バイデンが撤退するならトランプも退くべき? ニューヨークZ世代が“アメリカ大統領選”に本音で迫る
ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみがパーソナリティを務めるinterfmのラジオ番組「NY Future Lab」(毎週水曜日18:40~18:55)。ジャーナリストでZ世代専門家のシェリーめぐみが、ニューヨークZ世代の若者たちと一緒に、日本も含め激動する世界をみんなで見つめ、話し合います。社会、文化、政治、トレンド、そしてダイバーシティからキャンセルカルチャーまで、気になるトピック満載でお届けします。

今回のテーマは『2024夏の大統領選スペシャルその1 アメリカZ世代が本音を激白「バイデンがやめるならトランプも退陣すべき」』。「NY Future Lab」に所属するアメリカZ世代が、バイデン対トランプの大統領候補者討論会の感想を語りました。

※写真はイメージです


◆バイデン氏のパフォーマンスに衝撃を受けたZ世代たち

日本では東京都知事選、フランスやイギリスでも大きな選挙がありました。そして、世界にもっとも大きな影響を与えるアメリカ大統領選まで、あと4ヵ月を切っています。日本でも第2次トランプ政権が誕生するのかと注目視されていますが、アメリカ人もかつてなかったほどに混乱しています。

前回の放送でも取り上げたように、特にバイデン氏の大統領候補者討論会でのパフォーマンスは、これまで誰も見たことがないほどに弱々しいものでした。年齢による衰えを感じさせ、「今からでも別の候補者を立てるべきだ」という声がいまだに出ている状況です。ラボメンバーたちから意見を聞く前に、まずは討論会直後の感想に注目してみましょう。

メアリー:とても混乱している。討論を見ているあいだ「これは本当に現実なんだろうか」と呆然としていた。バイデンはなんだかぼーっとしていて、普通に発言できないときもあった。そしてトランプの言っていることはもう嘘ばかりで、ゴミみたいな内容だった。

ヒカル:正直に言うとね、バイデンがディベート中に死ぬんじゃないかと思ったよ。そして、トランプもぜんぜん健康そうではなかった。

嘘だらけのトランプ氏の発言もそうですが、アメリカの若者にとってバイデンのパフォーマンスがどれほど衝撃的で不安を与えるものだったかが伝わります。

◆犯罪者が大統領に立候補できるシステムに疑問視

では、バイデン氏は本当に新しい候補者と交代すべきなのか、という声にラボメンバーは賛同しているのでしょうか? 本音を語ってもらいました。

シャンシャン:その質問に答える前に、まず言いたいことがある。バイデンが辞めなければいけないなら、トランプだって同じように退陣すべきなんじゃない? だって罪人なんだから。

ミクア:犯罪者が大統領に立候補できるなんて信じられないよね。そっちのほうがバイデンの年齢の問題より、ずっとクレイジーだと思う。現実とは思えない。すべてがジョークみたい。

シャンシャン:まさにその通り! もし、犯罪者がマクドナルドやウォルマートで仕事を申し込もうとしても、前科を調べられて「ごめんなさい。あなたはこの仕事には応募できません」みたいなことになるでしょう? でも、大統領には立候補できるって、いったい何なの?

ノエ:しかも彼は単なる犯罪者ではなくて、34件もの重罪の判決を受けているんだよ。単なる軽犯罪や万引きとかではなく、完全なる重罪だよ。

メアリー:共和党は今や完全にMAGA(Make America Great Again)党、トランプ党だからね。他に誰が立候補しても、同じような人しか出てこないよ。それに、支持者はもうトランプしか見ていないから。だから新しい人は出てこない。残念だけどね。

バイデン氏より先に考慮すべきなのはトランプ氏の退陣なのではないか、というのがラボメンバーの考えでした。

メンバーの発言にあったMAGAとは「Make America Great Again(アメリカ合衆国を再び偉大な国にする)」という選挙スローガンであり、もともとは1980年の大統領選挙においてロナルド・レーガンが使用したのが最初です。近年においてドナルド・トランプが同じスローガンを掲げており、トランプ氏を支持する勢力や人々をMAGAと呼ぶ傾向にあります。

「共和党が完全にMAGA党になった今、トランプ氏が辞める選択肢はどこにもありません。そのことにパニックしたメディアは、バイデンを集中攻撃する方向に走ったのではないかと思います」とZ世代専門家のシェリーは分析しました。

(左から)ミクア、シェリー、ヒカル、ノエ、シャンシャン、メアリー/©NY-Future-Lab



◆バイデンに匹敵する知名度を持った候補者がいない?

改めて、ラボメンバーに「バイデンは出馬を取りやめるべきか」と尋ねました。

メアリー:私はバイデンが立候補すべきではないとずっと思っていた。まだ続けているのはクレイジーだと思う。それでも立候補を止やめないなんて、どれだけナルシストなの? 彼が自分で止めると言わなければ、変わることもできないわけでしょう? それってすごく自己中心的だと思う。

シャンシャン:私も他の候補者に代わるべきだとは思うよ。だけど、代わったとしてその人はバイデンと同じような影響力を持てるのかな? みんなトランプではなく、その候補者に投票するのかな? 今、多くの有権者はトランプとバイデンしか知らない。他の候補者はほとんど知られていないと思う。

メアリー:他の候補者はまず、ブティジェッジ運輸長官、そして、カリフォルニア州知事のギャビン・ニューサム。もしもバイデンに何かあった場合、カマラ・ハリス(アメリカ合衆国副大統領)がそのまま後任になることを期待している人もいるよね。

ヒカル:民主党にはバイデンの代わりになる候補がたくさんいるよね。

メアリー:バーニー・サンダースもね。

ヒカル:えっ、バーニーは歳を取りすぎてない? 80歳ぐらい?

メアリー:バーニーは2人よりも年上だけど、ずっとちゃんとしているよ。

ヒカル:あとは、ミシェル・オバマ。アメリカ人のあいだでまだかなり人気があるよね? たくさんのメディアで、彼女の気が突然変わって出馬するのを期待しているようなことを言っている。だけど、そうはならないだろうな。

ラボメンバーは、バイデン氏は出馬を取りやめるべきと考える一方で、彼と同じぐらい認知されている強い候補者はそうそういないとも感じています。最近の世論調査によると、トランプ氏を倒せるのはミシェル・オバマだけという結果でした。

続投を主張し続けていることで批判を受けているバイデン氏ですが、シェリーは続投せざるを得ない背景があるのではないかと分析。「もし、退陣する考えがあったとしても、後継者が決まらない今、辞める気配を少しでも見せたら世界中がパニックになる。そういったことを懸念しているのではないでしょうか」と発言します。

一方、ここにきて下院議会の重鎮の民主党議員が「バイデンは国のためにベストな選択を考えている」というような言い方で、交代の可能性がまだゼロではないことを匂わせています。

7月15日には、トランプ氏を正式に指名する共和党の全国大会がいよいよスタートします。「もし、バイデン氏が他の候補者に道を譲ったら、有権者の投票行動はどう変わるのでしょうか。トランプ氏に勝てるのか? そして、ラボのZ世代はどうするのか? 続きは来週にお伝えします」とシェリーは話し、話題を次回に繋げました。

<番組概要>
番組名:NY Future Lab
放送日時:毎週水曜日18:40~18:55放送
出演:シェリーめぐみ
番組Webサイト: https://www.interfm.co.jp/nyfutureweb
特設サイト:https://ny-future-lab.com/