「マイナビ2025年卒学生就職モニター調査(5月の活動状況)」では、2025年卒の就活生の活動状況に加えて、就職活動の感触や企業選択のポイントなどについてもアンケート調査をしています。
その結果から、少しだけですが今どきの就活生の就職観や職業観が垣間見えてきました。今回はその特徴についてご報告します。
売り手市場でも選考の早期化を懸念
まずは、就職活動の感触について見ていきましょう。
先輩と比較して、自分たちの就職活動が楽になると思うか、それとも厳しくなると思うか聞いたところ、「かなり厳しくなる」(5.4%)と「多少厳しくなる」(21.1%)の合計は26.5%で、「かなり楽になる」(3.5%)と「多少楽になる」(14.9%)の合計18.4%を上回る結果となりました。
楽になると思う理由の1位は「売り手市場(学生が有利)だと思うから」(53.8%)で、学生自身は売り手市場を実感していることがわかります。
一方で、厳しくなると思う理由の1位は「採用選考が早期化しているから」(68.9%)で、売り手市場を実感しつつも、人手不足、採用難を背景とした企業の採用選考の早期化を負担に感じている学生は少なくないようです。
強まる大手企業志向、企業選択では「人間関係、勤務地、自己成長」を重視
次に企業選択のポイントについて確認します。
現在の活動の中心である企業規模について5段階で聞いたところ、「中小企業中心」(7.0%)と「どちらかといえば中小企業中心」(11.2%)を合計すると18.2%。
一方、「大手企業中心」(31.3%)と「どちらかといえば大手企業中心」(23.0%)の合計は54.3%で、大手企業を中心に活動している学生が多いことがわかりました。
「大手企業中心」と「どちらかといえば大手企業中心」の合計数値は23年卒から2年連続で増加しており、売り手市場を背景に学生の大手企業志向は徐々に強まっていると言えるかもしれません。
また、企業を選ぶときに特に注目するポイントを確認してみると、「社員の人間関係が良い」(13.4%)、「希望する勤務地で働ける」(12.3%)、「自分が成長できる環境がある」(11.9%)が上位に入っており、給与の高さや福利厚生の充実度よりも、職場環境や自分の成長可能性を重視していることがわかりました。
ワークライフバランスを重視、63.8歳までは"そこそこ働きたい"
最後に、将来は何歳まで働きたいと考えているか、自らの職業人生についてどのように考えているかも見てみます。
「人生100年時代が到来すると言われますが、あなたは何歳まで働き続けたいと思いますか」との質問に、文理、男女で少し違いはありますが、平均すると63.8歳まで働きたいと考えているという結果が出ています。
また、「人生100年時代に向けた今後の働き方として、あなたの考えに近いもの」を聞いたところ、「ある程度昇進して、管理職として仕事をしていきたい」(34.9%)や「会社の経営層に加わりたい」(21.1%)を抑えてトップに入ったのは、「ワークライフバランスを重視してそこそこ働ければいい」(53.8%)。
出世や昇給よりも、自分らしい生き方を大切に充実した人生を送りたいと考えている学生が多いことがわかります。
今回は、アンケート調査結果を基に、学生の就職観や職業観を探りました。一側面に過ぎないとはいえ、VUCAの時代を生きる就活生を理解する一つのヒントにはなるかもしれません。