キリンビールの『キリン のどごし〈生〉』が発売20周年の節目に中味とパッケージをリニューアルする。ホップを添加するタイミングと量を変更するなどして「トップの香りと飲みごたえ」および「後キレ」を強化した。担当者は「爽快なうまさが、さらに進化しました」とアピールする。全国の販売店では、すでに商品の入れ替えが始まっている。

  • 『キリン のどごし〈生〉』がリニューアルした。価格は現行品と変わらず。250ml、350ml、500mlの缶、15Lの樽で展開する

■のどごし〈生〉の、これまでとこれから

冒頭、キリンビール マーケティング部の佐藤洋介氏が説明した。『キリン のどごし〈生〉』は2005年4月の発売から20年が経つロングセラー商品。累計販売本数は200億本を突破し、いまなお新ジャンル市場を牽引し続けている。

佐藤氏は「景気の低迷が長く続いていた2005年の春に、日本の毎日をスカッと明るく元気にする、を使命として開発されました。ビールでも発泡酒でもない、新ジャンルのカテゴリから発売するということでお求めやすさはもちろんですが、元気が湧いてくるゴクゴク飲める爽快なうまさにもこだわったブランドです。お客様からは、長年のご愛顧をいただいております」と紹介する。

  • マーケティング部 発泡酒・新ジャンルカテゴリーマネージャー / 「キリン のどごし〈生〉」ブランドマネージャーの佐藤洋介氏

そんな『キリン のどごし〈生〉』も発売から20年。実はこれまでも、時代のトレンドに合わせながら14回もの中味のリニューアルを繰り返してきた。「飲みやすさだけでなく、しっかりうまいものを届けたいという思いから、ちゃんとした飲みごたえのある中味も大事にしてきました」と佐藤氏。なお商品パッケージはジョッキの生ビールを彷彿とさせる手に取りやすいデザインで統一されており、テレビCMについても見ているだけで元気が湧いてくるようなものを継続。ブランドイメージを大事に守り継いでいる。

  • 商品パッケージの変遷

  • 商品の20年の歩み

今後に向けては「お客様の”節約意識”は、この先もしばらく続くと予想しています。またコロナ禍を経て、好きなものを食べてリフレッシュする、という欲求も高まりました。皆様のデイリービールとして、新ジャンルのニーズは今後も底堅いと捉えています」と分析。そこで、独自価値で支持される『キリン のどごし〈生〉』をさらに進化させることで、市場のニーズにこたえていきたい、と力を込める。

■どこが変わった? 実際に飲み比べてみた

続いてキリンビール 商品開発研究所の宮下英理子氏が、リニューアルのポイントをまとめた。

「発売以来、これまで数え切れないくらいの試作を重ねてきた商品であり、さらに進化させる難しさがあります。またロングセラー商品ですので、中味について変えてはいけない部分の見極めも大事です。そこでお客様の声に立ち返りました。やはり皆様には、飲み始めの飲みごたえと飲み終わりの後キレが生み出す”落差”を評価いただいています。これを踏まえ、リニューアルについては『キリン のどごし〈生〉』の持つ強みをさらに伸ばしていく、という方針に決まりました」と宮下氏。

  • 商品開発研究所 中味開発グループの宮下英理子氏

具体的には、製造工程のなかでホップを入れるタイミング、量、比率などを調整。最終的に、雑味や渋みを抑えながらも、味の抑揚を強化することに成功した。

  • リニューアルした『キリン のどごし〈生〉』のパッケージ

  • リニューアルのポイント

実際にリニューアルした『キリン のどごし〈生〉』と、発売当時の味を再現した2005年品を飲み比べる機会を得た。たしかに2005年品は、飲みやすく喉越しがスッキリとしている。これが当時の人にヒットした理由だろう。一方で2024年品は香りが増しており、はじめにガツンとした飲みごたえが来た。ブランドならではの爽快さは引き継ぎつつも、味わいがより華やかになった印象。それでいて、飲んだあとはスッと後味が切れていく。ここで再び2005年品を飲み直すと、なるほどやや平板で、今度は物足りなさも感じてきた。人の舌は贅沢だ。

  • 2024年品と2005年品を飲み比べた。色は変わらないが……

佐藤氏は「これまで『キリン のどごし〈生〉』の中味研究を続けてきた先人たちの積み重ねが、まさに現在のブランドを形づくっているのを感じます」と話す。キリンビールでは『キリン のどごし〈生〉』について、「20年目」のキーメッセージを真ん中に据えたプロモーションを実施していく考え。俳優の桐谷健太さんに加え、あらたに伊原六花さんを迎えたテレビCMを6月17日より全国で放映開始する。店頭にも、等身大のポスターなどを設置して露出を増やしていくとしている。