スズキが新型「スペーシアギア」を発売した。SUVテイストの軽ハイトワゴンというジャンルでは先駆者的な立ち位置のスペーシアギアだが、この市場には三菱自動車「デリカミニ」など強力なライバルも登場している。スズキはどう戦うのか。実車を確認してきた。
軽ハイトワゴン市場の現状は?
新型「スペーシアギア」は2023年11月に発売となった現行型「スペーシア」(3世代目)をベースとするSUVテイストの軽ハイトワゴンだ。スペーシアギアとしては約6年ぶりにフルモデルチェンジした2世代目となる。
スズキによると、軽ハイトワゴン市場ではSUVテイストのクルマがよく売れている。2023年度のデータで軽ハイトワゴン全体の販売台数は54.6万台。そのうちSUVテイストは7.3万台(13%)だった。この比率は右肩上がりに伸びている。
SUVテイストの軽ハイトワゴンという市場を拡大させた立役者は初代スペーシアギアだ。このクルマの成功に触発されてか、ここ最近は同市場にライバルが増えてきている。記憶に新しいのは三菱自動車工業「デリカミニ」の大ヒット。ダイハツ工業は「タント ファンクロス」を投入した。昨日発表になったばかりのホンダ「N-BOX JOY」は、いわゆるガチガチのSUVテイストではないものの、N-BOXの中では間違いなくアウトドア派であり、スペーシアギアと競合しても全くおかしくない。
競合とのシェア争いが厳しくなりそうな情勢の中、スズキはスペーシアギアをどう変えたのか。
新型スペーシアギアの特徴は?
「キャンプ・アウトドアはブームから日常へ」。これが新型スペーシアギア開発のテーマだ。スズキが提示するキーワードは「10mile ADVENTURE」。10マイル(約16km)は軽自動車の1日あたりの平均走行距離を意味する。意訳すれば「日常に冒険を」あるいは「日常を冒険に」といった感じだ。
クルマの中身は現行型スペーシアに準ずる。パワートレインは全グレードがマイルドハイブリッド(MHEV)でエンジンは自然吸気(NA)とターボがある。駆動方式は2WDと4WDから選べる。軽自動車では珍しい「オットマン」としても使える後席の新規装備「マルチユースフラップ」や進化した先進運転支援システム(ADAS)なども当然ながら共有している。
スペーシアギアの大きな特徴はアクティブで道具感がありながらもかわいい見た目と内装だ。新型の開発では初代の「無骨かわいい」内外装を継承しつつ、アウトドアギアの道具感をより感じられるデザインを目指した。
スペーシアには標準タイプ、カスタム、スペーシアギア、スペーシアベースと種類がたくさんあるが、スペーシアギアは「これが欲しい!」と指名買いするコアなファンがたくさんいる車種なのだという。スズキとしてはスペーシアシリーズ(標準、カスタム、ギア)で月間1.4万台の販売を目指しており、ギア単体では月間2,000台を目標とする。ちなみに、先代スペーシアでは標準4割、カスタム4割、ギア2割という割合だったそうだ。