現在放送中の大河ドラマ『光る君へ』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)で藤原定子役を演じた高畑充希にインタビュー。定子役をどのように捉えて役作りをしてきたのか、そして、定子役が自身にとってどんな経験になったのか話を聞いた。

  • 『光る君へ』藤原定子役の高畑充希

吉高由里子が主人公・紫式部(まひろ)を演じている本作。高畑が演じた藤原定子は道隆(井浦新)の長女で、一家の繁栄を願う父の思いを一身に負い、年下の一条天皇に入内。一条天皇の最愛の妃となるが、兄弟の失態により窮地に陥り、自ら髪を切って出家する事態に。その後も一条天皇からの寵愛は続くも、3人目の子供を出産し、25歳の若さで命を落とした。

最初の頃は、定子について「華やか、知的、愛され気質」と捉えていた高畑だが、演じていく中で定子像が変わっていったという。

「『枕草子』の情報などで、明るくてユーモアがあり、すごく魅力的だったという印象が強く、演じるにあたってプレッシャーを感じていましたが、強くてハンサムな部分もあるという印象もあって、中盤ぐらいまではその印象が強かったですが、演じていくと次から次へとつらい出来事が起こる役柄で、華やかじゃない定子を演じる時間が長くなるにつれて、最初に想定していた感覚とは変わり、違う定子像になっていきました」

定子像は、事前に綿密に組み立てるというより、現場で作り上げていったと語る。

「制作の方々が『待っているだけのお姫様ではなく、能動的なかっこいい部分も見せたい』とおっしゃっていたので、そこは肝に銘じつつ、史実の中ですごく華やかであったり、それと同時に儚い印象があったり、というのも取り入れていきたいと思っていましたが、こうしてみようというのが明確にあったわけではなく、撮影に入って皆さんと作っていく中で生まれていったというのが大きいかなと思います」

一条天皇役の塩野瑛久、清少納言(ききょう)役のファーストサマーウイカ、父・道隆役の井浦新、兄・伊周役の三浦翔平、弟・隆家役の竜星涼、母・貴子役の板谷由夏ら共演者によって引き出される表情や感情も多かったという。

「能動的な部分もありつつ、何かを受け取ることも多い役だったので、ウイカちゃんも、家族のみんなであったり、一条天皇であったり、いろんな方のエネルギーをもらって引き出してもらえた表情や感情がたくさんありました。あと赤ちゃんが出てくるとかわいくて、おのずと引き出してもらえたり、周りの方の力があったと思います」

定子は一条天皇が寵愛し、また、清少納言が心からの忠誠を尽くした人物。「憧れの目で見てもらえる人物像にしなければいけない」というプレッシャーもあったと高畑は明かす。

「これまで何かに対してエネルギーを持つ役が多く、持たれる役はほとんど初めての経験だったので、推される役の不安があり、頑張らないといけないとすごくプレッシャーを感じていました。憧れられたり愛されたりする役はどこかずっと不安なんですよね。自分で大丈夫なのかなと思ってしまって」

そして、ウイカと塩野のおかげで不安要素が減り、気持ちが楽になったと感謝している。

「ウイカちゃんは撮影の中でも外でもすごく私を推してくださって、それに救われた部分が大きかったです。憧れの存在として扱って私を楽にしてくれたので、ウイカちゃんとソウルメイトの役をやれてうれしかったですし、よかったなと思います。塩野さんも『定子さん好きです』という感じで持ち上げてくださって、恥ずかし気もなく言葉で表現してくださる方だったので、救われた感覚が強かったです」

定子は14歳のときに11歳だった一条天皇のもとに入内。現在32歳の高畑が、初登場時は実年齢よりもはるかに若い定子を演じ、一条天皇の子供時代を演じた柊木陽太との年齢差は20歳だった。

高畑は「登場したときに一条天皇が20歳ぐらい下だったのが一番厳しかったです。さすがにと思いましたが、それも大河ドラマの醍醐味だなと思います」と振り返り、「どう見たって同世代には見えないと思ったので、変に若作りしなきゃという感覚よりも、感情が複雑ではなくピュアな状態で入り、そこからいろんなことを考えないといけなくなるという心持ちでいました」と気持ちの面を大事に演じたと明かす。