パリオリンピックが開催され、選手たちが熱き戦いを繰り広げた今夏。スポーツ熱が高まっている今、水泳、卓球、ボクシング、スケートボード、ブレイキンなど、この夏話題となったスポーツを題材とした映画を紹介する。

  • 『ザ・ブレイキン』メインカット

■『クール・ランニング』 (1994年)

1988年、カルガリーのオリンピックで世界中に注目されたチームがあった。それは、冬季五輪史上初の南国ジャマイカのボブスレー選手団。彼らの予想外の大健闘という実話を基に、とびきり愉快で心暖まるこの映画が作られた。ジャマイカ選手の陽気で勇気ある挑戦に、心から声援を送りたくなる!ジャマイカの陸上競技100mの有力選手デリース(リオン)は、最初で最後の挑戦となるオリンピック出場を目指して練習に励んでいた。しかし、運悪く最終予選で転倒、夢を絶たれてしまう。が、どうしてもあきらめきれない彼は、とんでもないことを考えつく。それは、常夏の南国ジャマイカ始まって以来の“冬”のオリンピック出場だ!?オリンピック出場の夢に破れたジャマイカの陸上選手が、あきらめずに冬季五輪のボブスレーに挑戦する姿を実話をもとに描いた。集まったのはボブスレー経験のない陸上選手とその幼なじみ。4人はカルガリー五輪を目標に練習に励む。氷上での経験不足を克服するため、シンクでイメージトレーニングをするなど笑えるシーンが満載。「ライオン・キング」でアカデミー作曲賞を受賞したハンス・ジマーの音楽も、コメディドラマを盛り立てている。

■『ウォーターボーイズ』 (2001年)

ひょんなことからシンクロナイズドスイミングに挑戦することになった男子高校生たちの奮闘を、実在の高校水泳部をモデルに描いた青春コメディ。唯野男子高校水泳部の部員は3年生の鈴木ただ1人で、廃部の危機に陥っていた。そんな中、美人教師・佐久間が顧問に就任したことをきっかけに、部員数は一気に30人に膨れ上がる。しかし佐久間が本当に教えたかったのは競泳ではなくシンクロで、それを知った途端にほとんどの部員が逃げ出し、鈴木を含む5人だけが取り残されてしまう。渋々シンクロをすることになった彼らは、学園祭での発表を目指して特訓を開始するが…。大ヒットを記録し、主演の妻夫木聡や共演の玉木宏、監督・脚本を手がけた矢口史靖の出世作となった。

■『ミリオンダラー・ベイビー』(2005年)

「グラン・トリノ」「ミスティック・リバー」のクリント・イーストウッドが監督・主演のヒューマン・ドラマ。小さなボクシング・ジムを営む老トレーナー、フランキー。ある日、31歳になる女性マギーがフランキーに弟子入りを志願するが、追い返してしまう。フランキーの親友スクラップは、諦めずジムに通うマギーの素質と根性を見抜き、目をかける。フランキーはついにトレーナーを引き受けるのだが…。イーストウッドが自らフランキー役を務め、マギー役のヒラリー・スワンクが「ボーイズ・ドント・クライ」に続いて2つ目となるオスカー像を手にし、さらに共演のモーガン・フリーマンも初のオスカーを受賞した。

■『ミックス。』(2017年)

ドラマ『リーガルハイ』で知られる人気脚本家・古沢良太のオリジナル脚本作品。新垣結衣と瑛太がダブル主演を務め、卓球を題材に、男女混合ダブルス(ミックス)を通じて巻き起こる人間模様を描いた。幼い頃、卓球クラブを経営していた母のスパルタ教育により、天才卓球少女として将来を期待された多満子だったが、母の死後は普通の人生を歩んでいた。ある時、恋人を会社の新人社員に寝取られたことをきっかけに、逃げるように田舎に戻った多満子は、いまや赤字経営に転落した卓球クラブを立て直すことになる。そのために全日本卓球選手権の男女混合ダブルス(ミックス)部門への出場を目指すことになった多満子は、クラブに通う落ちぶれた元プロボクサーの萩原とコンビを組むのだが……。監督は、同じく古沢のオリジナル脚本作品『エイプリルフールズ』を手がけた石川淳一。2021年の東京オリンピックで女子シングルス銅メダルを獲得した伊藤美誠をはじめ、元卓球選手の石川佳純、水谷隼も登場する。

■『mid90s ミッドナインティーズ』(2020年)

1990年代半ばのロサンゼルス。13歳のスティーヴィーは兄のイアン、母のダブニーと暮らしている。小柄なスティーヴィーは力の強い兄に全く歯が立たず、早く大きくなって彼を見返してやりたいと願っていた。そんなある日、街のスケートボード・ショップを訪れたスティーヴィーは、店に出入りする少年たちと知り合う。彼らは驚くほど自由でかっこよく、スティーヴィーは憧れのような気持ちで、そのグループに近付こうとするが…。ジョナ・ヒル自身の半自伝的な10代の想い出をもとに珠玉の青春映画へと作り上げられた本作とタッグを組んだのは、日本での『ミッドサマー』の大ヒットも記憶に新しく、『レディ・バード』『ムーンライト』などアカデミー賞の候補作を続々と送り出すなど、世界中の映画好きから注目の的となっている気鋭の映画スタジオA24。懐かしくて新しい90年代への愛情と夢をたっぷりに描いた少年たちの成長物語はあらゆる世代の共感を呼び、ナショナル・ボード・オブ・レビューのトップ10インディペンデント映画にも選出、全米4館からスタートしたにも関わらず1200スクリーン超まで拡大するスマッシュヒットを記録した。

■『ドリームプラン』 (2022年)

ウィル・スミスが主演・製作を務め、世界最強のテニスプレイヤーと称されるビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界チャンピオンに育てあげたテニス未経験の父親の実話を基に描いたドラマ。リチャード・ウィリアムズは優勝したテニスプレイヤーが4万ドルの小切手を受け取る姿をテレビで見て、自分の子どもをテニスプレイヤーに育てることを決意する。テニスの経験がない彼は独学でテニスの教育法を研究して78ページにも及ぶ計画書を作成し、常識破りの計画を実行に移す。ギャングがはびこるカリフォルニア州コンプトンの公営テニスコートで、周囲からの批判や数々の問題に立ち向かいながら奮闘する父のもと、姉妹はその才能を開花させていく。2022年・第94回アカデミー賞では作品賞、主演男優賞、助演女優賞ほか計6部門にノミネートされ、主演男優賞を受賞。ウィル・スミスが3度目のアカデミー賞ノミネートで初のオスカー像を手にした。

■『ザ・ブレイキン』 (2024年9月13日公開)

パリオリンピックの新種目として注目を集めたブレイキンを題材とした本作は、ある悲しい事故をきっかけに不仲になった兄弟が、世界選手権のイギリス代表選手に選ばれ、再三の危機を乗り越えながらチームを世界のトップに導こうと奮闘していく青春ブレイキンムービー。監督は、ストリートダンス選手権で優勝を目指す若者たちの成長を描き、大ヒットシリーズ『ストリートダンス』を手がけたダニア・パスクィーニとマックス・ギーワ。ブレイキンの魅力を映像で正確に捉えながらエンターテインメント性の高い作品に仕上げた。主演はカラム・シンとケルビン・クラーク。カラムはイギリスのブレイキン強化選手で世界的にも 有名なブレイカーであり、ケルビンはダンスグループに所属して世界ツアーを行っているトップパフォーマー。振り付けは、世界屈指のブレイキンチームメンバーのニーク・トラア。「撮影中にブレイキンを完璧に調和させて、多くの刺激を与えてくれた」と主演の2人に言わしめた。サウンドトラックはワーナーミュージックとのコラボレーションで、音楽スーパーバイザーのジェン・イーガンが本格的かつ親しみやすいラップ、ヒップホップ、ブレイクビーツ等の音楽を集めている。また、劇中にチームジャパンとして2005年に京都で結成された「BODYCARNIVAL」が登場する。爆発的で独創性に富んだ日本が誇るトップブレイカー福島あゆみ選手の出演にも注目だ。

  • 『ザ・ブレイキン』場面写真

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