今年は『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』、『からかい上手の高木さん』のほか、今後公開となる『ブルーピリオド』、『あの人が消えた』と4本の映画に出演するなど、引っ張りだこの俳優・高橋文哉。現在放送中のテレビ朝日系ドラマ『伝説の頭 翔』(毎週金曜23:15~※一部地域除く)では、1,000人を超えるヤンキーたちを従える不良チーム「グランドクロス」を束ねる伝説の頭・伊集院翔と、クラスでもまったく存在感がなく、スクールカースト最下層の万年パシリ・山田達人という“最強と最弱の2人”を、1人2役で演じている。先週1話が放送されると、SNSでは「一人二役演技うますぎる」「別人が会話しているみたい」「ヤンキーも隠キャもどっちも似合いすぎ」「やっぱりヤンキードラマは熱い」「金髪姿カッコいい」と話題に。

今回は注目が集まる金髪ビジュアルへのこだわりと完成秘話について話を聞き、多忙な高橋が頑張れるモチベーション、原動力となっている思いにも迫った。

  • 高橋文哉

    俳優の高橋文哉 撮影:宮田浩史

クランクイン直前に髪色をさらに調整

――金髪や短ランといったビジュアルがとても似合っていますが、ご自身ではいかがですか。

短ランを身にまとって、太いズボンとブーツを履いて、オールバックで外に一歩踏み出したクランクインの日は、夢が叶ったような気持ちになりました。特にヤンキーに憧れていたわけではないのですが、僕にも密かな願望があったのかもなって。このビジュアルになると、胸を張って歩けるような感覚が生まれて、それが違和感でもあって。その気持ちを達人の芝居に活かせたらいいなと思いました。

金髪は、実はいろいろな方に協力していただきながらできあがったもの。衣装合わせの前に、どんな髪型がいいか、イメージをかためる話し合いの時間を作ってくださったので、僕も自分の意見をしっかり持っていきました。怖くないのに圧がある、翔らしいかっこよさを出すために、リーゼントではないけれどリーゼント風のオールバックで、ツーブロックで、金髪というよりも、明るいベージュのようなきれいな色でカリスマ感を出したいと提案させていただいて。監督やプロデューサーの方々とセッションしながら、長い時間をかけて、ブリーチして、色を入れて、といろんな調整をしながら完成しました。でもクランクインの直前に、「ツーブロックに黒を入れるのはどうだろう」と急に思ったんです。無理を承知でお願いしてみたら、「むしろ、アイデアをくれてありがとうございます」と言っていただけて、今の髪型が完成しました。僕の思いつきに付き合ってくださった、熱量の高いチームの皆さまの期待に応えたいと、さらに気合いが入りましたね。

  • 高橋文哉

主人公がヤンキーになりたくないヤンキー作品

――ヤンキー作品にはどんなイメージがありましたか。

憧れがありました。ヤンキー漫画や映画を見たあとに外に出ると、自然に風を切って歩いてしまったりして。「今なら、誰にでも勝てるんじゃないか」と錯覚させてもらえる作品だと思います。

――世の中にはたくさんのヤンキー作品がありますが、今作の特徴は。

ヤンキーになりたくない主人公が、てっぺんに立つところです。「僕はヤンキーが嫌いだ」「ヤンキーになりたくない」という達人の台詞がたくさん出てくるのですが、はっきり言えるところは見ていて気持ちがいいと思いますし、実は社会で頑張っている人たちがほしい強さなのかもしれないなと。自分の意見を口に出せないとき、達人を思い出したら言えるようになる、そんな主人公に注目していただけたらうれしいです。

自分以外のためなら頑張れる

――第1話では、タイマンの前に達人が「いざって時は逃げちゃいな」とアドバイスされる場面がありました。高橋さんがこれまでお仕事をされてきたなかで、「もう逃げ出したい」と思った瞬間はあれば教えてください。

一度もありません。スケジュールが詰まっているときに、「もう寝たい」と思うことがあるぐらい(笑)。自分が逃げても、自分も救われないし、周りも皆救われないと思っているので、皆のことを考えると、逃げる選択肢は出てきません。

――すごい! その意識を持ち始めたのは。

ここ1年半ぐらいですね。こうやって取材を受けさせていただくなかで、「なぜそんなに頑張れるんですか」という質問をしていただくことがよくあって。今まで「分かりません」と答えていたのですが、こうやって頑張れている以上、何か理由があるだろうと考えてみたんです。そうしたら、僕は自分のために頑張っているのではなく、自分以外の方のためになら、頑張ることができるんだと気づきました。

――高橋さんのファンの皆さんにメッセージをお願いします。

『伝説の頭 翔』は、応援していただいている方々に、新しい一面を見ていただける作品になるのではないかと思っています。自信というと語弊があるのですが、それぐらい気合いが入っています。この作品がたくさんの方に愛されるために何が必要なのか、僕も現場の皆も常に考えていて、その思いが映像にあふれ出ていれば。そして、その思いを見てくださる方々にしっかりと受け取ってもらえたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

■高橋文哉
2001年3月12日生まれ、埼玉県出身。2019年にテレビ朝日系『仮面ライダーゼロワン』で主演を務め、注目を集める。近年の主な出演作にドラマ『最愛』(21)、『君の花になる』(22)、『フェルマーの料理』(23)、映画『交換ウソ日記』(23)など。2024年は、映画『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』、『からかい上手の高木さん』など。バラエティ番組『ぐるぐるナインティナイン』、ラジオ番組『高橋文哉のオールナイトニッポンX』にレギュラー出演中。公開待機作に、映画『ブルーピリオド』(8月9日公開予定)、『あの人が消えた』(9月20日公開予定)、『少年と犬』(2025年春公開)がある。