ドジャースの”緊急補強”は成功?失敗? 今季のトレードを徹底評価!【コ…

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 トレードデッドラインが過ぎ、本格的にプレーオフを見据えた戦いを迎えているメジャーリーグ。過去にはマックス・シャーザーとトレイ・ターナーを同時獲得するなど、大きな賭けに出ることあったロサンゼルス・ドジャースだが、今季のトレードではどうだったのか。今回はドジャースのトレードデッドラインの動きについてまとめた。(文:Eli)
 

今シーズンのメジャーリーグは
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 今回のトレード評価をするにあたって2つの視点を導入したい。一つ目は「トレード単体の評価」だ。これは単純に放出した選手と獲得した選手の価値を天秤にかけた上での評価だ。二つ目は「トレードの影響評価」だ。こちらはドジャースの弱点を補強するうえでトレードの影響を評価する。
 

エドマン/コペック三角トレード
トレード単体の評価 B
トレードの影響評価 A-
 
■ドジャース獲得
・マイケル・コペック(CHW) ~25年シーズン
・トミー・エドマン(STL) ~25年シーズン
・オリバー・ゴンザレス(STL) 17歳
 
■ドジャース放出
・ミゲル・バルガス(CHW)
・アレキサンダー・アルバトス(CHW)
・ジェラル・ペレス(CHW)
・後日指名選手(CHW)

 

 
 3チームが絡む複雑なトレードだが、このトレードでドジャースは内外野守れ、かつ平均程度の打撃力を持つトミー・エドマンと剛腕リリーフ右腕のマイケル・コペック、さらには17歳の有望株を獲得した。
 
 代わりに放出したのは内外野守れ、既にメジャーでの経験があるミゲル・バルガスと2人のプロスペクト、米分析サイト『Fangraphs』ランキング28位の19歳内野手、アレキサンダー・アルバトスとランク外の19歳内野手ジェラル・ペレスを放出した。
 
 トレード単体では放出・獲得選手のバランスが取れている感じだ。エドマンは開幕前に右手首を痛めた影響で今季プレーしておらず、コペックは成績が低迷しているなどのマイナス要因が多く、市場での価値もトップクラスではなかった。
 
 対してドジャースが放出した3人のうち、バルガスは既にドジャースでの将来が見え始めていて、プロスペクトの2人もトッププロスペクトではない。
 
 一方でエドマン、コペック共に化ける可能性があるアップサイドが大きいトレードでもあった。2人は来季までの保有権があり時間がある。
 
 エドマンは運動能力が高く守備が上手いため出場機会は多く、ドジャースの打撃改造能力をもってすれば才能が開花するかもしれない。
 
 コペックは球速が速く、リーグトップクラスの奪三振能力を持っている。制球力に難があるため成績が良くないが、投げるボールの質はシャットダウンクローザーのそれと同等だ。







“補強ポイント“ローテーション投手を獲得
 
フラハティ―のトレード 
トレード単体の評価 B+
トレードの影響評価 B+
 
■ドジャース獲得
・ジャック・フラハティ―
 
■ドジャース放出
・トレイ・スウィーニー
・タイロン・リランゾ

 

 

 インパクトのある先発投手を求めていたドジャースはデトロイト・タイガースのタリク・スクバルやシカゴ・ホワイトソックスのギャレット・クロシェの獲得をデッドラインの1週間前から模索し、直前まで交渉を続けたが対価が高く断念。プランBとして獲得したのが今季先発投手として復活を遂げたジャック・フラハティ―だった。
 
 対価としては『Fangraphs』 ランキング26位のショート、トレイ・スウィーニーと同4位のキャッチャー、タイロン・リランゾを放出した。
 
 このトレードも双方ウィンウィンのトレードだ。ヒューストン・アストロズが菊池雄星を獲得した際にマイナーを焼失させるパッケージを出したが、それと比べると落ち着いた印象がある。これにはフラハティ―のメディカルチェックにおいて懸念点が見つかったことも要因として挙げられる。
 
 ドジャースのマイナーシステムではスウィーニーは年末にルール5ドラフト対象であり、また22歳でランキング42位のアレックス・フリーランドが急速に評価を上げている。
 
 リランゾについてもドルトン・ラッシング(2位)、ディエゴ・カルタヤ(3位)、さらには10年契約を結んだウィル・スミスにブロックされてドジャースでの出場機会は少なかったはずだ。
 
 獲得したフラハティ―は昨季と比べて制球、奪三振力が大幅に向上し復活を遂げた。スクバル、クロシェに比べて球威で押すタイプではなく、それがプレーオフでどれだけ通用するかは不明だが、出回った選手の中ではベストな先発投手だった。故障者が続出しているドジャース先発陣においてはローテを平均的な成績で回してくれれば御の字だろう。






メジャーならでは…8勝目直後にDFA

ジェームス・パクストンのトレード
トレード単体の評価 S
トレードの影響評価 ?
 
■ドジャース獲得
・モイセス・ボリバー
 
■ドジャース放出
・ジェームス・パクストン

 

 

 戦力整理の一環としてジェームス・パクストンはDFAとされたが、正直見返りは期待していなかっただろう。パクストンがウェイバーを通過しFAとなるのを待てばタダ同然で獲得できるからだ。
 
 ところが先発デプスを必要としていたボストン・レッドソックスが名乗りを上げ、17歳のプロスペクトとの交換トレードが成立した。
 
 パクストンはリバー・ライアンを先発ローテに加える際に押し出される形で放出された。元々ローテーションの頭数を確保する目的で獲得されたパクストンがランドン・ナック、ジャスティン・ロブレスキー、ライアンのルーキーがデビュー可能になった段階で放出されるのは既定路線だったのかもしれない。先発数に応じて支払われるボーナスもちょうどすべてクリアした時点での放出だった。
 
 獲得したボリバーはベネズエラ出身の17歳内野手だ。これからのキャリアでどのような成長曲線を描くかは全くの未知数で、当たればラッキー程度だろう。





“地味”だけど大事なトレード…?

その他のトレード 

・ケビン・キアマイアー⇔・ライアン・ヤ―ブロー
 このトレードは余剰戦力の交換と言ったところだ。ドジャースはロング、1イニングどちらも行けるブレント・ハニーウェルの台頭により、本職リリーフとしてはやや不安のあるヤ―ブローは余ってしまっていた。
 
 代わってトロント・ブルージェイズはケビン・キアマイアーを7月後半にウェイバーにかけるなど、こちらも余剰戦力となっていた。
 
 そこで野手不足のドジャースとアレク・マノア(故障)、菊池雄星(トレード放出)を欠きイニング消化要因が必要だったブルージェイズでスワップしたわけだ。
 
 キアマイアーは守備の名手で、2015年に守備WAR4.6を記録しMVP投票17位に入ったことで有名だが、今季は打撃の調子が上がらず低迷してしまった。ドジャースでは守備要員として起用されると見られる。
 
 ちなみに今季終了後の引退を表明しており、キアマイアーにとっては現役最後年に2020年に自分のワールドシリーズ優勝を阻止したチームでの優勝を目指すことになる。

 

 

・アメッド・ロサリオ⇔マイケル・フリン(マイナー)
 2年連続でのデッドラインでドジャース移籍となったアメッド・ロサリオは昨年同様に対左投手対策での獲得だろう。今季左投手に対しては打率.330,wRC+ 135と良く打っている。
 
 ショート、サード、さらには外野と多くのポジションを守ることができ、野手故障組の復帰までの期間や、さらなる故障者が出た際のバックアップ要因としての役割を求められる。
 
 タンパベイ・レイズに移籍したマイケル・フリンは27歳のリリーフ投手で、2023年12月にドジャースとマイナー契約を結んだ。ドジャースでは最大でもマイナーのポジション埋めの役割であるが、今季AAAでは奪三振率32.1%を記録しておりレイズの改造能力にかかれば新たな良リリーバーとなる可能性があるだろう。


 
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【了】