フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)では、4日・11日に2週連続で放送予定だった『あきらめない僕たちの歌~高円寺のガード下で愛を叫ぶ~』を見送り、『新宿二丁目の深夜食堂 ~人生を奏でるビール瓶~ 特別編』に変更する。

  • かつての常連客に囲まれるりっちゃん (C)フジテレビ

    かつての常連客に囲まれるりっちゃん (C)フジテレビ

『あきらめない僕たちの歌~高円寺のガード下で愛を叫ぶ~』は、東京・高円寺のガード下にあるライブハウスで歌う男性と、彼と支え合いながら生きる女性を追った作品。放送3日前の8月1日、SNSでこのライブハウスのスタッフに関して告発があり、当人とそれに賛同する人たちが相次ぐ状況となっていた。

これに差し替えて放送される『新宿二丁目の深夜食堂 ~人生を奏でるビール瓶~ 特別編』は、『ザ・ノンフィクション』で昨年12月に放送された作品を再編集したもの。ナレーションは、吉田羊が担当している。

あらすじは、以下の通り。

LGBTQの人々が集う新宿二丁目で53年、営業を続けてきた「クイン」。開店するのは、日付が変わった午前0時。飲食店をハシゴしてやってくる会社員や同性愛カップル、自身の店の営業を終えた“二丁目の住人”など、閉店する午前9時まで、客足は絶えない。

多くの客の目的は、名物ママのりっちゃん(77)に会うこと。恋愛の悩みや人生相談など、ここでしか話せない悩みをぶつければ、返ってくるのは、優しいアドバイスや、時に厳しい叱咤激励。心の中にポッカリ空いた穴を埋めてくれるのだ。さらに、りっちゃんの夫である加地さん(77)が作る「焼き魚」や「ハンバーグ」、「おにぎり」や「500円定食」など、安くて温かな家庭料理が、お腹を満たしてくれるのだ。

店の歴史は半世紀を過ぎ、気付けば夫婦は77歳。客が引けた店内で語り合うのは、「夫婦の今後」について。すでに夫婦の体力は限界の状態だったが、「辞めないで」という“二丁目の住人”たちの声に応え、「1年後に迫った賃貸契約の更新までは…」と、満身創痍の体で営業を続けていた。

しかし、りっちゃんの座骨神経痛は日に日に悪化。さらに、加地さんがこの夏の記録的猛暑で倒れ、救急車で運ばれる事態に。「クイン」は臨時休業を余儀なくされた。

そして、店を再開して1カ月後、入口の壁に張られたのは「閉店のお知らせ」。夫婦は、1年後の契約更新を待たず、2023年9月末に閉店することを決めた。常連客たちは突然の知らせに驚き、店には涙する人も多くいた。

数え切れない孤独や絶望を受け止めて、人々の背中を押してきた深夜食堂「クイン」。53年の歴史に終止符を打つ決断をした名物夫婦。閉店へのカウントダウンの日々を見つめていく――。

  • 当時の「クイン」で働く夫婦 (C)フジテレビ