大河ドラマ「光る君へ」出演のDAIKI×WOOOLY株式会社“福祉業界でやりがいを感じる瞬間”は「人をつなぐ瞬間」
全国のコミュニティFMに番組配信をおこなうTOKYO FMグループの「ミュージックバード」で放送中のラジオ番組「~DAIKIのInclusive Monday!~『教科書では学べないこと』」。障がいのあるダンサーで、NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演中のSOCIAL WORKEEERZ 代表のDAIKIとメンバーのARISAが、多様な分野からのゲストを招き、自身の経験や視点を通じてインクルーシブな(誰も仲間外れにしない)社会を築くためのアイデアや挑戦に焦点を当てます。

8月5日(月)の放送では、ゲストにWOOOLY株式会社 執行役員の中田翔太さんと、エリアマネージャーの菊池弘さんが登場。福祉業界の現場のリアルな声を伺いました。

(写真左手前から時計まわりに)パーソナリティのARISA、中田翔太さん、菊池弘さん、DAIKI

◆就労継続支援B型事業所についておさらい

今回の放送では、障がい者就労継続支援B型事業所「ウーリー」を運営している、WOOOLY株式会社から執行役員の中田さんと、エリアマネージャーの菊池さんがゲストに出演。WOOOLY株式会社は2018年に設立され、2019年5月から事業をスタート。就労継続支援B型事業所の運営をおこなっています。

就労継続支援B型とは、障害や病気のために一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の場を提供するサービスを指します。A型は雇用契約を結び一般就労に近い形であるのに対し、B型は雇用契約を結ばず、おこなわれた生産活動に応じて工賃と呼ばれる対価が支払われます。B型は体調や障がいに合わせて利用できる点が特徴です。

6月3日の放送では、WOOOLY株式会社の取締役運営本部長 飯牟礼聡志(いいむれ・さとし)さんが、就労継続支援B型事業所の作業内容や、これからの事業目標について語ってくれました。

今回は、WOOOLY株式会社のおふたりに、福祉現場の実態や、事業にかける思いについて伺いました。

◆福祉の世界に入り“人と関わる難しさ”を実感した

ARISA:ウーリーのなかで、中田さんはどんな役割をされているのでしょうか?

中田:法人の本部と事業所の架け橋となっております。現在、事業所の数は54ありまして、事業所の日々の課題に対処したり、事業所がしっかり運営できるようにサポート・フォローをおこっています。また、新しい事業所の開設や求人など、多岐にわたっていろんなことをやりながら現場の事業所とやり取りをしています。

ARISA:取り仕切ったり架け橋を作るには、福祉業界の知識がある程度ないと難しいですよね。中田さんは福祉業界に深く携わっているのでしょうか?

中田:僕は専門学校を卒業してからずっと福祉の業界で働いています。いろいろな経験を重ねて、ウーリーに入って、こうした立場でやらせていただいています。

DAIKI:僕も新卒から児童発達支援と放課後等デイサービスをずっと続けて、児童発達管理責任者とサービス管理責任者の経験を少しだけさせていただいたんですね。今は芸能やSOCIAL WORKEEERZの代表として活動させてもらっています。いろいろな方に聞いているんですけど、福祉業界に入って1年目の新卒の感覚と今の感覚ってどう変化しましたか?

中田:正直に言うと、福祉業界に、最初は志を高くして入ったわけではなくて、とりあえずやってみようという感覚だったんですね。入ってみて1年目は想像していたよりも「人と関わるのは難しいことなんだな」とまず思いました。今は人と関わったり、人をつなぐ仕事をしていますけども、楽しいと感じるまでには時間がかかったと思います。それこそ無我夢中でした。

DAIKI:その感覚はまったく一緒です。児童発達支援の場合は、保護者様とご利用される子どもたちのあいだに入って、両者をつなげられた瞬間に、僕も一番やりがいを感じていました。

中田:スタッフ、利用者さん、そこを取り巻くさまざまな関係者など、ありがたいことにいろんな方と関わらせていただいております。私自身も日々学ばせていただいておりますし、人をつなげることにやりがいを感じますね。

ARISA:人との関わりの難しさというのは、関わる人がたくさんいるからこその難しさということでしょうか?

中田:「何かお話をしよう」とか「相手はどんな意思を持っているんだろう」とか、直接の言葉だけだとうまくいかないといいますか。「あえてこういう言葉をかけてみてはどうだろう」とか、「こういうタイミングで話しかけてみてはどうだろう」とか、昔から自分はそういうことを考えてしまうタイプなんですよね。

DAIKI:それは大事なことですよね。

中田:いっぱい失敗もしましたし、いろんな経験を通して、今では少しぐらいはわかったかなという感じですね。

◆事業所同士の交流を重視する理由

ARISA:前回、飯牟礼さんから、スタッフが生き生きして働いているというお話を聞いたんですね。中田さんは、ウーリーだからこそできていると思うところや、ウーリーの良さをどういう風にお考えですか?

中田:事業所の「楽しく・温かく・柔らかく」という雰囲気づくりに、スタッフ一人ひとりが本気で取り組んでいると感じております。「こうではないといけない」というよりも、「こういうこともできるんじゃないか」という活発な意見交換がありますね。また、事業所が多いところも強みだと思うのですが、近くの事業所同士の交流も活発にあります。

利用者さんだけじゃなく、スタッフの働きやすさも大切にしています。普段から事業所同士が助け合う体制ができると、何かあったときも安心できるという面もあります。

僕は現場にいた身として強く思うんですけども、1つの事業所や決まった方と関わり続けると「支援はこうあるべきだ」という固定観念に陥りがちなんですね。いろんな事業者やそこに関わる人たちの話を聞くことによって、いろんな発想や知見につながり、職員の質の向上にもつながっていくと思っています。

◆ウーリーの1日の流れを紹介

ARISA:菊池さんがどのようなお仕事をされているか教えていただけますか?

菊池:埼玉県全域をマネージメントするエリアマネージャーとして働かせていただいております。仕事内容は、現場からあがってくるさまざまな声をどのように解決するのか、解決できない場合はどんな落としどころがあるのかを考えます。さらには職員のいろいろなコーディネートもさせていただいております。

ARISA:現場の利用者だったり、職員のリアルな声を一番聞かれている立場なんですね。ウーリーではどんなことができるのかを教えていただけますか?

菊池:各事業所によって大きく異なります。イヤリングやキャンドルといった自主製品を作ったり、あるいは仕事を受注してみなさんでやることもあります。受注してくるお仕事ですと、毎週違うものから1ヵ月続くものもあります。

ARISA:事業所によって作っているものは別々なんですね。1つの事業所では1つのものを作るイメージなのでしょうか?

菊池:流れとしては同じようなものを作っていくんですけど、最近では、午前中は受注したお仕事をして、残りの時間で自主製品を作るといった事業所も増えています。作ったものは各自治体で販売したり、事業所の玄関で購入できるところもあります。他には、土曜日に販売会をおこなうところもありますね。

ARISA:作ったものを直接買える事業所もあるんですね。ウーリーのなかには、カフェを運営されているところもあるんですよね?

菊池:そうです。さいたま市にあるウーリー与野本町のカフェが8月~9月にかけてリニューアルオープンいたします。ぜひいらしてください。

◆利用者が目指す未来を応援したい

ARISA:リスナーのなかには、福祉現場がどういった形で運営されているのかイメージがつかない方もいらっしゃると思うんです。利用者さんが何人ぐらいいるのか、1日の流れがどういったものになるのかを教えていただけますか?

菊池:規定としては1日20名の方が利用できます。流れとしては朝の9時に送迎車が出ていきまして、10時に事業所に戻ってそこから作業開始です。お昼休憩(ご飯)の時間が1時間あって、2時間ほど15時までお仕事していただきます。

終わったら送迎車に乗って帰っていただく形となっています。就労支援ですけども、なかにはレクリエーションもあります。どこかに出かけたりゲームをしたりすることもあります。

ARISA:菊池さんがこれまで働いたなかで、もっとも思い出に残っているエピソードはありますか?

菊池:いろいろな経験をたくさんさせていただいたんですけども、音楽がとても大好きな利用者さんがいらっしゃったんですね。いつも背中にベースを抱えて事業所にいらしてました。

ARISA:カッコいい!

菊池:ミュージシャンになりたかったそうなんですけど、残念ながらベースを教えてくれる方が誰もいなかったんですね。自分は少し弾けますので、利用時間が終わったあとに一緒にレッスンをしたんですよ。一生懸命やられていたんですけども、残念ながら病気で事業所に通えなくなってしまったんですよね。

彼の座っていた椅子がまだ事業所にあるので、いまでも寂しい気持ちになります。自分がやりたいことや、自分がどうしていきたいのかを明確にわかっている子たちには、なるべくお手伝いができたらなと思っております。

ARISA:事業所に来て、どうしても同じようなルーティンになってしまうことが多いなかで、少しでもワクワクすることや、自分のやりたいことに近付けるのって利用者さんのやりがいにつながるなと思いました。

菊池:僕はウーリーの利用者さんに「とにかく楽しんで事業所に通ってほしい」と言っています。就労していたけど病気になって、働くことが難しくなった。あるいは、自分の障がいのために、自分がやってみたいと思っている仕事になかなか就けない、そういった方々がたくさんいらっしゃいます。

まずは事業所に来て、楽しんでいただいて、いろいろな方とコミュニケーションを取って、友達になって、職員とも知り合いになってほしい。その先にきっと希望にあふれた就労があるんだろうなと思っております。とにかく楽しんでいただければ、次の目標がまた見えてくると思います。

ARISA:「ここにいていいんだ!」という体験って、とても大切ですよね。

<番組概要>

番組名:~DAIKIのInclusive Monday!~「教科書では学べないこと」

放送日時:毎週月曜日 19:00~20:55 (生放送)

パーソナリティ:DAIKI、ARISA

番組Webサイト:https://musicbird.jp/cfm/timetable/daiki/