第74期ALSOK杯王将戦(毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社、日本将棋連盟主催)は一次予選が大詰め。5月28日(火)には都成竜馬七段―高田明浩五段の一戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、最終盤の粘りで逆転に成功した高田五段が126手で勝利。大きな一勝で二次予選進出を決めました。

都成七段が雁木でリード

本一次予選は16名前後からなるトーナメントを勝ち抜いた計9名が二次予選に進むもの。本局はその決勝に当たります。先手となった都成七段は雁木を志向、対して後手の高田五段は右四間飛車の攻撃陣を敷きました。中央の折衝が落ち着いて盤上は第二次駒組みへ。

右桂を跳ね出した都成七段は積極的な指し回しでペースをつかみます。3筋に連続でタタキの歩を放ったのが敵玉頭に拠点を作る鋭い手筋。銀桂交換の駒得を権利としつつ後手の指し手に制約を与えています。都成七段はその後も着実な手の連続でリードを拡大しました。

最終盤にまさかのドラマ

先手の寄せを見るばかりと思われた最終盤にドラマが待ち受けていました。3筋の拠点に金を打ち込んだ都成七段ですが千日手含みに粘る高田五段の受けに手を焼きます。一分将棋の秒読みのなか、千日手を回避すべく自陣に手を入れる形で打開したのが敗着となりました。

手番を得た高田五段はこちらも拠点に銀を打つ王手で反撃開始。こうなると攻め合いの速度が一手逆転した格好で、3筋に打った先手の金も質駒となって祟っています。終局時刻は16時59分、しっかりと先手玉を詰ませた高田五段の逆転勝利となりました。感想戦では都成七段が「最後、ひどかったです」と悔しさをにじませました。

水留啓(将棋情報局)

  • 2期連続での二次予選進出を決めた高田五段

    2期連続での二次予選進出を決めた高田五段