• 本稿の主人公、中座 真。彼の昇段劇は今でも語り継がれている

    本稿の主人公、中座 真。彼の昇段劇は今でも語り継がれている

平成8年3月7日、私は四段に昇段した。最終戦。私が負け、三人の競争相手が負け、最後は順位の差で私に昇段が転がり込んだ。私の昇段の棋譜は、負けた棋譜ということになる。その棋譜は、自分が将棋を諦めた一局でもあった。今回改めてその棋譜を並べ直してみる。私は一瞬にして当時にタイムスリップしてしまった。盤の中から、その時の自分の鼓動、息使いが聞こえてくる。胸が苦しくなった。