「肩こりになるのは日本人だけ」というウワサは本当でしょうか? 同じ人間でも「肩こりのなりやすさ」は違うのか、その理由と原因について、考えてみましょう。

◆Q. 「肩こりになるのは日本人だけ」って本当ですか?

Q. 「『肩こりになるのは日本人だけ』というのは本当ですか? 海外の人に肩こりがつらいと話しても、理解してもらえないと聞きました。肩こりは日本人特有の症状なのでしょうか? 海外の人が肩こりと無縁なら、その理由や肩こりにならないコツも知りたいです」

◆A. 日本人以外でも肩こりはあります。でも概念やマインドに違いがありそうです

肩こりは「日本人の国民病」とも言われています。実際に、厚生労働省の『国民生活基礎調査』などでも、例年上位にランクインし続けていますので、多くの人が肩こりに悩んでいるのでしょう。

一方で、「海外では肩こりが存在しない」というウワサは、たまに話題になりますね。先に答えを言ってしまうと、それは「ウソ」です。正確に言うと、日本人の言う肩こりと同等の症状はあるものの、「肩」という言葉が差す部位も違い、「肩こり」という概念がないのです。

私たちが「肩がこった」と言うとき、不調を感じる範囲は首から肩、肩甲骨、背中などですね。これらの部位に、血流の滞りや筋肉の緊張、痛みなどがあると「肩こりがつらい」と感じます。一方で、例えば英語圏では「肩がこった」という言葉はなく、「首がこった状態」を指す「Stiff Neck」という言葉が使われています。

人によっては、「肩」は関節のことで、スポーツや事故などで怪我をすることはあっても、日常的に血流が気になるような部位ではない、と感じるようです。「肩」がどの範囲を指すのかの、言葉の違いも大きそうです。

また、言葉の違い以外で「肩こり」やそれに同等の不調について考えると、日本人と海外の人の、平均的な働き方やマインドの違いも影響している可能性があります。

過労や睡眠不足など、ストレスが大きい環境で、しっかりリラックスすることができないと、交感神経が優位になり続けることで血流が悪くなり、肩こりの症状が悪化することが知られています。

日本に比べると、海外の多くの国は平均的な勤務時間が短く、仕事の後のプライベートタイムをより大切にする傾向があると言われています。仕事とプライベートのメリハリをしっかりとつける意識や、休憩や休暇に対する考え方の違いも、肩こりのなりやすさに少なからず影響しているかもしれません。

◇檜垣 暁子プロフィール

ロイヤルメルボルン工科大学にて応用理学士、カイロプラクティック理学士を取得。日本カイロプラクターズ協会(JAC)正会員。大学付属クリニック、個人治療室を経て、2003年からは横浜に開院した治療室で特に肩こり・腰痛に悩む人の施術に当たっている。病院の検査では異常が見つからない「機能的な異常」による不調の悪循環を絶つべく、カイロプラクターの視点から、体が楽になるために役立つ情報を数多く発信している。

文=檜垣 暁子(カイロプラクティック理学士)