• 大貴さん(左)と母・貴美子さん (C)フジテレビ

そんな大貴さんと二人三脚で歩んできた貴美子さんについては、「本当に人生を大貴くんに捧げているんだなと、前回の放送の時も感じたのですが、今回もまた強く感じました。後編で、自分の婚約指輪を売ろうか…という場面があって、僕は“そんなに大切なものを、本当にいいんですか?”と心配になるくらいだったのですが、自分の人生よりも“大貴のために”という意志の表れだと思いました」と実感。

前編では冒頭から、母と息子がケンカするシーンもあったが、「大貴さんは切羽詰まったりすると自分をコントロールできなくなることが多いので、そこからいい方向に持っていけるのは、さすがお母さんだなと思います」と“名コンビ”ぶりを発揮している。

今回はサブタイトルに『時々父さん』とあるように、父・充明さんの物語が、前回よりも描かれている。

「お母さんとはまた違うやり方で家族を支えたいという気持ちを持っていますよね。カッコつけようとせず、自然体で家族のために頑張ろうという感じが伝わってきます。今回一つ良かったなと思うことがあって、お父さんは、28歳から続けてきた歯科医を84歳で引退することに決めて、もしかしたら自分の生きがい的なものが急になくなってしまうのかなと感じたんです。でも、大貴くんを支える中でコーヒーを学んで、そこが新たな生きがいになっているようで、すごく素敵だなと思いました」

分かりづらい障害…放送で理解促進も図る

今回の取材は約1年に及んだが、その間に大貴さんに大きな変化を感じたという真壁D。

「前編ではケーブルテレビが取材に来ても厨房に隠れていましたが、だんだん“コミュニケーションを取ろう”という意識がすごく見えてきました。それに、今までは“お母さんがいるから、この店は何とかなる”という考えがどこかにあったように思えましたが、今では“自分がなんとかしていかなきゃ”という意識を持ち始めたように感じます。現時点でできることは少ないので、大貴くんだけでやっていけるようになるのは、まだまだ先だと思うのですが、責任を意識するようになったのはとても大きいと思います」

前回の放送を見た貴美子さんからは「ありのままを描いてくれて良かった」、大貴さんからも「頑張ったところを映してもらえた」と感想を受けたそうで、今後もこの家族を追っていく考え。「大貴くんと同じ障害のある人たちだけでなく、支える家族という立場でも通じるところがある人は多いと思うので、大貴くんが頑張っている姿を見せて伝えたいと思います」と意気込む。

一見、障害があるように捉えられないが、「そこが大貴くんの障害の難しいところだと感じます。深くまで一緒に時間を過ごさないと、分かりづらいところがあるので、学校でもいじめられてしまったというところもあったと思います」と解説。今回の番組を通して、少しでも理解を広げていきたい考えだ。

  • 真壁優仁ディレクター