スペイン代表が史上最多4度目のEURO優勝 [写真]=Getty Images

 EURO2024・決勝が14日に行われ、スペイン代表とイングランド代表が対戦した。

 今宵、欧州の頂点に立つチームが決定する。4年に1度の祭典において、ファイナルの舞台まで駒を進めたのは、大会史上最多4度目の戴冠を目指すスペイン代表と、悲願の初優勝を狙うイングランド代表の2チームだ。

 今大会、スペイン代表はイタリア代表、クロアチア代表、アルバニア代表と同居する“死の組”ことグループBに組み込まれた。このグループを3戦全勝で首位通過すると、決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)では今大会初の失点を喫したが、その後一挙4ゴールを奪って逆転勝利。続く準々決勝ではドイツ代表と死闘を演じながら、延長後半終了間際の119分にミケル・メリーノが値千金の逆転ゴールを奪い、2-1で開催国を撃破した。準決勝ではフランス代表に先手を取られたものの、ラミン・ヤマルとダニ・オルモの得点で2-1と逆転に成功。EURO史上初となる6戦全勝で決勝の舞台へ辿り着いた。

 一方、イングランド代表はグループCに入った。セルビア代表、デンマーク代表、スロベニア代表を抑え、1勝2分で首位通過したが、“優勝候補”とは程遠い出来から批判の声もしばしば。ラウンド16のスロバキア代表戦は後半アディショナルタイムまで0-1だったものの、試合終了間際にジュード・ベリンガムがチームを救うバイシクルシュートを叩き込むと、延長前半にハリー・ケインが得点を奪って2-1と逆転に成功。続く準々決勝のスイス代表戦でも、終盤まで1点ビハインドだったが、ブカヨ・サカのゴールで1-1の引き分けに持ち込み、PK戦の末に勝利を勝ち獲った。準決勝のオランダ代表戦は、立ち上がりの失点で1点を追いかける展開となったが、ケインのPKで同点とすると、後半アディショナルタイムにオリー・ワトキンスが劇的逆転弾をゲット。批判を浴びながらも、決勝トーナメントに入ってからは何度もドラマを起こし、2大会連続で決勝戦へ進んだ。

 両チームは過去の国際Aマッチで通算27回対戦。その成績はスペイン代表が10勝、イングランド代表が14勝、引き分けが3つとなっている。なお、EURO本大会では2度対戦しており、PK戦も勝利とみなすと、どちらもイングランド代表に軍配が上がっている。

 タイトルを懸けた大一番に向けて、スペイン代表のスターティングメンバーには、出場停止のため準決勝を欠場していたダニエル・カルバハルとロビン・ル・ノルマンが戻ってきている。対するイングランド代表は、負傷の影響で合流が遅れていたルーク・ショーが、満を持して今大会初の先発に名を連ねた。

 試合は立ち上がりから拮抗した展開が続き、両チーム集中力を切らさない熱戦が繰り広げられる。スペイン代表はニコ・ウィリアムズ、ヤマルの突破から何度かゴールに迫る場面を作るも、イングランド代表の最終ラインが激しい守備でフィニッシュまで持ち込ませず、なかなか決定機は生まれない。

 イングランド代表は守備ではきっちりとタスクを全うしたが、なかなか攻撃に転じる場面を作れない。チャンスシーンは限定的だったが、前半終了間際にはベリンガムが高い位置でのプレッシングでカルバハルからボールを奪い取り、中央へ繋ぐと、待ち構えていたケインが右足シュート。ここはブロックに阻まれるも、続く前半アディショナルタイムには、セットプレーからフィル・フォーデンが枠内シュートを放ったが、今度はGKウナイ・シモンに阻まれた。

 スコアレスで後半に折り返すと、スペイン代表にアクシデントが発生。中盤で代えの効かない存在に君臨していたロドリが、負傷のため途中交代を強いられ、代わってマルティン・スビメンディがピッチに送り出される。背番号16を欠くこととなったが、立ち上がりの時間帯に均衡を破ったのはスペイン代表だった。

 47分、右サイド開いた位置でファビアン・ルイスからのパスを受けたカルバハルが、ダイレクトでスペースへ流し入れると、うまく前を向いたヤマルが一気にカットイン。ボックス左のスペースへ送ると、遅れて入ってきたニコがダイレクトで仕留めた。スペイン代表の強烈な“両翼”がファイナルの舞台で持ち味を発揮し、スペイン代表が先手を取っている。

 このゴールで勢いに乗ったスペイン代表は、続く49分にボックス内でニコからのパスを受けたオルモが左足を振り抜くも、ここは枠の外へ。55分には中盤のスペースで前を向いたヤマルがスルーパスを送り、抜け出したアルバロ・モラタがダイレクトでシュートを放つが、ここはジョン・ストーンズが決死のブロック。66分にはニコからの縦パスをモラタが落とし、サポートしたオルモがスルーパスを送ると、ボックス右からヤマルが左足を振り抜く。シュートは枠を捉えたが、ここはGKジョーダン・ピックフォードが立ちはだかった。

 イングランド代表は直前の64分にベリンガムが鮮やかなターンから決定機を迎えたものの、スペイン代表にゴールを脅かされ続ける時間が続く。それでも、押し込まれることの多かった後半立ち上がりの時間帯を1失点で乗り切ると、73分には途中出場していた背番号24が大仕事をやってのけた。

 イングランド代表は自陣からうまくボールを繋ぎ、右サイドのスペースでパスを受けたサカがドリブルを開始。タイミングを見て中央へ渡し、ボックス内で待っていたベリンガムがマイナスへ落とすと、後ろから走り込んできたコール・パルマーが左足一閃。グラウンダーの一撃を突き刺した。直前の70分に途中出場していたパルマーが、即座に起用に応えるゴールを記録。イングランド代表が試合を振り出しに戻した。

 その後は両チーム悪くないシーンを作りながらも、試合は終盤へ向かっていく。このまま延長戦突入も予想された86分、再び試合が動く。ピッチ中央付近で前を向いたファビアンが斜めの方向へ繋ぐと、引き取ったダニ・オルモが縦へ渡す。反応したミケル・オヤルサバルが外へ展開すると、左サイドを駆け上がったマルク・ククレジャがアーリークロスを供給。動き直したオヤルサバルが自ら左足で沈め、スペイン代表が勝ち越しに成功した。

 後がないイングランド代表も残る時間で悪くないシーンを作りながら、最後の最後まで同点ゴールを挙げることができず、試合はこのままタイムアップ。スペイン代表がイングランド代表を2-1で下した。

 この結果、スペイン代表が2連覇を達成した2012年大会以来、3大会ぶりの優勝を成し遂げた。これまで、ドイツ代表と並んで歴代最多タイの数字となる3度の優勝を誇っていたものの、この勝利により単独トップに踊り出た。一方で、イングランド代表はPK戦の末にイタリア代表に敗れた前回大会に続いて、またも決勝の舞台で涙を飲む結果となっている。

【スコア】
スペイン代表 2-1 イングランド代表

【得点者】
1-0 47分 ニコ・ウィリアムズ(スペイン代表)
1-1 73分 コール・パルマー(イングランド代表)
2-1 86分 ミケル・オヤルサバル(スペイン代表)

【スターティングメンバー】
スペイン代表(4-2-3-1)
GK:ウナイ・シモン
DF:ダニエル・カルバハル、ロビン・ル・ノルマン(83分 ナチョ・フェルナンデス)、アイメリク・ラポルテ、マルク・ククレジャ
MF:ロドリ(46分 マルティン・スビメンディ)、ファビアン・ルイス;ラミン・ヤマル(89分 ミケル・メリーノ)、ダニ・オルモ、ニコ・ウィリアムズ
FW:アルバロ・モラタ(68分 ミケル・オヤルサバル)

イングランド代表(3-4-2-1)
GK:ジョーダン・ピックフォード
DF:カイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズ、マルク・グエイ
MF:ブカヨ・サカ、コビー・メイヌー(70分 コール・パルマー)、デクラン・ライス、ルーク・ショー
FW:フィル・フォーデン(89分 イヴァン・トニー)、ジュード・ベリンガム;ハリー・ケイン(61分 オリー・ワトキンス)