レゾンデートルは5月31日、セックスレスの実態に関する調査結果を発表した。調査は2024年1月30日~2月3日、20~59歳の夫婦間レス当事者の男女623人(男性320人、女性303人)を対象にインターネットで行われた。
夫婦で「レス問題」を話し合ったことある?
妻や夫と「レス」について話し合ったことがあるか聞いたところ、男性の66.6%、女性の75.9%がこれまで「話し合ったことがない」と回答した。「話し合ったことがある」と回答したのは男性33.4%、女性24.1%のみで、レス当事者の大半が夫婦間でレスの問題に向き合えていないことがわかる。
年代別に回答状況を見ると、20代の場合、話し合った夫婦の割合は高いが、男性が55.0%と女性より15ポイントも高くなっている。男性の方がレスを問題視している実態がありそうだ。出産後にレスとなり、男性側がセックスを再開したいと考えているケースも想像できる。
これに対して30代では、女性の方が38.8%と7ポイントも高く、男性より話し合いに積極的な様子がうかがえる。子どもが少し成長し、女性側はセックスを再開できる態勢が整ったにもかかわらず、20代の頃はレスを問題視していた男性側が「妻とセックスする気が乏しくなった」「働き盛り世代で仕事に疲れ、帰宅後にセックスをする気力なくなっている」などの状況が生まれているのかもしれない。
40代男性は妻とのセックス再開に前向きになるが、女性は一気にトーンダウンし、対応する気がなくなっている。50代は男女とも低くなっているが、加齢による性欲の減退のほか、「性について話し合いにくい」という世代の特徴を反映しているかもしれない。
今後「レス問題」を夫婦で話し合うつもりはある?
今後、レスについて話し合うつもりはあるのか質問したところ、「ない」「あまりない」を合計すると、男性は69.0%、女性は81.6%にものぼった。大半のレス当事者が「話し合う気はない」と考えていることがわかった。特に女性の場合は5割以上がはっきり「ない」と答えており、強い意志が感じられる。
「ない」「あまりない」と答えた人には、これまで一度も話し合ったことがなく今後も話し合う気がない人、過去に話し合ったことはあるが今後は話し合うことがない人の両方が含まれ、前者が多い。
年代別にみると、20代・30代は男女ともに「あまりない」「少しある」の割合が大きく、「本当は話し合った方がよいかもしれない」という躊躇が感じられる。しかし40代になると、男性にはあまり大きな変化はみられないが、女性は一気に「ない」が増えて6割を超えている。
レスを話し合わないのはなぜ?
レスについて話し合わないのはなぜか質問したところ、意外なことに多くのレス当事者は「妻・夫とはもうセックスしなくてよい」と考えていることがわかった。レス男性の4割以上、レス女性の5割以上で、かなりインパクトの大きい数字といえる。
「配偶者ともうセックスしなくてもよい」と「もう誰ともセックスしなくてもよい」との回答の差にも注目できる。回答からは、「妻とはしなくてよいがセックスはしたい」「夫とはしなくてもよいがセックスはしたい」と考えるレス当事者が多数に上ることがうかがえる。
20代は「話題にしにくい」と「夫ともうしなくてよい」が並ぶ
夫婦間でレスを話し合わない理由を年代別にみると、20代は「話題にしにくいから」が、女性の「配偶者ともうセックスしなくてよい」と並んで最多の回答となった。回答結果は比較的分散されており、夫婦の性関係はまだ流動的で、回答者にはレスに対する葛藤がある様子がうかがえる。
なお、「不仲だから」という回答に大きな男女差があるが、過去の調査によると、セックスレスの最大のきっかけは妊娠・出産で、セックスレスの最多の原因は女性側の性欲減退や疲労であったため、妊娠・出産後のセックスの拒否を不仲ととらえる男性が一定数いるのかもしれない。
レス女性は30代ですでに「夫とセックスしたくない」
30代では20代よりも「話題にしにくい」との回答が増えている。レスの期間が長引いたせいで「タブーに近い話題」になった夫婦もいると推察される。また、20代に比べれば若干、性をオープンに語りにくい世代という影響もあるかもしれない。
注目すべきは「配偶者ともうセックスしなくてよい」と考える女性の急増。「誰ともセックスしなくてよい」も20代から倍増しているため、出産によるホルモンの変化、育児による疲労、ワンオペなどによる性欲減退の影響もあるのかもしれない。しかし回答全体を総合的にみると、「夫とセックスしたくない」ことが最大の理由と考えられる。
過去の調査では、「性的魅力を感じなくなった」「男女ではなく家族の関係になった」「相手の自分に対する感情が変化した」などの要因により、女性は30代から意識が大きく変化することがわかった。
40代で男女とも「配偶者とセックスしなくてよい」が最多に
40代になると、男性も「妻とはもうセックスしなくてよい」との回答が急増。女性は30代で夫とセックスする気がなくなり、後れて男性が40代で妻とセックスする気がなくなっている現状がわかる。
しかし「もう誰ともセックスしなくてよい」と考える男女は少なく、女性に至っては30代よりも減少している。子育てが少し落ち着いた年代であり、世間的には婚外恋愛に進む既婚者が多い年代でもある。
50代になると女性の性欲が大きく減退
50代では、「もう誰ともセックスしなくてよい」と考える女性が急増し、約4割に達している。夫婦間レスと性欲についての過去の調査でも、50代女性の7割が「性欲はない・あまりない」と回答している。更年期の影響も大きいのかもしれない。それに対して男性は性欲に変化がなく、回答にも反映されている。
夫婦のレスを誰かに相談したことある?
レス当事者は、夫婦でレスについて話し合うことが少なく、むしろあまり向き合っていない現状が明らかとなった。そして、男女とも40代になると夫婦の性生活を諦める傾向にあったが、20代の男女および30代の男性の場合は、まだ葛藤している様子もみられる。
そこで、夫婦間では話し合わなくても、友人や知人、親兄弟、専門家などに相談することはあるのか尋ねたところ、大半の当事者が「他人にレスを相談したことがない」という結果となった。
年代別にみると、20代・30代に限ればそれなりの割合で相談をしているようで、問題意識の高さを反映している。ただしここでも、40代男女での意識の違いが大きく出ている。