KDDIは、2023年11月~2月までの4カ月間、学校法人自由学園の教育プログラム「飛び級社会人」に賛同し、同校の高等科2年生2名をインターン生として受け入れました。

高校生インターン生は、 Z世代マーケティングにも力を入れ、おトクなクーポンやサービスなどを提供する「auスマートパスプレミアム」と動画配信プラットフォーム「TELASA(テラサ)」で活動。「auスマートパスプレミアム」では、英会話イーオンとともに「⾼校⽣向け英会話レッスン」を考案したそう。⾃由学園の「⾶び級社会⼈」プログラムから参加した⾼校2年⽣と、受け入れ先のKDDI「auスマートパスプレミアム」担当者にお話を伺いました。

  • 自由学園の⾼校⽣インターンは、KDDIでどんな活動をした?

KDDIが受け入れた「⾶び級社会⼈」とは?

東京都東久留⽶市にある⾃由学園は2023年11⽉、⾼等科2年の⽣徒・全80名がさまざまな「社会」で本格的なインターンシップを行う必修プログラム「⾶び級社会⼈」をスタートさせました。

「⾶び級社会⼈」は、自由学園独自の授業である「共生学」の一環として行われます。「共生学」では、中学1年生から平和、人権、環境を軸としたさまざまな学びを経験し、その集大成となるのが「⾶び級社会⼈」だそう。学校という守られた場所を飛び出し、さまざまな企業・団体およびそこで活躍する社会人と触れあうことで、学校生活では経験できないチャレンジと学びを得ることがその趣旨です。

「学校とは異なる実社会での学び、それ自体が大きな経験になると思います。また、自分たちが普段学んでいることが実社会でどのように活かされているのか、そのつながりを感じるきっかけとなってほしいと考えています」と自由学園はコメントします。

この教育プログラムに賛同した一社がKDDI。2023年11⽉から2024年2⽉までの4か⽉間、週1回2~3時間、「auスマートパスプレミアム」 を運営するauスマートパス推進部 、「TELASA」 を運営するauスマートパス戦略部の2部署で⾃由学園⾼等科2年⽣から2名のインターンを隔週で受け入れました。

「auスマートパスプレミアム」の部署では英会話イーオンの担当者とともに「⾼校⽣向けレッスン」を考案したり、同サービスの公式Instagramに投稿する動画を作成したりと、KDDI社員も驚く活躍を見せたそう。

⾼校⽣ならではのアイデアを発揮した自由学園のインターン生2名、そしてKDDIの日髙萌々子さんにお話を伺いました。

KDDIのインターン受け入れと高校生二人が参加したきっかけ

――はじめに、KDDIが高校生インターンを受け入れることになった経緯について教えてください。

日髙:現在、「auスマートパスプレミアム」ユーザーの中心は40~60代です。これから若い世代にも使っていただくため、「Z世代の考え方を取り入れたい」という声が上がっていました。そんな矢先に、自由学園から高校生インターンの話があったんです。高校生は大企業での就業経験を、当社はZ世代のマーケティングを見据えた連携を得られるわけですから、双方にとってWin-Winと考え、今回の取り組みを受け入れました。

  • KDDI マーケティング統括本部 auスマートパス推進部 編成G 日髙萌々子さん

――高校生のお二人にお聞きします。KDDIのインターンシップに参加することを決めたきっかけは?

男子:去年からインターンの活動が始まりましたが、せっかくなら僕でも企業名を知っていて、かつ普段入ることもできない企業にいってみたいと思ったんです。

また、中学校の頃にKDDI創業者である稲盛和夫さんの著書『生き方』を読んだことがあり、何か縁のようなものを感じたことも理由の一つです。「ここでしかできないことがある」と考えました。

女子:私は最後の最後まで第一志望をどこにしようか迷っていました。auやTELASAは馴染みがあったのですが、実はKDDIという会社を知らなくて……募集要項に「明るく元気な人」とあり、「この条件なら私は完璧かな」と思い選びました。また私の父と母は半導体に関わる仕事をしており、両親の仕事と関係のある業界がどのようなものか気になったことも志望理由です。

――高校生インターンに初めて会ったときの印象は?

日髙:大学生のインターンは一般的ですが、「高校生はやっぱり若いな!」と感じました。同時に、高校生とコミュニケーションを取る機会は非常に少ないので、新鮮な意見が聞けるなと。私はSNSを担当しているので、高校生に学びたい気持ちもありましたね。一人はエントリーシートに「将来、起業したい」と書かれており、高校生とは思えないしっかりした意見を持った方だと感じました。もう一人は募集要項の人物像にぴったりで、本当に明るくて何でも話してくれるタイプです。趣味も似ていて、話が合って嬉しかったですね。

高校生の感性が社内に新しい風を吹き込む

――高校生のお二人は、インターンシップでどのようなお仕事を担当されたのでしょうか。

男子:「auスマートパスプレミアム」では良い点や改善点の提案、定例会議やSNS会議、イーオンとのプロモーション会議などへの参加に携わりました。「TELASA」では、他社映像サブスクリプションサービスの比較研究やプロモーションバナーのデザイン企画・制作、それからテレビ朝日で番組収録現場の立ち合いや見学も体験しました。

  • 「TELASA」業務の一環で制作したプロモーションバナー

女子:ほかにも「auスマートパスプレミアム」では高校生向け英会話サービスの企画、「TELASA」ではシーズンに合わせたオススメの映画やドラマを選定して作品棚に載せたりと、様々な仕事を経験させてもらいました。

――高校生のお二人は「auスマートパスプレミアム」公式Instagramへの投稿もされたそうですね。

日髙:公式アカウントに投稿しているライフハック系動画を制作してもらいました。全部自分で作った動画が企業の公式SNSにアップされることは、他では味わえない達成感があったと思います。編集方法や動画を見てもらうためのコツといったアドバイスはしましたが、さらに過去の動画を研究してつくってくれたりと、私も学ばせていただきました。

――「auスマートパスプレミアム」の特典である、イーオン・オンラインマンツーマンレッスンのメニューも考案されたと伺いました。

女子:高校生がより英語を楽しみながら学べる「高校生向けレッスン」のメニューをつくりました。学校の英語の授業を「ただ覚えるだけ」と感じてしまっている人は多いと思うので、発音の違いやスラングを取り入れています。

男子:自分がSNSでつい見てしまうものって何だろう? と考えたときに、ただの英会話じゃ見ないなと。そこからいくつかアイデアを提案して、イーオンにまとめてもらいました。

  • 「auスマートパスプレミアム」では、毎月3・13・23日の「三太郎の日」に、イーオン・オンラインマンツーマンレッスン4回分チケットが抽選で当たる特典を提供している

――高校生のお二人にとって、とくに印象に残ったお仕事は?

男子:「TELASA」の業務でテレビ朝日の番組収録を見学したことですね。テレビの裏側には様々な仕事をしている人たちが関わっていることを知りました。僕はお笑いが好きなので、タレントの方に会えたことも幸せな時間でした。

女子:インターンが始まってすぐ、メールの書き方がとても難しく感じました。また、サービスの改善点を発表する際、これまでデザインや機能を意識してアプリを使ったことがなかったなと気づきましたね。自分が感じたことを言葉にするのは苦労しましたが、率直な意見を伝えると、社員の方から「その発想はなかった」「もっと詳しく聞かせて」と新鮮に感じてもらえたことは嬉しかったです。

インターンで高校生が学んだこと、企業が得たこと

――社会人のみなさんと働いてみて、学生とはどんな点が違うと感じましたか?

男子:仕事のスピードは間違いなく大きな違いです。日高さんのタイピングが滅茶苦茶速くて(笑)、あと数年でパソコンの使い方を覚えなきゃとリアルに感じました。学校の勉強では学べない、社会人になる上で身につけるべきビジネスマナーや知識もたくさんありますし、心構えの違いも感じました。僕たちも大人の仕事によって世に出て行っているわけで、大人に守られているんだなと思いました。

女子:自由学園は中高一貫で男女各1クラスしかないのですが、今回のインターンでは多くの新しい人と出会う機会になりました。それから働く大人は、みんな完璧だと思っていたんです。でも、大人の方でも悩んでいるんだなと。大人になっても試行錯誤することは大事なことなんだなと強く感じました。

実は反抗期の頃、「大人はお金のために働いてる」と思っていたんです。もちろん給料を貰うためではあるんですけど、どうやったらより良くなるか葛藤される姿を見て、仕事って報酬をもらうだけのためだけのものじゃないんだなと感じました。

――今回の取り組みを通じて、社会人である日髙さんが高校生インターンに対して感じたことをお聞かせください。

日髙:大きく2つあります。ひとつ目は「熱意と意欲」。お二人の吸収しようとする姿勢、意見の発信力は、私としても刺激的でした。ふたつ目は「新たな視点」。私たちがどうしても事業者目線になってしまうところ、高校生から率直でフレッシュな意見をいただきました。お客様視点を意識することの重要性を再確認できたと思います。

会社の中にいると、自分でも気づかないうちに事業者目線になってしまうことが多くなってしまいます。でもそんなときこそユーザーが求めているニーズに寄り添っていくことが大切なんだ、そしてそれがお客様との関係構築に繋がっていくんだと感じました。

――高校生のお二人は、今回のインターンを今後どう活かしていきたいと思いますか?

男子:将来像はまだ漠然としていますが、高校でこの経験をしたことは将来強みになりそうです。また自分自身と向き合う機会にもなりました。

女子:どんな職種であっても、人との関わり方や職場内でどのような視点で話すかは大事なんだと気づきました。将来どこで働くかはまだわからないんですけど、やりたいことができない状況に陥ったとしても、ここで学んだことを活かせる人になりたいと思っています。


自由学園の教育プログラム「飛び級社会人」で社会に飛び出し、KDDIでインターンを体験した高校生2人。2人が手掛けた「auスマートパスプレミアム」イーオン・オンラインマンツーマンレッスンの「高校生向けレッスン」は、2月から提供がスタートしています。高校生側・企業側ともに多くのことを得た「飛び級社会人」、今後どう広がっていくのか注目したい取り組みです。