村上春樹、ウーピー・ゴールドバーグの“歌”の魅力を語る「ウーピーさんの歌は、歌というより…」
作家・村上春樹さんがディスクジョッキーをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「村上RADIO」(毎月最終日曜 19:00~19:55)。6月30日(日)の放送は「村上RADIO~歌う映画スターたち~」をオンエア。村上春樹さんが持っている秘蔵の音源の中から「えっ!? こんな人も歌っているの?」と少し驚いてしてしまうような楽曲を放送しました。
この記事では、中盤3曲について語ったパートを紹介します。



◆Whoopi Goldberg「You Got It」
◆Bonnie Raitt「You Got It」
ウーピー・ゴールドバーグがロイ・オービソンのヒットソング「You Got It」を歌います。もっともウーピーさんの歌は歌というよりは語りに近いものなので、ここではそのあとをボニー・レイットが引き継いで歌ってくれます。ウーピー・ゴールドバーグとボニー・レイットが歌います。「You Got It」。

これは「Boys on the Side」という映画のサントラ盤に収められています。1995年の作品、この映画にはウーピーさんも主役の1人として出演しています。僕はこの映画はまだ観ていないんですけど、女性3人が友情で結ばれていく、いわゆる“シスターフッドもの”だということです。サウンドトラックの曲もすべて女性歌手が歌っています。 まさに映画のタイトルどおり「ボーイズ・オン・ザ・サイド」“男は添え物”なんですね。

◆Robert Mitchum「Sunny」

今日は「歌う映画スターたち」という特集です。
タフガイから、コメディーまで、幅広い役柄をなんでもすらりとこなせる名優ロバート・ミッチャム。でも僕はやはりミッチャムというと、『狩人の夜』『恐怖の岬』といった不気味なサイコパスの役をつい思い浮かべてしまいます。あれ、ほんとに怖かったなあ。なにしろリアルにうまい俳優です。今で言えばロバート・デ・ニーロみたいなタイプなのかな。
それはともかく、この人はみかけによらず、歌がとてもうまいんです。ピアノも弾けるし、作曲だってできます。自己名義のアルバムも何枚か出しています。今日はボビー・ヘブのヒット曲「サニー」を聴いてください。ロバート・ミッチャムが歌います。

◆Jack Lemmon「Try a Little Tenderness」
ミッチャムと同じ時代、主に1950年代~70年代にかけて活躍したベテランの演技派俳優、ジャック・レモンの歌を聴いてください。この人もなにかと器用な人で、ピアノもダンスも上手です。歌もなかなかのものです。ハーバード大学で学んだというインテリでもあります。もっとも在学中から演劇と歌に夢中になっていて、学業成績はあまりぱっとしなかったということですが。

ここではレモンは「Try a Little Tenderness」を心優しく歌います。
ジャック・レモンといえば『お熱いのがお好き』『アパートの鍵貸します』『おかしな二人』と素敵な映画がたくさんあります。基本的にはコメディー俳優なんだけど、シリアスな役もこなせます。コスタ=ガヴラス監督の映画『ミッシング』での、シシー・スペイセクの義理のお父さん役はとても印象的でした。

<番組概要>
番組名:村上RADIO~歌う映画スターたち~
放送日時:2024年6月30日(日)19:00~19:55
パーソナリティ:村上春樹
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/murakamiradio/