いちごが富山県南砺市から譲り受けた歴史的建造物「旧井波美術館」(富山県南砺市)が3月15日、和食店「施膳ろくざんさ From INAMI」に生まれ変わりオープンした。
旧井波美術館は、1924年に銀行支店として建設された築100年を経過する歴史的建造物。このたび、耐震補強工事および飲食店舗へのリニューアル工事が完了し、薬膳日本料理をコンセプトに織り込んだ和食店としてオープンした。
富山県砺波市で「食堂633」を10年にわたって営んできた店主の水上喜貴氏が、食器や調度品は地元職人の作品から選び抜き、細部にまでメイドイン富山にこだわり、訪れる人々が富山の文化や豊かな風土を五感で感じ取ることができる日本料理を提供する。(1.2万円のコースのみ、税・サービス料別)
店はカウンター10席のみの完全予約制。特徴的な木のカウンターは、井波エリアの名家の庭にあった樹齢250年の檜を地元の材木会社から特別に提供してもらい、使用しているという。また、井波発の伝統工芸品のレンタルサービス「TRADAILY(トラデリー)」を活用し、井波彫刻を店舗の光壁に展示。作品は半年ごとに入れ替わる。
食材は南砺市や砺波市などの地元産を主軸としており、旬の野菜や魚はもちろんのこと、ジビエも取り入れる。また、地元の人々が受け継いできた郷土料理も多数織り込んで、豊かな風土と食文化の魅力を伝えていく。それらの料理は、地元作家の作品や伝統工芸品で提供される。
ご飯は、同エリアの方言で「ねがべっつい」と呼ばれる伝統的な炊飯法で炊き上げる。ガスや電気を使わずに、もみ殻などの自然の資源を燃料とするエコな調理方法だという。
店名の「施膳」は、中国医学に基づく食事療法の概念である「弁証施膳(べんしょうせぜん)」から取られ、個々人の体質や健康状態にとって最適な食材や調理法を選定し、薬膳料理を作る行為を指す。薬の街として知られる富山の歴史的背景とホスピタリティにインスピレーションを受け、地元食材のポテンシャルを活かして、その魅力を文化とともに伝えていく。