マーキュリーは9月17日、中古マンション価格の値上がり率に関する調査の結果を発表した。調査は首都圏、関西、東海で2023年1月から2024年3月末に中古流通した築20年以内の中古マンション(住戸)を対象に、Realnetマンションサマリの新築マンションデータと民間住宅情報会社の中古流通マンションデータを元に値上がり率を算出した。

  • 中古マンションの値上がり率調査

都市部は価値が下がりづらい傾向

  • 都道府県別 価格値上がり率

都道府県別の価格値上がり率をみると、値上がり率が最も高いのは東京都の49.6%で新築分譲当時の約1.5倍の価格に上昇していることがわかる。以下は大阪府の37%、京都府の31%と続く。各エリア共に都市部の値上がり率が高く、郊外エリアは低い傾向にあった。

規模は大きいほど価値が落ちない

  • 物件総戸数別 値上がり率

総戸数別の値上がり率をみると、関西では200戸以上、首都圏では300戸以上の規模のマンションは平均値上がり率が40%を上回るなど、各エリア共に総戸数が多くなるほど値上がり率が高まる傾向にあった。

タワーマンションは別格

  • 建物階数別 値上がり率

建物階数別の値上がり率をみると、各エリア共に10~19階建てと、20階建て以上(タワーマンション)の間で大きく値上がり率が上昇している。また50階建て以上のマンション(東海での中古流通はなし)の値上がり率は首都圏で87.7%、関西で72.3%と他の階数と比べても特に高く、建物階数が高いマンションほど値上がり率が高まる傾向にあると言える。

「駅近神話」は間違いではない

  • 徒歩分数別 値上がり率

徒歩分数別の値上がり率をみると、各エリア共に徒歩分数が短くなるほどに値上がり率が高くなる傾向にある。徒歩16分以上とバス便の物件は徒歩15分以内と比べると値上がり率が大きく下がっていることも分かる。

狭めの住戸とプレミアムな住戸は価格が落ちづらい

  • 住戸専有面積別 値上がり率

住戸専有面積別の値上がり率は、各エリア共に120m2以上の値上がり率が最も高くなった。120m2以上の住戸が供給されるのは、マンション上層階のプレミアム住戸であることが多く、新築時の価格も一般的な住戸と比べると高く値付けされている場合が多いが、中古流通時にはそれを上回る価値がつきやすいことが分かる。

また、40m2台、50m2台、60m2台も全体的には値上がり率が高い傾向が見られる。面積が狭い故に新築時の価格が抑えられていたことに加え、昨今の新築マンションは価格の上昇を少しでも抑えるために専有面積を小さめにする傾向があり、結果として新築分譲当時は狭めだった中古マンションにもファミリー層や共働き世帯が許容できる専有面積が広まってきたことなどが要因として考えられる。

上層階の方が有利

  • 住戸所在階別 値上がり率

住戸の所在階別に値上がり率をみると、各エリア共に所在階が上になるにつれて値上がり率が上昇している。また対象がタワーマンションに限定される20階以上は19階以下と比べて値上がり率が10ポイント以上高くなっている。

北向きが有利

  • 住戸方位別 値上がり率

住戸の主開口部の方位別に値上がり率をみると、各エリア共に最も値上がり率が低いのが南向き、次いで東向きと西向き、最も値上がり率が高いのは北向きで一般的な新築時の価格設定とは真逆の状況になっている。北向きや西向き、東向きの住戸は南向きと比べて新築時に割安な価格設定であるケースが多いことや、4方向に開口部を持つことが多いタワーマンションなどで多く見られるため値上がり率が高くなる要因になっていると考えられる。