LIFULLは7月29日、近畿圏2府4県における2024年新築マンションの平均価格を調査し、発表した。調査は、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県内で分譲された新築マンションのうち、「LIFULL HOME'S」に広告掲載された物件を行政区&自治体単位で集計。各マンションにつき、分譲期ごとに最高価格/面積と最低価格/面積を抽出し平均値を算出した。

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首都圏以上に近畿圏の新築マンション価格は上昇基調

昨今、首都圏と同様に近畿圏でも資材価格の高騰に伴う不動産価格が上昇基調にあり、なかでも大阪市内や京都市内の中心部では1億円を超える新築マンションの分譲が相次いでいる。また、物件の価格上昇だけでなく、住宅ローン金利に影響がある長期金利の上昇も予想され、新築マンションの購入を検討する人にとって「いつ、どこで買うか」と難しい判断が必要となる。そこで今回、子育て世代をはじめ、よりコストパフォーマンスの良い周辺県に移住したいと考える人に向け、同調査が実施された。

【大阪市内】平均m2単価:福島区の200万円台は近畿圏内で最高額、東京23区内と同水準

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大阪市内の新築マンションの平均m2単価1位は「大阪市福島区」の200.0万円で、前年の同じ時期と比べて213.3%と2倍以上の価格に達している。平均価格も1億6,190万円とTOP10内で飛びぬけた価格だった。2位は「大阪市浪速区」の147.6万円(前期比104.6%)は、3位は「大阪市中央区」の132.7万円(同113.8%)が続く。大阪市内の平均m2単価は95.9万円だが、TOP10はm2単価100万円以上の区が多くランクインしている。

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大阪市を除いたエリアの新築マンションの平均m2単価1位は「池田市」の88.5万円(前期比101.3%)、2位は「茨木市」の86.2万円(同102.1%)と前期比100%超えの80万円台の市がランクインした。

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首都圏と同様に、近畿圏の中心である大阪市で新築マンションの価格が上昇している。阪市平均では対前年同期比で東京23区(14.0%上昇)を上回る15.3%の上昇を記録しており、平均m2単価は95.5万円、平均価格も6,576万円と前年から842万円の上昇、北区、中央区ではm2単価が120万円超に達して、各々9.1%、13.8%価格が上昇。また、最も価格上昇率が高かった福島区では"うめきた"の再開発に伴うタワーマンションの分譲の影響で前年比113.3%の大幅上昇を記録し、m2単価は200.0万円、平均価格は前年の5,703万円から1億円以上急上昇して16,190万円に達している。大阪24区のうち福島区と浪速区が平均で1億円を超える状況となっており、価格比較が可能な23区のうち16区で単価ベースの価格が上昇。東京23区と同じく、大阪市中心部でも新築マンション価格の上昇が顕著に。

一方、大阪市を除く府内の各自治体では政令市の堺市も含めて価格上昇率は平均2.6%に留まっており、m2単価は70.2万円、平均価格は5,010万円と前年から専有面積が縮小した影響で258万円下落しており、対照的な結果となった。府下でm2単価が高いのは池田市の88.5万円で、以下茨木市、吹田市と北摂エリアが続く。大阪でも東京と同じくファミリー層の郊外方面への転出が見られるのは、この新築マンション価格のギャップが影響している。

【京都府】東山区と中京区が平均m2単価150万円超え&専有面積80m2以上で平均価格も1億円以上に

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京都府の新築マンションの平均m2単価1位は「京都市東山区」の173.2万円、2位は「京都市中京区」の162.4万円(同期比167.2%)と上位の2区が160万円以上だった。3位には「京都市北区」の125.7万円(同119.4%)が続き、TOP3の平均価格は1億超えとなった。また、京都府の平均㎡単価は大阪市内を上回る103.6万円で前期比130.6%という結果に。TOP4以下には平均m2単価が前期比100%~130%のエリアがランクインし、京都市内の広い範囲で上昇していることがわかった。

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京都府では、大阪府の4.3%、大阪市の15.3%をはるかに上回る30.6%もの価格上昇が発生している。京都市平均は22.2%の上昇と京都府を下回るものの、価格水準の高い中京区で67.2%、左京区で33.5%、伏見区でも21.1%の価格上昇が認められ、京都市10区のうち6区でm2単価が100万円を上回る水準に達している。また、京都市北区、中京区、東山区で平均価格が1億円を突破しており、大阪市を上回る高価格帯での分譲が行われている。京都市には景観条例があって高い建物や周囲の景観とそぐわない建物を建築することができないが、規制をクリアする比較的小規模で希少性をアピールしたマンションの新規分譲が京都市中心部で活性化しており、高額であっても京都市内に拠点を持ちたい富裕層やインバウンドの需要を取り込んで販売が拡大し、価格急上昇を支える主な要因となっている。このような顕著な価格上昇だけが原因ではないが、京都市からはファミリー層が滋賀県方面へと転居する例が増えており、大阪市同様に人口の郊外化が発生している。さらに、この価格の急上昇は京都市に留まらず、長岡京市で25.3%(m2単価101.2万円)、亀岡市で4.6%(同58.2万円)上昇しており、京都府内全域での新築マンション価格の上昇が明らかに。

【兵庫県】TOP3は神戸市内が独占、平均価格は1.2億円

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兵庫県の新築マンションの平均㎡単価1位は「神戸市灘区」の137.5万円(前期比131.4%)だった。2位は「神戸市中央区」の131.9万円(同69.2%)、3位は「神戸市東灘区」の117.1万円(同121.0%)とTOPは神戸市内のエリアが占めている。庫県内の平均m2単価は82.8万円と大阪府内と同じで、前期比102.3%と上昇している。

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兵庫県では県全域では前年比2.3%の上昇と、近畿圏のなかでは比較的落ち着いた価格推移だが、中心エリアである神戸市では10.0%(m2単価99.3万円)上昇。中心部の神戸市中央区では平均価格および坪単価が前年の69.2%(同131.9万円)と30%以上下落しているが、価格水準自体は極めて高く、2024年も平均価格が10,189万円と1億円を突破している。同じく東灘区で21.0%、灘区で31.4%、西区でも20.0%上昇するなど、価格の上昇度合いは大阪、京都と比較しても遜色なく、資材価格や建設に関わる人件費の上昇が影響していることがわかる。また阪神間の住宅地として人気の高い西宮市で12.3%(同100.9万円)、芦屋市でも5.5%(同102.3万円)上昇しており、近畿圏の主要市街地&主要都市での新築マンション価格の上昇は広範囲に渡っていると言える。

この価格高騰を受けて、これまで専ら戸建エリアとして知られていた姫路市や加古川市、明石市など播州エリアでも、ここ数年新築マンションの供給が活性化し始めており、神戸市中心部およびその周辺での購入を検討していたファミリー層が、より安価な物件を求めて神戸市から西側へとニーズを移行させている。m2単価は姫路市で58.4万円、加古川市で56.8万円、明石市でも61.0万円と60万円前後で、神戸市中心部と比較すると40%以上安価であることで価格訴求力が高まる状況だという。

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