サントリーは8日、ビール事業マーケティング説明会を開催。『ザ・プレミアム・モルツ』『サントリー生ビール』『金麦』など、主力商品の夏最盛期に向けたブランド展開について紹介した。
■顧客接点を拡大する
サントリー 常務執行役員の多田寅氏は、市場の環境変化について「段階的な酒税改正が行われています。ビール350ml缶の酒税は2026年10月より54.25円となり、発泡酒、新ジャンルと同額になります」と説明する。ではビールが安くなったら、発泡酒、新ジャンルを飲む消費者はいなくなる? そんな疑問には「ビール類の酒税が1本化された後も(現在の店頭価格を基点に)複数のカテゴリは残る、と考えています。サントリーでは、プレミアムビール、スタンダードビール、エコノミー、機能系に展開するポートフォリオで、引き続きお客様との接点をしっかりつくっていきます」と多田氏。
サントリーの2024年上期の実績は、ビール類総市場で前年割れの推定。多田氏は「年初には、今年はビールの年にしたいと申しましたが、市場予測より5ポイントほどビハインドしている状態です」と報告する。
ただブランド別に見てみると『ザ・プレミアム・モルツ』『サントリー生ビール』『パーフェクトサントリービール』については前年を超える売上を記録。これを踏まえ「引き続き、お客様の支持を得ていると認識しております」とした。
下期のマーケティングでは、多様化する消費者のニーズに応えていく。「ひとつは、お客様にとって魅力あるブランドをつくること、そして飲食店などリアルな接点で美味しいビール体験を提供する。そのうえで、新しい価値を創造してまいります」と多田氏。
『ザ・プレミアム・モルツ』では引き続き、シーンに寄り添った提案と美味しいプレモル体験を拡大。プレミアムビールとしてのプレゼンスを高めていく。夏最盛期の提案としては「コロナが明けたことで、今年の夏は完全に解放された気分でリアルに人が集まり、一緒に乾杯するシーンが増えると予想しています。一緒に喜びを分かち合う、そのような場面でプレモルを選んで欲しい。せっかくの夏だからプレモルを飲んでみよう、という気分を醸成できるマーケティング展開をしていきます」。
女優の広瀬すずさんを起用した新CM「いい日、プレモル。夏祭り」篇は7月8日より放映開始。また食べログの協力なども得つつ"神泡"を通じた接点拡大に努める。
一方で『サントリー生ビール』がターゲット層に想定するのは、40代以下の比較的若い消費者。多田氏は「みんなの定番ビールを目指すにあたり、まだまだお客様接点が足りないと感じています」と説明する。そこで、同商品を取り扱う飲食店を年末までに2万店まで拡大する。「その際、この店舗にはサントリー生ビールがあります、ということを店舗内外に大きく訴求できるような広告を考えています。このほか、ビアガーデンなどのイベントにも積極的に提案していきます。イベントでは200万人に向けてサントリー生ビールをアピールしたい」。
ちなみにSNSでは、テレビCMに登場するマグジョッキについて「このジョッキで飲んでみたい」「あのジョッキかわいいな」「どこで手に入りますか」といった書き込みが見られた。そこでサントリーでは9月1日から11月26日までの期間に「絶対もらえるキャンペーン」を実施する。
エコノミーのカテゴリで展開する『金麦』シリーズでは、季節の訪れ×晩酌・食卓の豊かさ、というテーマで展開する。「家で飲むには、金麦がイチバン良いよね、というお客様にしっかり選んでいただけるようにする」と多田氏。
新提案としては、北海道で4月に限定発売した『金麦サワー』を10月15日より全国で発売する(数量限定)。香料・甘味料を使用していない、ビール醸造技術で作り込んだビアタイプのサワーとなっている。
『ビアボール』については、自分好みに色々な割り方が楽しめる価値を訴求。若年層に向けてブランド認知・トライアル拡大を図る。「酒類新規やライト層から好意的な声をいただいております。まだ晩酌の習慣のない若い世代などに、これからの新しいお酒としてしっかり訴求していければと考えています」。
最後に、今年の販売計画を紹介。ビール計で前年107%を目指している。「とりわけ『サントリー生ビール』は前年比1.5倍の600万ケースを販売します。お客様との接点をしっかり作っていきたい。金麦は前年比96%を予想しますが、こちらもお客様との接点を減らさないよう、また新しいお客様との絆を作れるようなマーケティング活動を展開していければと考えております」と説明した。