRD HOUSE」を9月20~29日に原宿でオープンしました。
事前の内覧会でゴアテックスの取り扱いに関して学んできましたよ。
アークテリクスの限定イベント
イベントスペース「UNKNOWN HARAJUKU」に限定登場した「ReBIRD HOUSE」。
ここでは、アークテリクスの専門スタッフが正しいメンテナンス方法を伝授し、持ち込んだ製品を一緒に洗濯を行う「ReCARE LAUNDRY」、修理ができない状態のゴアテックス製品の見本展示とゴアテックステクノロジーを体感できる「GORE-TEX EXHIBITION」、廃棄予定のファブリックを活用しオリジナルのネームタグを制作するアップサイクルワークショップ「ReBIRD TABLE」というコンテンツが用意されています。
筆者も昔購入したアークテリクスのジャケットを持ち込んだところ、「古い製品の割に状態は良いですね」と評価。このジャケット、街着用に買ったもので、それはそれは大事に着ていましたからねー。
が、そこはプロの目。「とはいえ汚れて変色している部分もありますね」と細かい指摘が入ります。チェックポイントは特に襟元、手首だそうです。
「皮脂が付くのが最も汚れやすく、それが原因の劣化が多いんですよ。これだと手首のとこはもう結構汚れが顕著で、色も変わっていますね」
ゴアテックス素材は表面がツルツルしているので、汚れを意識することはあまりなかったのですが、指摘された部分をよくよく見ると、確かに色が微妙に異なりますね。
ゴアテックスを洗う理由
ここでゴアテックスのウェアを「なぜ洗う必要があるのか」をレクチャー。
「汚れはウェアの『外側の汚れ』『内側の汚れ』と大きく2つに分けます。外側の汚れで分かりやすいのが雨や雪、また登山であれば砂とか土、春なら花粉や酵素PM2.5などもウェアの表面に付着する汚れに該当します」
そしてウェアの内側が筆者のような襟元や手首周りで、汗に含まれる油分や皮脂、さらには日焼け止め、リップクリームに整髪剤なども油が原料なので汚れと区分すると言います。
そして、ここで秘密兵器? として「汚れを可視化する特殊なライト」が登場。光を当てると少し赤っぽくなります。この赤っぽいのが、皮脂や汗などの汚れなのです!
ゴアテックスのウェアは表地と裏地でゴアテックスメンブレンを挟んで圧着している構造。汚れが付着したまま放置すると、圧着が剥がれて分離してしまう。
そうなると本来のパフォーマンスを発揮できなくなるばかりか、一度分離するともう元の機能性は出せないのです。
もちろん日常着として使うことに支障はないですが、アウトドア環境ではもう使えないのですね。
それを回避し、長く使うためにも洗って汚れを落とす作業が必要だと訴えるのでした。
ゴアテックスの洗い方
ではどう洗えばいいのでしょう。なんか洗剤は専用のものとか、洗う際の時間に制限があるとか……。
といろいろ考えていましたが、実はめちゃくちゃシンプル。
1.首回りや裾などのドローコードを緩める。
2.袖のベルクロと呼ばれるマジックテープの部分も緩める
3.脇にベンチレーション機能が付くモデルの場合は閉める
4.収納ポケットのジッパーは開ける
5.フロントのメインジッパーは閉める
洗う際の注意点は以上です。なおドローコードの「開け閉め」の理由ですが、
「ドローコードを緩めると、その部分のシワが無くなるので汚れが落ちやすくなります。そしてベンチレーション部分を閉じるのは、洗濯中にジッパー同士が重なり合ったり、 生地にあたったりして、擦れや破損を防ぐためです」
「ポケットを開いたままにするのは、洗濯すると止水ジップであっても水圧や圧によって水が入る可能性があり、さらに入った水が逆に外に出にくくなるのを解消するためです」
それ以外は通常の衣類の洗濯と同じ要領で、洗濯用の液体洗剤を規定量に従って使って洗うだけ。
ただし、すすぎは洗剤の説明に記載された回数プラス1回やるぐらいがよいそうです。汚れを残さないことも大事ですが、洗剤が残らないようにとお勧めされました。
こうして短時間の脱水のあと日陰で影干し。水気がなくなってから乾燥機に入れると撥水機能が回復するそうですよ。
今回は陰干しする時間がないので脱水、即乾燥機へと進むのでした。
なお陰干しの有無ですが、スタッフさんの意見では、「陰干しした方がより撥水する実感があります。これは僕らだけでなく、ユーザーさんも同じ意見でした」と明かしてくれました。
大昔は「ビンテージのデニムは洗わず育てる」みたいな意見がありましたが、それは間違いで今は「洗わないと生地に良くない」という考え方が主流です。
ゴアテックスもそれに似ているのが課題で、解消するために、アークテリクスではこのようなイベントで情報発信していると言います。
皆さん、高いゴアテックス製品こそ洗濯大事ですよ! そして陰干し+乾燥機! 理想は使うたびに洗濯だそう。
ただ、、、筆者のろくに洗っていないスノーボードウエアはもう剥離しまくりだろうな……。
「ReBIRD HOUSE」概要
日程|2024年9月20日~29日
時間|11:00~19:00(最終入場18:30)
※9月20日、28日は18:30まで
会場|UNKNOWN HARAJUKU
住所|東京都渋谷区神宮前6丁目5-10
参加費|入場無料