誰もが好きなとんかつ!分厚い豚肉を揚げたジューシーな味わいがたまらない。そう、とんかつは肉の厚みが重要だ。

ところが沖縄県のとんかつはちょっと違うらしい。沖縄のおにいさんたちに東京のとんかつの写真を見せると「これを半分くらいに潰したやつ」と言うではないか。半分?そんなに薄いのか?「スマホくらいかも」って、そんなに薄いと衣だけじゃないの?

別の沖縄県民集団にも見せると「これだと揚げるのに時間かかる」とネガティブに言う。「こんなの出てきたらびっくりする。ないないない」と全否定されてしまった。

さらに調査を進めていると見たことあるお二人が。あ!沖縄のバンドHYのリーダー新里英之さんとボーカルの仲宗根泉さんではないか!とんかつについて聞くと「薄く叩いて伸ばせるだけ伸ばして揚げる」そうだ。やっぱり薄いやつ!「よくここに目をつけましたね!」と感心してくれた。

沖縄市の食堂「まるなか」へ行くと、出てきたとんかつ定食のとんかつの薄さは一般的なとんかつの約半分、1.2cmだった。ハムカツみたいだけど。

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でも沖縄県民は「薄いとは全然思わない」と言い張る。「なぜ薄いか考えたこともない」

今度は有名な宜野湾市の「ルビー」へ。この店のとんかつも薄いぞ、9.4mmで、なんと1cmを切った!

那覇市の「ホーリー」ではカツカレーを注文すると、さらに薄く8.2mm

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とんかつは厚いのが魅力では?と聞いてみると「薄いのが正義です!」と断言された。食べ応えがないのでは?とつっこんでも「だから2枚ある」と返す。沖縄の食堂ではとんかつは2枚が普通なのだ。「歯が弱いおじいおばあでも食べられる」と、どうしても薄いのが正義にしたいようだ。

この違いは、肉の部位がポイント。普通は背ロース肉を使うが、沖縄のトンカツは肩ロースを使う。

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筋が多いので細かい切れ目を入れ、叩きまくるので薄く引き伸ばされるのだ。

そもそも、同じとんかつでもルーツが違う。普通のトンカツは、フランス料理で子牛を揚げるコートレットを真似たもの。

一方沖縄のトンカツは、米軍で食べられていたイタリアのコトレッタ(ミラノ風カツレツ)がルーツ。米軍の基地の人々が叩いて叩いて大きなとんかつにして食べたのが伝わったのだ。

また、うるま市の「うまさん堂」ではとんかつにフライドポテトが添えられる。それに沖縄のお父さんはケチャップをかけている!

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そういえば別のお店では目玉焼きが添えられていて、途中で黄身にとんかつをつけて食べていた。そしてカラシは誰も使わない!「たぶん沖縄で使う人はいない」と言われた。

薄いだけじゃなく、何から何までとんかつの常識が違う。でもだんだん、薄いとんかつも食べてみたくなってきた。肩ロースを叩いて伸ばして、今度作ってみようかな!