フランス、モンレリ・サーキットで今年のイベントがスタート!テーマは「ヤングタイマー」

今年もオートドロム・ドゥ・リナ=モンレリ、通称モンレリ・サーキットでのイベントが始まった。最初に開催されたのはヤングタイマー・フェスティバル。1980年代、90年代の車によるイベントだ。サマータイムに入り、日が21時に沈むようになった。しばらくは春らしい暖かい日が続いたが、ここ10日ほどはすっかり冬に逆戻り。朝などは1℃という日もあり、車のウィンドウが霜で凍ったりしている。いったん片付けたヒートテックを引っ張り出してきた。そんな中、パリから30分ほどに位置するモンレリ・サーキットにはヤングタイマーな車たちが集まったのだ。

【画像】「ヤングタイマー」が集結して大盛り上がり。自慢のエンジンルームもアツい!(写真42点)

今年初めてのサーキットを訪れてみると、周辺の道路も改修され、きれいになっていることに気付いた。参加台数も増え、今まで以上の盛り上がりが感じられる。これは、モンレリ・サーキットが今年で100年を迎えることもあり、管理しているUTAC(自動車、オートバイ、および自転車の技術連合)が今まで以上に力を注いできた結果だ。

今年で100年を迎えるモンレリ・サーキットは、1924年10月4日、全周2.548kmのオーバルコースとしてオープンした。すぐにフランス・グランプリが開催され、翌年からはル・マンのコースのように公道と組み合わせが12.5kmのコースでのレースも開催された。ただし当時は誰もが車を持っているわけではなく、周囲に鉄道もなかったため、観客からの収益が見込めなかった。そのため、テストコースとして機能することになった。照明も導入され、24時間走行が可能なパリ近郊のサーキットとして、最高速度や耐久テストが行われた。1925年から1939年にかけて車の世界記録の86%がこの地で達成されたのだ。

第二次世界大戦が始まると、フランスはドイツによって占領され、このサーキットはドイツ軍によって収容所として使用された。フランスが解放された後は、アメリカ軍の燃料などの保管場所として使用され、その間にサーキットは劣化してしまった。1946年にはUTACが管理を引き継ぎ、テストコースとして再開する。現在もUTACがモンレリ・サーキットを管理している。自転車も含まれるが、これは1924年にレオン・ヴァンダーストゥイフトによって自転車で107.7km/hの世界記録が達成されたことに始まる。その後も自転車レースがここで行われていたからだ。

本格的なレースが開催されなくなった時期もあった。僕がここに来始めた1990年代は、行くたびに「これが最後で来年は解体されるよ」と言っていた。しかしヴィンテージブームなどが起こり、21世紀に入るとイベントが増加し、無事に100年を迎えることができそうだ。

モンレリ・サーキットでのイベントは一般的にはリラックスした雰囲気。でも今回はちょっと違う。早朝からパドックやパーキングはびっしりと車で埋め尽くされ、サーキット周辺でも渋滞が発生。大盛況である。

サーキット走行は、フランス車のヤングタイマーを1600ccでグループ分けし、それ以上とそれ以下のグループに分けられている。外国車も(もちろん日本車も)含まれ、2リッターで4つのカテゴリーに分けられた。参加者はヘルメットを着用し、順位を競うわけではないが、自由に走行できる。チューンナップされた車から通常通りの車まで、さまざまな車が混走する。

ヤングタイマーは、僕たちと同世代の人々が当時の車を乗り継いだり、趣味として乗ったりして、懐かしんだりしている。また、当時の憧れの車に乗ることもある。

ヤングタイマーをリアルタイムで経験していない世代は親の世代の車に興味を示している。レコードやカセットテープといった「80年代」はひとつのブームになっている。特に1600cc以下のクラスでは、手頃な価格で乗れる車が多いため、若い世代の割合が増えている。このような若い世代では、日本車を選ぶ人も多くいる。それを見越して、ホンダや日産などのメーカーもブースを出展しているのだ。参加台数が増えればこういったメーカーブースが充実してくる。中にはコスプレで参加する若者も見かけたが、やや浮いた雰囲気が漂っていた。

輸出されていなかった日本車は、日本から直接輸入されているため、右ハンドル。これを見る若者たちは珍しがっている。フランス車では、当時人気のあったプジョー205が多く見られた。クラブスタンドでも、205の台数が圧倒的だ。

ここに集まった車のほとんどは、平日のパリでは走行できない。なぜなら、登録から20年以上が経過した車はパリ市内では走行できないためだ。しかし、このイベントではそれを気にせず、思い切りサーキットを走行する。100年を迎えるモンレリ・サーキットは、こうして幕を開けたのだ。

写真・文:櫻井朋成 Photography and Words: Tomonari SAKURAI