35度が当たり前になってきた日本の猛暑には、涼しい食べ物が欲しくなる。例えばところてん
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ちゅるちゅるのところてんに酢醤油をかけてからしをつければスーッと体温が下がる気がする。ところがこのところてん、大阪では酢醤油をかけないらしい

大阪の商店街でご夫婦にところてんについて聞くと「スイーツ系やな」と言う。スイーツ?「黒蜜かけて」と言うので驚いた!「東京は黒蜜じゃないんですか?」いや、大阪は黒蜜なんですか?

おっちゃんらに聞いても「黒蜜で食べるやつや」と同じ回答。「じゃあ何かけるの?」と逆に聞かれて「酢醤油です」と答えると「あんた田舎もんやわ」と見下される。

おねえさんたちに「僕らはところてんに黒蜜は信じられない」とついつい言ってしまったら「なんか、喧嘩か?」と喧嘩腰で返された。いえいえ、そんなつもりは・・・。

大阪では誰に聞いても、ところてんには黒蜜をかけると言う。酢醤油をかけるなんてありえないらしい。

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東京の亀戸にある和菓子の老舗「船橋屋本店」の名物、くず餅にはもちろん黒蜜がかかっているがところてんは?広報の方は「ところてんには酢醤油とからし」だと答える。ですよね〜。「関西のお客さんが来て知りました。え?あっちは黒蜜かけるの?」驚いて「何かの間違いかと思った」そうだ。

大阪のご家庭にお邪魔し、ところてんを楽しむ様子を取材。買ってきたところてんを、スイーツっぽいガラスの器に入れて、当たり前のように黒蜜をたっぷりかけている。

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夏はさっぱり食べたいのでは?と聞くと「デザートだから甘くしたい」酢醤油をかけると聞いて「なんか、江戸って感じですねえ」と小馬鹿にしたように言う。

別のお宅の女子会にお邪魔すると、なんとところてんに黒蜜をかけた上にきなこをかけている

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「大阪はきなこいれなあかんねん!」どうしてきなこを?「料亭のスイーツになる!」きなこをかけると京都に来た感じになるという。かけてなかったら?「道頓堀!」そんなに違うの?

なぜ大阪ではところてんに酢醤油ではなく黒蜜をかけるようになったのか。大阪調理製菓専門学校の出口勝正さんが教えてくれた。

「ところてんは奈良時代に遣唐使を通じて中国から日本にやってきました。最初は酢とからしで味付けしていましたが、関西では江戸時代に薩摩から黒砂糖が輸入され、これを黒蜜にして食べるようになりました。

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一方関東では江戸時代に醤油づくりが盛んになり、その醤油を旨味を足すために加えるようになったのです。江戸っ子は何でもかんでも醤油をかけますから。て言ったら江戸っ子に怒られますね。」と笑いながら答える出口先生、なかなかお茶目だ。

さて黒蜜しか知らない大阪の皆さんに酢醤油でところてんを食べてもらった。母と娘のお二人にも試してもらうが、ズルッとすすったお母さんが、エホッエホッとむせてしまった。慣れないと酢にむせちゃうんだね。もう一口試してくれたがやはりエホッエホッ。

別のご夫婦にも酢醤油のところてんを試してもらったが「まずいなあ」「とんでもない味」と超不評。口直しに黒蜜のところてんを出すと爆食い!「うん、うまい!」と完食してしまった。

ちなみに全国的に見るとほとんどの地域でところてんは酢醤油、黒蜜で食べるのは近畿圏のみで少数派。酢醤油で食べるのが、田舎もんってことないと思いますよ、おっちゃん!