大阪・大阪城公園太陽の広場において、「テレビ大阪 YATAIフェス! 2024」が開催されています(9月13日〜16日)。会場内に多くの飲食店の屋台が立ち並び、さまざまな味が楽しめるイベントとなっており、ビザ・ワールドワイド・ジャパンが協賛したことで、多くの店舗でスマートフォンを使ったキャッシュレス決済が可能になっていました。
Visa初のフェス協賛でタッチ決済を猛アピール
Visaは現在、「大阪エリア振興プロジェクト」を展開しています。来たる大阪・関西万博に向けて、キャッシュレス決済、特にタッチ決済を大阪圏で拡大しようという取り組みで、4月からは大阪府内のスーパー「サンディ」「万代」で、6月からは大阪府内の飲食チェーンでキャッシュバックキャンペーンを実施しました。
さらに8月からは第3弾として飲食チェーンの30%キャッシュバックキャンペーンを10月末まで実施中。第2弾では還元率がアップする「Visa割」、第3弾からはVisa割チャンスを追加して、ルーレットで当選すると還元率がアップしています。
Visaはこうしたキャンペーンを今後も実施する予定で、それ以外にも様々な取り組みも行っていく方針です。
その一環となったのが、今回のYATAIフェス!2024への協賛です。このYATAIフェス!は、9月13日から16日まで開催される屋外イベントで、今年で9回目。地域の名産を始め様々な飲食店の屋台が出店して、例年、10万人が集まるという人気のイベントです。
Visaはこのイベントに協賛。Visaがこうした他社主催のイベントに協賛するのは珍しく、フェスのようなイベントでは初めてのことだそうです。イベントでは、「Visaでタッチ」キャンペーンとして、事前登録したカード番号に対して最大500円、30%のキャッシュバックを実施していました。複数カードの登録も可能で、そうすればその分だけキャッシュバックが得られます。
これは、大阪エリア振興プロジェクトのVisa割を活用したもので、プロジェクトに登録したカード番号であっても別に30%・500円までのキャッシュバックが受けられるというものとなっていました。
加えて、フライトソリューションズのTap to Phoneソリューションである「Tapion」を導入。フェスに参加する50の屋台に提供してタッチ決済が利用できるようにしました。屋台によっては決済が現金のみという場合もあり、このTapionを導入することでキャッシュレス決済に対応できるようになっていました。
そもそもクレジットカードのタッチ決済は、世界で急速に普及しています。米国を除く世界のVisaの対面決済において80%がタッチ決済となり、日本でも40%がタッチ決済となりました。
Visaカードのうち、タッチ決済に対応しているカードはすでに1億3000万枚以上が発行されており、利用者側の対応は順調に進んでいて、ほとんどのカード利用者はタッチ決済に対応していそうです。
実際、コロナ禍以前はあまり見かけなかったクレジットカードのタッチ決済が、街中で頻繁に見受けられるようになっています。
それに対して、遅れているのが店舗側の対応です。タッチ決済対応のVisa加盟店も高い伸びを示していると同社は指摘。ただ、現金のみの店だけでなく、古い端末などでタッチ決済に対応していないという例も多くあります。中には決済端末に「タッチ決済に対応していない」という掲示をしている店も見かけますが、これは「利用者からタッチ決済が求められている結果」とVisa側では考えています。
海外からの旅行者の多くはタッチ決済が一般的になっている中、2025年の万博に向けて、大阪でのタッチ決済対応をさらに拡大するために大阪エリア振興プロジェクトを開始したVisaですが、キャッシュバックだけでなく店舗側のキャッシュレス化に向けてTapionの導入を進めたという点が新しいところです。
これまでも、経済産業省がキャッシュレス決済導入に関する助成金も用意するなど、国もキャッシュレス決済拡大に向けた取り組みをしてきました。ただ、フライトソリューションズ代表取締役の片山圭一朗氏は、それでも店舗側の対応は思ったほど伸びなかったと指摘します。
同社の開発したTapionは、スマートフォンをPOSレジとしてタッチ決済を受け付けることで、店舗側のコストを抑えてタッチ決済対応が可能になります。これを今回、出店者に提供することで気軽にタッチ決済対応できることを示して、店舗への拡大、利用者の利用拡大に繋げたい考えです。
今回同社では、京セラのタフネススマートフォンにTapionを導入して提供。店舗側は金額を入力してタッチ決済ボタンを押すだけで、あとは客のクレジットカードやスマートフォンなどをスマートフォンにタッチするだけ。レシートプリンターとの接続なども行わず、支払い後にQRコードを表示して、それを客に読み取ってもらえばレシートが表示される仕組みとしていました。
さらにフライトソリューションズでは、4日間トータル10万人が訪れる規模のイベントでTapionを導入したことがないとして、同社がMVNOとして提供する閉域網に接続するSIMを導入したそうです。無線部はともかくとして、インターネットを経由せずに同社のデータセンターに接続することから、通信が混雑してもなるべく決済ができるようにしたとしています。
ちなみにイベントでは、Tapionの導入は実行委員会側から推奨とされていましたが、現金、QRコード決済、Visa以外のクレジットカードなど、別の支払い手段を導入することは店舗の自由だったとのことです。
今後もタッチ決済拡大に注力
取材当日は平日の会期初日で開始直後だったため、まだ来場者も多くはない状況でした。Tapionを導入した店舗は、専用レーンもあって行列の場合にはサクサクと会計ができそうでした。店舗に話を聞いてみると、普段はキャッシュレス対応している店舗だけでなく、現金のみという店舗もありました。
現金のみの店は、やはり手数料の問題があるということで、単価の低い店では特に手数料率が課題となっているようです。ただ、現金の取り扱いにも手間がかかるため、キャッシュレス対応、特に完全キャッシュレス対応はしたいという声は聞かれました。
いずれにしても導入店舗においてTapionの使い方で困るという声は聞かれず、明快な使い勝手で評判は問題ないようでした。今後、休日に来場者が増えたときに今回の取り組みが威力を発揮すれば、導入店舗のキャッシュレス化が進むだけでなく、その店舗からの口コミで他の店舗にも広がる可能性もあります。
利用者側も、キャッシュバックや決済がスムーズであることを体験して、これ以降の支払いでも積極的にタッチ決済を使うようになるかもしれません。
大阪・関西万博関連では、今後も気運を盛り上げるためのイベントが開催される予定で、フライトソリューションズでは、同様にキャッシュレス化が必要なシーンでのTapion導入のアピールを狙います。Visaにとっても、キャッシュレス化、タッチ決済拡大に向けて今後もイベントなどに積極的に参加していきたい考えを示しています。