「日本のサッカーレベルは世界で高く評価されています」元なでしこジャパン安藤梢が語る“現なでしこジャパンの強み”とは?
スポーツジャーナリスト・中西哲生と横山ルリカがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「TOKYO TEPPAN FRIDAY supported by Ginza Sony Park」。「なでしこジャパン めざせ!世界No.1」のコーナーでは、「パリ2024オリンピック(以下、パリ五輪)」に出場しているなでしこジャパン(サッカー日本女子代表)の魅力やパリ五輪の女子サッカーをより楽しむために、さまざまなサッカー関係者をゲストに迎え、お届けしています。

7月26日(金)放送では、元なでしこジャパンで現在はWEリーグ 三菱重工浦和レッズレディースに所属している安藤梢(あんどう・こずえ)選手が登場。パリ五輪初戦のスペイン戦を振り返りつつ、なでしこジャパンの注目ポイントなどを伺いました。

(左から)横山ルリカ、安藤梢選手、中西哲生

1982年生まれ、栃木県出身の安藤選手は、筑波大学在学中の2002年に、さいたまレイナスFC(現:三菱重工浦和レッズレディース)に加入。2004年度、2009年度にはリーグMVPと得点王をダブルで獲得。

2009年度からは、ドイツ・ブンデスリーガのFCR2001デュイスブルク、FFCフランクフルトなどで活躍した後、2017年に古巣の浦和レッズレディースに復帰します。日本代表には16歳で初招集され、オリンピックはアテネ、北京、ロンドンと3大会に連続出場し、FIFA女子ワールドカップ(以下:ワールドカップ)には、優勝を果たした2011年をはじめ3大会に出場しています。  

◆センターバックにコンバートしてもMVP!

2002年にデビューして以来、現役生活20年を超えても第一線で活躍し続けている安藤選手。しかも、本来はフォワードでの出場が多いものの、2022-23シーズンではセンターバックとして奮闘し、「たまたま(チームの)センターバックがケガをしてしまって、そのときだけセンターバックをやっていました」と軽く言ってのけます。

しかも同シーズンでは、なんとMVPを獲得! これには中西も「普通できないから!」と驚きの声を上げると、安藤選手自身も「ビックリしました。全然やったことがないポジションでしたし、毎試合緊張していたので」と振り返ります。

ただ、センターバックをやっていても「常に点を取りたくて仕方なかったですね。だから、コーナーキックとかセットプレーで前に行ったときは“絶対に点を取る!”みたいな感じでプレーをしていましたし、それで何点か取りました」と笑みを浮かべます。

◆パリ五輪初戦・スペイン戦を総括

なでしこジャパンは7月13日(土)に石川県・金沢ゴーゴーカレースタジアムでおこなわれたパリ五輪前・国内最後の国際親善試合「MS&ADカップ2024~能登半島地震復興支援マッチ がんばろう能登~(以下、MS&ADカップ2024)」でガーナ代表に4-0で見事快勝し、決戦の地・フランスへと旅立ちました。

しかし、現地時間25日(木)におこなわれた初戦では、FIFAランキング1位で昨年のワールドカップ優勝国・スペインと対戦し2-1で黒星スタート。この結果に安藤選手は「率直に言ってスペインが強かったですね。シュートシーンも上手でしたし、スペインの選手を見ていて何度も“うまっ!”って(思いました)」と相手選手を称えます。

一方、中西は昨年のワールドカップ・予選リーグで、なでしこジャパンがスペイン相手に4-0で完勝していることを受けて、「ワールドカップでは日本の戦術がうまくハマっただけに、今回のスペインは“日本は強い”ということを認識して試合に臨んでいたなと感じました」と感想を述べると、安藤選手も「とても警戒されていたし、日本の戦術や技術はスペインも脅威だったのではないかと思います」と同意します。

また、藤野あおば選手(日テレ・東京ヴェルディベレーザ所属)が挙げた先制点については、「あのフリーキックはスゴかったです! ボールスピードも女子ではかなり速かったと思います」と絶賛。

その後、スペインに逆転を許して敗北しましたが、安藤選手から見て、なでしこジャパンのレベルは確実に上がっていると言います。「とはいえ、世界からも日本は警戒されているので、逆にそのなかで勝っていくのはすごく大変だと思います」と印象を語っていました。

※なお、このオンエア後の29日(月)におこなわれたブラジル戦を2-1で、31日(水)におこなわれたナイジェリア戦を3-1で勝利! その結果、1次リーグ2位で決勝トーナメント進出を決めました! 次は3日(土)に準々決勝でアメリカ代表と対戦します。

◆今の若い子はすごい…大物感が漂うなでしこジャパン

現在のなでしこジャパンのメンバーを見てみると、イングランドのマンチェスター・シティWFCやリバプールFCウィメン、チェルシーFCウィメンなど、名門チームに数多くの選手が所属していますが、この現状に「すごいですよね」と驚く安藤選手。

続けて「私たちのときは海外でプレーできなかったんですよ。(国際大会で活躍しても)なかなか評価してもらえなかったんですけど、今は若い選手がどんどん海外に行っていますし、しかもトップレベルのチームに所属しているので、私たちの時代では考えられないですね」とも。

特に若手選手は世界から注目を集めており、その1人が、チェルシーFCウィメンに所属する20歳の浜野まいか選手です。2022年に開催された「FIFA U-20女子ワールドカップ」では日本の準優勝に貢献し、大会MVPにも選出。「MS&ADカップ2024」でも1得点を挙げ、パリ五輪初戦のスペイン戦では、途中出場ながら多くのチャンスを演出しました。

そんな浜野選手について、中西は「(五輪の舞台でも)全然ビビっていないし、大物感がありますよね」と期待を寄せます。

最後に安藤選手は、「世界の女子選手たちのフィジカルレベルはすごく上がっていて、みんな速いし強いですけど、日本は組織力やコンビネーションで崩していく戦術が得意なので、そこを楽しんでもらいたいですね」となでしこジャパン戦の見所を語りつつ、「シュートやパス、ファーストタッチなど、日本の技術は世界で高く評価されています。ビックリするような技術ばかりなので、そこもぜひ見てほしいなと思います」と話していました。

<番組概要>

番組名:TOKYO TEPPAN FRIDAY

放送日時:毎週金曜15:00-17:00

パーソナリティ:中西哲生・横山ルリカ

番組Webサイト: