6月28日にスタートするTBS系金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』(毎週金曜22:00~)で人気政治家・清家一郎役を演じる嵐の櫻井翔にインタビュー。自身初の政治家役を演じる心境を聞いた。

  • 『笑うマトリョーシカ』清家一郎役の櫻井翔 (C)TBS

早見和真氏の同名小説を原作とする本作は、主人公の新聞記者・道上香苗(水川あさみ)が、若き人気政治家・清家一郎(櫻井翔)と有能な秘書・鈴木俊哉(玉山鉄二)を取り巻く黒い闇を追うヒューマン政治サスペンス。物語の最重要人物である、笑顔の裏に黒い疑惑が渦巻く政治家・清家を演じる櫻井は、2010年の日曜劇場『特上カバチ!!』以来約14年ぶりのTBS連続ドラマへのレギュラー出演となる。

「貫禄、風格をどう出せばいいのか」戸惑いも明かす

――本作のオファーを受けた際の感想を教えてください。

びっくりしましたね。いろんなびっくりがあって。まずは政治家という役柄だということに1つ。あとはTBSの作品が久しぶりだったことも1つ。2024年は1月クールのドラマにも出させてもらっていて、同じ年に2つの作品に出るということも初めてなので、そういったところにもびっくりしました。

――原作を読んだ感想を教えてください。

「人が入っていると思ってノックした部屋を開くと、誰もいなかった」というようなことが何回も続いていく感覚がありました。それこそマトリョーシカの殻を捲るように、幾重にも重なる話に引き込まれましたね。台本とは別に清家を演じるヒントになりそうな描写が細かく描かれているので、台本を読みながら「あれ、このシーンって原作だとどうだったかな?」と思った時に照らし合わせるために、すごく近くに置いてあります。

――政治家を演じることにプレッシャーはありますか?

実際に同世代の政治家の方もいらっしゃいますが、やはり圧倒的に僕より年上の方が多いと思うので、その貫禄、風格というものをどう出せばいいのか、正直戸惑いもありました。でも原作を読んで、清家は私たちと遠くない存在の政治家だと感じたので、あまり型にはめて演じなくてもいいのかなと。クランクインは第1話の記者会見のシーンでしたが、囲み取材やぶら下がり取材のようなイメージで現場に入ると、厚生労働省の台や日本国旗が掲げられた完全な会見場が組まれていて。シチュエーションに圧倒されて久しぶりに緊張しましたね。あとは組閣のシーンも印象的。清家は厚生労働大臣としてその場に立っているのですが、こちら側からの景色はこう見えるんだと疑似体験した感じで。ここにいる全員が国を司る中心にいる人たちだと思うと、不思議と圧を感じました。

――清家という役はつかめてきていますか?

まだ現時点では、現場に来ては清家の役をはめて、また来てははめて、という状態。都度チューニングをしながらといった感じです。清家という役は、全話通して見てみて、今どの立ち位置にいるのかというところのチューニングがものすごく難しいので、俯瞰で見ている監督やプロデューサーとディスカッションして意見をもらうという部分が本当に大きいんです。そんな中でも、清家が“まっすぐに見える”ようには演じたいなと思っています。

同世代の水川あさみ&玉山鉄二との作品作り「すごく幸せ」

――主人公・道上についてはどんな印象をお持ちですか?

原作とはまた違う顔が見えて、キャラクターの幅が広がっているのがドラマ版の道上の面白いところの一つだと思います。清家と道上は中盤になるとそんなに会うチャンスがないんですよ。だから“遠距離恋愛”とは言いませんが、ある意味それに似たようなつながり、緊張感みたいなものがあって、それが作品の一つの筋になってくるように思います。水川さんとは10年前に夫婦役でご一緒して以来の共演で、プライベートで会う機会の方が多くて。彼女の現場での佇まいというのを僕は知らなかったので、たくさんのスタッフとコミュニケーションをとりながら現場の輪の中心にいて、リーダーシップをとっている姿はすごく新鮮でした。

――高校時代から清家を支え続けている鈴木も清家にとって欠かせない人物。演じる玉山さんとは初共演ですが、印象を教えてください。

玉山さん演じる鈴木のすごみは現場でひしひしと感じています。玉山さんはいろんなところにアンテナを張っている方だなという印象で。クランクインから2、3日目がちょうど世の中的に補欠選挙が終わったタイミングだったんですが、その選挙の話から大リーグの話まで話題が豊富で、いつこんなに情報収集をしているんだろうと思いました。あとは2人でプロテインやサプリなど、体づくりの話もよくしていて(笑)。現場でいろいろな話ができて面白いです。水川さんも玉山さんも僕と同じ1980年代生まれの同世代。同じ時代を生きてきた人とこのタイミングで新しく出会って同じ作品を作れるのはすごく幸せだと思いながら過ごしています。

――ちなみに、本作は清家の素顔に迫っていく作品ですが、櫻井さんご自身の誰にも知られていない意外な素顔はありますか。

25年以上もこの世界にいるので、皆さんが知らない素顔なんてほぼないと思うんですが、この間美術スタッフさんでご家族で嵐を応援してくださっていた方から「足細いんですね」って言われました(笑)。15年近く家族で応援してくださっている方から見てもそう思うんだから、そこは意外な部分なのかもしれません。

――最後に、この作品に感じる手応えや期待感を教えてください。

この作品は、いわゆる遊園地のようなキラキラした華やかなタイプのエンターテイメントではないかもしれないけれど、「これはどうなっているんだ?」「誰なんだ?」「何なんだ?」という謎の部分にモヤモヤしながら楽しんでいくという意味で、やっぱりエンターテイメントなんだと思います。1話ごと違う場所に光が当たって、見えるものがだんだん変わっていく。そういうエンターテイメントをじっくりと楽しんでもらいたいなと。現時点では同世代3人の一体感というところが表に出ていますが、物語が進むにつれ登場人物も増えていき、大所帯のチームになっていくので、みんなで力を合わせて大きな絵を描けたらと思っています。