「いつ達成する?」大谷翔平は「50-50」すら通過点に!? 快挙を逃す”可…

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ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手をめぐる今のファンの最大の関心は、50本塁打50盗塁達成の可能性だろう。「40-40」を8月中に達成した大谷選手はいつ「50-50」を達成できるのか?今回は、これまでの本塁打や盗塁の推移や過去の「40-40」達成選手との比較、さらに障害となる要因も含めて分析したい。(文:島倉孝之)
 

「40-40」達成までの歩み
 
 現地時間(※以下時点は同じ)8月23日のタンパベイ・レイズ戦で、MLB史上6人目の40本塁打、40盗塁の「40-40」を達成した大谷翔平選手。ファンの関心は、50本塁打、50盗塁の「50-50」の達成可能性に移った。
 
 大谷選手の数字は、9月2日のアリゾナ・ダイヤモンドバックス戦終了時点で44本塁打、46盗塁まで伸びている。残り試合数を考えても「50-50」の達成の可能性は十分にあると考えられるが、この達成を妨げるものがあるとすれば何か?今季の本塁打や盗塁の推移、今後の対戦相手、過去の「40-40」達成選手などとの比較をもとに占っていく。
 
 まず、大谷選手の「40-40」達成までの歩みを以下に示す。
 


 
 先行した本塁打数の伸びに盗塁数が追いつき、本塁打、盗塁ともにチーム129試合目の8月23日に「40」を達成した。「20」達成までのペースに比べ、以降「40」達成までのペースは、本塁打で1.4倍、盗塁で2.4倍に加速している。30盗塁達成後40盗塁までに18試合しか要していないのも特筆すべき点だ。
 
 2つの数字につき、10試合ごとの数字の変化をみると以下のようになる。
 

 
 チーム71試合目(6月14日)~90試合目(7月6日)で計11本の本塁打を量産している一方、チーム90試合目を過ぎてからは2試合に1つ以上のペースで盗塁を記録し続けている。このグラフからは、シーズンの経過とともに達成のペースを上げていく大谷選手の特徴が明らかになる。





達成者との比較、「50-50」のその先も…?

 大谷選手と同じく、30歳ごろに「40-40」を達成した経験のある以下の2選手と本塁打、盗塁の増加ペースを比較する。
 
 バリー・ボンズ選手(1996年、サンフランシスコ・ジャイアンツ:42本塁打、40盗塁)   
 アルフォンソ・ソリアーノ選手(2006年、ワシントン・ナショナルズ:46本塁打、41盗塁)
 ※括弧内は達成年及び当該年の所属
 


 
 これらをみても、終盤に近付くほど大谷選手の後半の数字の伸びが顕著になっている。盗塁達成のペースをみると、チーム100試合目を過ぎて大谷選手のペースが上がっているほか、ボンズ選手はシーズンの最後にペースを上げ40盗塁を記録している。
 
 本塁打の達成ペースをみると、80試合目以降は大谷選手とソリアーノ選手がほぼ同じペースになっているが、ソリアーノ選手は、50本塁打達成を目前にした130試合目以降はペースが失速し、50本塁打には届かなかった。
 
 次に、現地時間9月2日終了時点における、残り試合のドジャースの対戦相手と大谷選手の今年これまでの対戦成績を示す。
 

 
 単純計算で、上記対戦相手には、2.8試合に1本の本塁打を打ち、3.1試合に1つの盗塁を決めている。これを残り試合にあてはめれば、本塁打は8~9本、盗塁は7~8個加算できる計算になる。対戦相手別に細かく計算すれば、本塁打は残り試合で10本以上、盗塁は7以上記録する計算になる。
 
 これまでの経緯を振り返ると、シーズン終了時までに、多くのファンのイメージよりも早く「50-50」を達成する可能性すらある。9月の最終週には、「55-55」の可能性の話すら出てくるかもしれない。
 
 では、どこまで伸びるのか。101試合目以降の達成ペースが上記残り24試合も継続するならば、単純計算で、本塁打52~53本、盗塁数60~61になる。「50-50」の達成は、9月20日からのホームでのロッキーズ3連戦のタイミングとなるか。








「50-50」達成の障害になり得るのは…?

 こうした中、あえて「50-50」の達成の障害となるものを私なりに以下に列挙した。下記以外に故障などの不測の事態もある。
 
1)期間ごとの本塁打数、盗塁数の偏り
 大谷選手に本塁打が連続して出なかった最長の試合数は5月18日~28日(第2試合)の10(うち1試合欠場)で、開幕から4月2日までの8試合がこれに次ぐ。
 
 盗塁は、本塁打に比べて数字が伸びる時期と伸びない時期の差が大きく、開幕2戦目~4月12日(15試合)を含め、10試合以上連続で盗塁のない期間が3つある。残り24試合にこの期間が生じると達成に影響する。
 
2)「あと1つ」の難しさ:記録達成の重圧
 達成直前の難しさとして、ニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ選手の例がある。同選手が2022年にアメリカン・リーグ本塁打記録を更新した際、あと1本~タイ記録まで8試合、さらに新記録まで6試合を要し、シーズン最終戦の1つ前の試合でようやく達成した。
 
 「あと1つ」はどうしても難しいものだ。前記2006年ソリアーノ選手も50本目前で本塁打が出なくなった。
 
3)ポストシーズン進出がかかるチームとの対戦
 地区優勝を争うサンディエゴ・パドレス、アトランタ・ブレーブスなどポストシーズン進出可能性を残すチームとの対戦が残り試合の半分以上だ。勝負を優先して大谷選手を申告敬遠する可能性が上がり、本塁打の可能性が下がる。
 
4)ポストシーズンへの調整に向けた欠場の可能性
 ドジャースがポストシーズン進出を早く決めた場合、残りの消化試合は、ポストシーズンへの調整に向け大谷選手を休養欠場させる可能性が高くなる。まして、大谷選手は5月の3試合欠場を除き今季は試合に出続けている。
 
 もし上記の事態が起こればどうすればいいか。私の考えは単純だ。本人が一番欲しいものは、まだ経験のない勝利のシャンパンの味のはずだ。ポストシーズン進出、ワールドチャンピオンという最大の目標に向けてできることをやっていけばいい。
 
 この目的に立ち返れば、多少の波はあっても「50-50」の数字はおまけとしてついてくるように見える。



 
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【了】