ナレーションを読むにあたって、「皆さんが一日一日を楽しく、しんどく生きているので、悲しくしちゃいけないと思いました。その気持ちは、ディレクターさんの構成や映像に込められていたので、それを無視しないように意識しました」とのこと。

これまで『ザ・ノンフィクション』でナレーションを担当した際は、収録中に涙することもあったが、「今回は家で、後編の最後のシーンを見た時に泣いてしまい、読めなくなってしまいました。だから、本番ではちゃんとしゃべりきるぞという思いでした」と、より集中力を高めて臨んだ。

その涙は悲しさによるものではなく、「あの家族の皆さんに光が見えた喜びですね。とても感動しました」と予告している。

  • 店の今後について話し合う母子 (C)フジテレビ

もし子どもが役者の道を志したら…

中学生と小学生の母親である永作。子どもたちは、すでに将来のことについて意識している印象があるそうで、「昔だったらまだ全然遊んでる年齢でしたよね。ただ、経験が全くない中で考えさせるのは、かわいそうだなとも思います」と同情しながら、「とにかくいろいろやってみて、好きなことを見つけるしかないですよね。親は余計なことを言わずに時に鼓舞しながら見守るしかないです」と立場を語る。

自身と同じ役者の道を志すこともあるのかと聞くと、「言わせません(笑)。私が体験してこの仕事のことは分かったので、別の仕事をやってほしいです。そしたら、私が違う経験を感じられるので(笑)」と冗談めかしつつ、「やっぱり頑張って自分で生きてほしいですからね。同じ仕事をすると、ちょっと甘えられそうな気がするので、私が口を出せないようなことをやってほしいです」と願った。

そんな子どもたちは、頻繁に料理を作ってくれるのだそう。

「下の子は最近、卵焼きに目覚めたみたいで、毎朝作ってくれるので、一切れもらって食べています。上の子は美味しいものが大好きなので、それをただただ作りたい欲求で、私が作るレシピを“教えて”と言ってくるんです。一緒に台所に立つこともあるんですが、あまりにも汚すので、“来るな! 来るな!”と言ってます(笑)」

気になるお味は「悪くないですね。センスがあるなと思います」というが、その前提として、「自分からやろうと思う意識は素晴らしいことだと思います」と評価した。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した永作博美

●永作博美
1970年生まれ。茨城県出身。1994年、ドラマ「陽のあたる場所」で女優デビュー。2011年、映画『八日目の蝉』で日本アカデミー賞最優秀助演女優賞受賞。近年の出演作に映画『朝が来る』、Amazon prime配信ドラマ『モダンラブ・東京』、舞台『月とシネマ2023』など。2022年放送の連続テレビ小説『舞いあがれ!』(NHK)ではヒロインの母親を演じた。朗読を務めた湊かなえさんの短編集『サファイア』がAmazonオーディブルで配信中。