ドルトムントでの半年間で“ブレイク”を果たしたマートセン [写真]=Icon Sport via Getty Images

 アストン・ヴィラは28日、チェルシーからオランダ代表DFイアン・マートセンが完全移籍にて加入することを発表した。

 クラブからは契約期間、移籍金ともに明かされていないものの、イギリスメディア『スカイスポーツ』によると、マートセンはアストン・ヴィラと2030年6月30日までの6年契約を締結したという。移籍金は3750万ポンド(約76億円)程度の見込み。マートセンとチェルシーの契約には3500万ポンド(約71億円)の契約解除条項が付随していたが、これは今月頭に失効していたという。

 マートセンは2002年3月10日生まれの現在22歳。アカデミー時代にはフェイエノールト、スパルタ・ロッテルダム、PSVと母国のクラブを渡り歩き、2018年夏にチェルシーのユースチームへと加入した。2019-20シーズンのカラバオ・カップ(EFLカップ)3回戦グリムズビー戦でトップチームデビューを飾ったものの、豊富な選手層を抱えるチェルシーのトップチームでは主力に定着できず、以降はチャールトン、コヴェントリー、バーンリーとレンタル移籍による“武者修行”を繰り返す。それでも、バーンリーでプレーした2022-23シーズンは、チャンピオンシップ(イングランド2部)で39試合出場4ゴール6アシストを記録し、プレミアリーグ昇格に大きく貢献したほか、左サイドバックとしてリーグのチーム・オブ・ザ・シーズンにも選出。翌年はバーンリーへの完全移籍にも近づいたが、選手個人の意思で移籍を拒否し、チェルシーでのポジション争いに挑むことを決断した。

 チェルシーでシーズンをスタートさせた2023-24シーズンは、プレミアリーグで12試合、カラバオ・カップで3試合に出場したものの、スタメンでの出場機会はわずか3試合のみ。満足できる出場機会は得られず、冬の移籍市場では、ドルトムントへのレンタル移籍を決断していた。

 自身初の国外挑戦となったが、ドルトムントでは加入直後から左サイドバックの定位置を確保。チャンピオンズリーグ(CL)でも、チームに合流した決勝トーナメント1回戦(ラウンド16)以降は全試合にフル出場し、11年ぶりとなるファイナル進出に大きく貢献した。最終的にはブンデスリーガでも16試合に出場して2ゴール2アシストを記録。この活躍を受けて、ドルトムントは完全移籍での獲得も考慮したものの、契約解除金の高さがネックとなって獲得を断念していた。

 また、昨年10月にはオランダ代表に初招集。これまで国際Aマッチに出場した経験はないが、EURO2024を目指すオランダ代表の候補メンバーに選ばれると、直前でメンバーに負傷者が出たことで、追加招集によりメンバー入りを果たしていた。そのため、現在はオランダ代表の一員としてEURO2024を戦っている。

 2023-24シーズンのプレミアリーグを4位で終え、来季は1983年以来41年ぶりのCLを戦うアストン・ヴィラ。今夏の移籍市場では、既にエヴァートンからイングランド人FWルイス・ドビンの完全移籍加入を発表しており、マートセンは2人目の補強選手となった。

【動画】ヴィラがマートセン加入を正式発表!