そもそも線状降水帯とは

(図:気象庁ホームページより引用) (20603)

via (図:気象庁ホームページより引用)

(図:気象庁ホームページより引用) (20602)

via (図:気象庁ホームページより引用)

大雨を降らす積乱雲が発生し、上空の風に流れされては次々と同じような場所で発生する、つまり、線状降水帯は“狭い範囲で同じ場所に大雨が数時間降り続く”現象のことです。
1995年~2009年に起きた集中豪雨を調べると、約3割が台風や熱帯低気圧、約6割が線状降水帯によるものだという研究結果があります。

線状降水帯の予測をすることは、大雨災害を減らすためにも非常に重要なのですが、発生メカニズムは未だ解明されていないこともあり、予測も難しいのです。
例えるなら、ゲリラ豪雨のピンポイント予測が難しいのに加え、それが同じ場所で発生し続けるという、空間的、時間的の二重の難しさがあります。

今年から線状降水帯の予測情報が更新

令和3年から線状降水帯は「発生情報」を出すようになり、令和4年からは地方単位で半日前に予測情報を出すようになりました。
それが、今年からさらに情報を絞り込んで、府県単位で発表するようになりました。
水蒸気観測の強化、スーパーコンピュータ強化によるものです。

(5/18放送ウェークアップより引用) (20608)

via (5/18放送ウェークアップより引用)

線状降水帯の予測情報は、今後より精度を上げていく見通しです。
2026年(2年後)には、大雨時、2~3時間後に降水が線状に形成されるような時には情報を出すようになります。2029年(5年後)には、半日前に市町村ごとに予測情報を出すようになります。

ちなみに、2029年には気象衛星ひまわり10号も新しく更新予定で、日本周辺の水蒸気を面的に観測する従来のやり方ではなく、3次元立体的に観測するやり方をとり、未だ解明されていないメカニズムや予測精度向上が期待できます。

(図:令和6年気象庁報道発表資料より引用) (20607)

via (図:令和6年気象庁報道発表資料より引用)

線状降水帯の予測精度は4回に1回

現段階で、半日前に線状降水帯の発生予測が出て、実際に発生したのは4回に1回です。
ただ、線状に形成されずに大雨になった回数も考慮すると、情報が出たら「災害級の大雨の可能性が高まっている」と考えて、早めに安全な場所に身を寄せて、レーダー、キキクル、河川の水位の情報など得てもらいたいと思います。

2029年にむけて精度が向上されていきますが、目先今から数年は、次世代のスーパーコンピュータを使って、情報の見逃しを減らす、つまり発生したのに予測できなかったということを減らそうとしています。

今年の梅雨の傾向

今年の梅雨の傾向は、日本列島に南から湿った空気が入りやすい、日本周辺の海水温が高い、そして最新の1か月予報によると降水量は、平年よりも多い予想です。
これらの情報から、今年も梅雨前半からシトシト雨ではなく、ザーッと強い雨に注意。
梅雨後半は、梅雨前線プラス台風の気圧配置の時は、特に災害級の大雨になりやすいパターンだと頭の片隅に置いておいてもらえればと思います。

ここ数年、毎年、災害級や観測史上1位とお伝えしていますが、それだけ実際に気候が激しくなっているということです。大雨の備えとこまめに情報を確認するということをしていただければと思います。