AlbaLinkは7月22日、「デジタル終活に関する意識調査」の結果を発表した。2024年7月5日~8日、20代以上の男女500人(女性334人、男性166人)を対象にインターネットで行われた。
デジタル終活が必要だと思う人は91.2%
20代以上の男女500人に「デジタル終活が必要だと思うか」聞いたところ、「とても思う」「まあ思う」と答えた人は合わせて91.2%で、多くの人がデジタル終活の必要性を感じていることがわかった。
ネット銀行に資産を預けたり、オンラインサービスに個人情報を登録している人も多い近年では、デジタル終活の必要性も高まっていると言える。デジタル終活をしないまま亡くなってしまうと、スマホやパソコン内の必要なデータを取り出せなかったり、オンライン上に残ったデータがトラブルの元になったりする可能性も。どこにどんなデジタル遺品があるかすら遺族では把握できず、困ることも少なくない。
なお「デジタル終活は必要ない」という人からは、「普段から不要なものは消しているので、改めてやる必要はない」などの声が聞かれた。デジタル遺品の整理が不要だと感じているのではなく、「いつもやっていれば、まとめてやる必要はない」という考えのようだ。
デジタル終活が必要だと思う理由1位は「見られたくないデータがある」
「デジタル終活は必要」と答えた456人に必要だと思う理由を聞いたところ、1位は「見られたくないデータがある(215人)」、2位は「家族・友人に迷惑をかけたくない(172人)」だった。「見られたくないデータの消去・保護」と「遺族が困らないようにすること」がデジタル終活の主な目的だとわかる。
具体的な理由をみていくと、「見られたくないデータがある」と答えた人からは「写真や検索履歴や自分のブログやXなどの家族に公開していないアカウントは、見られると恥ずかしいので始末しておいたほうがいいと思う」(40代 女性)、「家族が知ったら確実に気絶するモノが、沢山保存されているから」(50代 男性)、「いわゆるヲタクなので、見漁った二次創作作品の履歴や、自分の二次創作物を家族に見られるのは困るため」(30代 女性)といった回答が寄せられた。「データや書き綴ったものを死後に見られるのは恥ずかしい」という理由で、デジタル終活を必要だと考えている人が多いとわかる。
「家族・友人に迷惑をかけたくない」と答えた人からは、「どこに何があるのかわからない状態が、遺族にとっては最もストレスだから。身に覚えのない請求がくるなど、トラブルのもとだから」(30代 女性)、「死後に定期コースの商品などが届くと、家族を困らせてしまう。メールなどが届き続けるのも、気持ち悪い気がする」(40代 女性)、「月額料金を払っているものの請求が家族に行かないように」(50代 男性)など、家族が困らないように、といった声が目立った。
3位は「遺産をきちんと残すため」には、「株をやっているから、情報共有しておかないと放置されてしまう」(30代 女性)、「せっかく貯めたお金が、ネット銀行にあるがゆえに家族に残らないのはもったいないから」(40代 女性)、「ネット銀行やネット証券に預けているお金を無駄にしないためにも、必要だと思います」(50代 男性)といった声が寄せられた。
他にも、「契約しているサーバーの管理は誰も知らないから」(40代 男性)、「何もやましいことはないけど、早めに整理してシンプルな暮らしをしたい」(40代 女性)、「自分自身の気持ちを整理できますし、死後の心配も減ると思います」(50代 女性)などの理由が寄せられた。
デジタル終活を始める時期は「死を意識したら」
デジタル終活を始める時期としてもっとも多かったのは「死を意識したら(184人)」だった。「50歳や60歳など、一定の年齢になったら」「老いを感じたら」という回答もみられた。死や老いを実感すると終活について検討し、終活の一環でデジタル終活について考える人が多いと考えられる。
一方で「年齢や体調に関わらず、思い立ったらすぐ」という人も多くなっている。「不慮の事故で亡くなる」「病気が見つかってからの進行が早い」など、デジタル終活が間に合わないこともあるからだと考えられる。親族の急死を経験し、デジタル遺品のトラブルで困った経験がある人もいるかもしれない。
デジタル遺品のトラブルをなくすためにした方がいいことは「パスワードのリスト化・共有」
「デジタル遺品のトラブルをなくすためにした方がいいことは何だと思うか」聞いたところ、圧倒的1位は「パスワードのリスト化・共有(266人)」となった。2位「サービス・アカウントの解約(153人)」と3位「データの削除(101人)」は、どちらもデジタル遺品を減らす方法だった。
具体的にみていくと、「パスワードのリスト化・共有」を選んだ人からは、「信頼できる家族にSNSのパスワードを伝えるか、亡くなったあとにわかるようにしておく」(30代 女性)、「スマホのパスワードを家族と共有しておくことです」(40代 男性)といった意見が寄せられた。死の直前まで利用するネット銀行・ネット証券の口座やサブスクなどは、死後の管理や処分を遺族に任せることになる。ログインIDやパスワードがわかっていると手続きがスムーズなので、IDとパスワードをリスト化して家族と共有したいと考えている人も多数。ただしパスワードは、普段は家族にも秘密にしておくもの。「自分が生きているうちに、家族がIDとパスワードを使って自分のアカウントにログインしたら、怒る」という人もいるかもしれない。そのためパスワードではなく、パスワード再発行に必要な情報(IDとメールアドレスなど)を伝える方法もある。なおスマホのロックが解除できなくて困ることも多いため、「ロック機能を解除しておく」という人もいた。ただロック機能をかけておけないと、第三者にスマホの中身を容易に見られてしまうという大きなデメリットが発生する。
2位「サービス・アカウントの解約」には、「『不要となったサブスク』『一定期間使っていないアプリ』などは、定期的に解約したり退出手続きをしたりするべきだと思う」(20代 女性)、「サブスクの見直しや解除」(40代 男性)、「不要なデジタル契約は解約しておく」(50代 女性)といった声が寄せられた。有料サービスであれば、解約しておくことで固定費が減り、死後に請求が続くことも避けられる。必要か不要かを判断する作業の過程で、自分に必要なサービスを厳選することもできるかもしれない。
3位は「データの削除」。「見られちゃいけないものは消しておく」(30代 女性)、「できるだけ個人情報が入ったファイルを削除する。個人が特定される写真を削除する」(50代 男性)など、見られたくないデータはあらかじめ削除しておくという人も多くなっていた。ただし「まだ使いたいから削除はできないけれど、死後家族に見られたくはない」というデータもあるかもしれない。このような場合には、見られたくないデータだけを集めてフォルダをつくり、自分にしかわからないパスワードをかけておくことができる。USBや外付けハードディスクにデータを移し、「自分が死んだら、USBやHDDは処分して」と伝える方法もある。
他にも、「ネット証券など、ネットサービス利用状況を紙に書いて残しておく」(40代 男性)、「解約が必要な契約の連絡先を家族に伝えておく」(60代以上 女性)、「生前自分で処分しきれないデータは、死後どうしてほしいかを記しておく」(30代 女性)などの回答が寄せられた。