インフキュリオンは6月18日、「決済動向2024年上期調査」の結果を発表した。調査は2024年4月5日~4月7日、全国の16~69歳の男女20,000人を対象にインターネットで行われた。

  • 決済動向2024年上期調査

「キャッシュレス派」自認は65%、39%は現金利用の減少を申告

「現金派」と「キャッシュレス派」に分けるとしたら、あなた自身はどちらになると思いますか、という質問に対し、65%が「キャッシュレス派」と回答した。昨年同時期の調査と比較すると、キャッシュレス派は4ポイント増加している。また、「1年前とくらべて、あなた自身の現在の決済方法に変化はありますか」という質問に対しては、59%がコード決済アプリの利用が増加したと回答した。一方で、現金の利用は39%が減少という結果に。

現在多くの場所でコード決済を始めとするキャッシュレス決済を行う環境が整備されている。多くの人の日常的な決済手段として、キャッシュレス決済が選択されるようになっていることがわかる。

  • キャッシュレス派・現金派 割合

  • 主要決済カテゴリの利用増減

コード決済の利用率は過去最高値68%の一方、利用率減少に転じた個別サービスも

「利用している決済手段」を尋ねる質問ではコード決済アプリの利用率が過去最高値の68%となった。また、「利用している個別サービス」を尋ねる質問では、PayPayの利用率が51%と続伸した。また、楽天ペイが利用率23%と前回調査より3ポイント上げ、個別サービスの利用率順位で4位になった。FamiPayも2ポイント上昇し利用率拡大を継続している。一方で、今回の調査では減少に転じたサービスも確認した。

コード決済が日常に浸透し始めたことで、近年では事業者から提供されるコード決済アプリやサービスも多様化してきた。しかし、個別のコード決済アプリの利用率に目を向けると利用率を上昇させたサービスがある一方で、利用率減少に転じたサービスも。本調査結果は、コード決済の"初利用"というハードルを越えた消費者が、生活環境下において高頻度で利用できるサービスやキャッシュバックのような利用の動機付けがあるサービスなど、自身にとって利用しやすいコード決済アプリを取捨選択し始めていることを示唆している。

  • 決済カテゴリの利用率推移

  • 個別サービスの利用率推移

クレジットカード利用者の半数はタッチ決済を日常的に利用

「タッチ決済」を利用したことがありますか、という質問に対して、クレジットカード利用者は50%、デビットカード利用者は35%が、タッチ決済を日常的に利用していることがわかった。国内のクレジットカードの保有率を考えると、今後タッチ決済対応端末が生活環境で増加することでタッチ決済利用者も増加していくことが考えられる。将来的には、現在勢いを増しているコード決済アプリの利用率に変化を与える可能性も考えられる。

  • タッチ決済の利用率

全業種でコード決済増の一方、クレカ・電子マネーは減となる業種も

各業種における決済手段について尋ねる質問では、キャッシュレス決済比率が高い業種は1位家電量販店、2位衣料品店、3位百貨店だった。現金比率が高い業種は、1位病院、2位処方薬局、3位美容サービス。また、2年前の同期比では、全業種でコード決済のポイントが増加し、ほぼ全業種で現金決済は減少に転じた。キャッシュレス決済の項目全てが増加した業種は病院だけだった。

2年前との比較により、病院や処方薬局のように現金決済が主流の業種は、現金からキャッシュレス決済への移行が着実に進んでいることがわかる。一方で、衣料品店や百貨店、スーパーなど以前よりクレジットカード利用が多かった業種やコンビニエンスストア、タクシー、ドラッグストアなど以前より電子マネー利用が多かった業種においては、それらの決済手段にコード決済アプリが代替されていることが明らかとなった。昨今、キャッシュレス決済環境は急激に整備され、消費者自身が好みにあった決済手段を選択できることが増加している。消費者が「自身の主流となる決済手段を"使える環境であればどこでも使う"」と考えるようになってきていることの現れとも言える。

  • 各業種においてもっとも利用した決済手段(美容院、理髪店などの美容サービスの項目は2023年の調査から追加)

  • 各業種における主要決済手段の利用率増減:2022年・2024年比

金融教育、学校教育で行うべきは「保険」「資産形成」

 「社会人にとって必要な金融サービスの知識」を尋ねる質問では、1位保険、2位キャッシュレス決済、3位資産形成の順に必要であるという回答になった。内訳は、保険、資産形成は「学校などで教えたほうがよい」の割合が多いのに対し、キャッシュレス決済は「個人で学べばよい」の割合が多い結果になった。また、「金融サービスの上手な利用法や注意点について学んだ経験」を尋ねる質問では、いずれの分野も「自分で学んだ」がトップ、住宅ローン以外の分野では「周囲の人に教えてもらった」が2位だった。

金融知識は学習したほうが良いという回答がいずれの項目でも過半数以上であるにも関わらず、知識の獲得方法は独学であったり知人からの伝播だったりとインフォーマルな経路で習得している回答者が多いことがわかった。金融知識の獲得において、学校教育や職場研修の存在感は小さいと言える。

  • 金融教育の必要性に関する意見

  • 金融知識の獲得方法