食品や文房具など、身の回りのさまざまな商品についている「ベルマーク」。子どもの頃にベルマークを集めていた人は、「懐かしい」と感じるのではないでしょうか。また、お子さんが通っている学校でベルマーク集めが呼びかけられている……という人もいるかもしれません。
しかし、ベルマークの詳しい内容を知る機会は、あまりないものです。そこで今回は、ベルマークの仕組みや集める意義・メリット、最近のベルマーク運動の状況などをご紹介します。
◾️ベルマークは何のために集める?
<ベルマークの役割>
ベルマークを集める「ベルマーク運動」は、子どもたちの教育環境の整備を目的に行われるボランティア活動です。具体的には、「自分たちの学校づくり」、そして「教育環境に恵まれない子どもたちへの支援」という2つの役割があります。
ベルマークを集めると、自分たちの学校に必要な教材や備品等が購入できますが、それとともに、購入金額の10%が自動的に寄付されます。寄付されたお金は、へき地の学校や特別支援学校のほか、被災地の学校支援などのために使われています。
ベルマークは、自分たちの学校の教育環境をより豊かにするためのものですが、それだけではなく、援助を必要とする子どもたちの教育にも役立てられているのです。
<ベルマーク運動の仕組み>
このような役割のあるベルマーク運動ですが、そもそもベルマークは、教育設備が乏しいへき地に勤務した教員が「都会の子どもたちと同等の教育を受けさせてあげたい」と訴えたことがきっかけで誕生しました。
そして1960年、へき地の学校などの教育設備の整備・充実を目的に「財団法人 教育設備助成会(現: ベルマーク教育助成財団)」が設立され、正式にベルマーク運動が始まったのです。
このベルマーク運動は、以下のような仕組みで成り立っています。
1.ベルマーク運動に賛同する学校のPTAや地域の市民センターなどがベルマーク集めを呼びかけ、集まったベルマークを集計してベルマーク教育助成財団へ送る
2.ベルマークの点数は1点1円に換算され、「ベルマーク預金」として積み立てられる
3.ベルマーク預金を使い、自分たちの学校に必要な教材や設備を「協力会社」から購入する
4.購入金額の10%がベルマーク教育助成財団に自動的に寄付され、援助が必要な学校のために使われる
なお、ベルマーク預金で購入できる備品には以下のようなものがあります。
・屋内外遊具
・体操器具
・扇風機
・パソコン
・CDラジカセ
・コピー機
・書籍
・楽器
・園芸用品 など
<ベルマーク運動でお金を出すのは>
ベルマーク運動では、ベルマークがついた商品を販売している「協賛会社」がお金を出しています。たとえば、「1点=1円」のベルマークがついた商品を買ってベルマークを集めた時、その1円を出しているのは商品を販売している協賛会社なのです。また、学校の備品や教材を販売する会社は「協力会社」と呼ばれています。
私たちがベルマークを集めると、協賛会社から点数に応じた金額が財団を通じて振り込まれ、「ベルマーク預金」となります。そして、ベルマーク預金を使って学校に必要な物品を協力会社から購入すると、購入金額の10%がベルマーク教育助成財団に寄付されるという流れです。
◾️オンラインから参加できる「ウェブベルマーク」も登場
こうした仕組みにより、子どもたちのより良い教育環境のために役立てられるベルマークですが、現在、ベルマーク運動は、どのような状況なのでしょうか。ベルマーク教育助成財団によると、2023年3月末時点では、全国で約2万6,000もの学校や団体がベルマーク運動に参加しています。
現在でも多くの学校・団体がベルマーク運動に参加していますが、少子化による学校の統廃合などの影響で、近年は参加団体の微減傾向が続いているようです。
そんな中、最近では、オンラインから行えるベルマーク運動も登場しています。この「ウェブベルマーク」は、ネットショッピングの際にウェブベルマークサイトを経由して商品を購入すると、自己負担なしに、注文金額の一部が自動的にベルマークとして加算される仕組みです。
加算されたベルマークは支援金となり、「ウェブベルマーク協会」からベルマーク教育助成財団に送られ、全国の学校の「ベルマーク預金口座」に加算されます。なお、支援金を送る学校は、お子さんが通う学校のほか、被災地の学校など自由に指定することができます。
ベルマーク運動に個人が参加する場合は、基本的に、学校や公民館などの団体・施設を通す必要があります。しかし、ウェブベルマークであればウェブベルマークサイトを通じて買い物をするだけですので、気軽にベルマーク運動に参加できます。
◾️ベルマークは子どもたちの教育環境を良くするために役立てられる
ベルマークは、自分たちの学校の教育環境を良くするだけでなく、不利な状況にある子どもたちのためにも役立てられています。集めるのが面倒と感じることもあるベルマークですが、こうしたメリットを知ると、少しベルマーク運動への見方が変わりそうです。ただし、ベルマークを集めるためにわざわざベルマークつきの商品を買うのは、負担が大きいもの。ベルマークを意識しつつ、必要なものを購入する際に無理のない範囲で参加したいですね。