第50期棋王戦コナミグループ杯(共同通信社と観戦記掲載の21新聞社、日本将棋連盟主催)は挑戦者決定トーナメントが進行中。8月26日(月)には近藤誠也七段―狩山幹生四段の一戦が東京・将棋会館で行われました。対局の結果、序盤から一度も形勢を譲らない盤石の指し回しを見せた近藤七段が93手で勝利。ベスト8入りを決めています。

新鋭のお手並み拝見

近藤七段は佐藤天彦九段、狩山四段は永瀬拓矢九段に勝っての登場。両者の初手合いとなった本局は先手の近藤七段が角道を止めて矢倉戦に誘導します。対して守備重視の指し回しを好む後手の狩山四段も矢倉囲いを作り盤上は持久戦へ。ともに一歩交換を果たして徐々に戦いのときが近づきます。

四手角の要領で角を右辺に転回した近藤七段はここから鋭い指し回しでリードを奪います。敵玉そばの2筋に歩を垂らしたのは玉の可動域を狭める絶好の利かし。こうしておいて右銀を繰り出していけば敵玉周辺で十分に手が作れると見ています。狩山四段は局後「こちらだけが終盤戦の形に」と後悔を口にしました。

近藤七段が攻め切り快勝

気分よく攻め続ける近藤七段に好手が続きます。取られそうな桂を相手の歩頭に差し出したのは角の成り込みを見込んだ遊び駒の活用。続いて打ち込んだ2筋の銀は序盤での利かしを最大限に生かす一手で、後手からの反撃が間に合っていないこともありここで近藤七段の優勢が明らかになりました。

終局時刻は17時44分、最後は自玉の受けなしを認めた狩山四段が投了。終局図で近藤七段の矢倉囲いには一切手がついていない快勝譜でした。勝った近藤七段はこれでベスト8一番乗り。次戦では三浦弘行九段―豊島将之九段戦の勝者と対戦します。

水留啓(将棋情報局)

  • 棋王戦本戦は5度目の参加となる近藤七段、ベスト8進出は自身ベストの成績だ

    棋王戦本戦は5度目の参加となる近藤七段、ベスト8進出は自身ベストの成績だ