蕨野友也、『ウルトラマンブレーザー』は「無限に楽しめる作品」同時進行だったテレビ最終回と映画裏話も

映画『ウルトラマンブレーザーTHE MOVIE 大怪獣首都激突』(2月23日公開)のプレミア上映会が2月7日、東京・グランドシネマサンシャイン池袋にて開催され、テレビシリーズ『ウルトラマンブレーザー』でも活躍した特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD(スカード)」メンバーを演じるキャスト陣(蕨野友也、搗宮姫奈、内藤好美、梶原颯、伊藤祐輝)と田口清隆監督、そして主題歌歌手・きただにひろしが登壇。2024年2月23日から公開される劇場版の見どころや撮影裏話を披露し、子どもから大人まで幅広い世代の『ウルトラマンブレーザー』ファンを魅了した。

左から、田口清隆監督、梶原颯、内藤好美、ウルトラマンブレーザー、蕨野友也、搗宮姫奈、伊藤祐輝、きただにひろし

■映画『ウルトラマンブレーザーTHE MOVIE 大怪獣首都激突』プレミア上映会を実施

『ウルトラマンブレーザーTHE MOVIE 大怪獣首都激突』は、2023年7月から2024年1月まで放送されたテレビシリーズ『ウルトラマンブレーザー』の劇場版。特殊怪獣対応分遣隊「SKaRD」のヒルマゲント隊長と4人の隊員たちが、さまざまな場所から現れる巨大怪獣の生態を調査・分析し、特戦獣「アースガロン」を操って作戦任務にあたっている。しかし怪獣の思わぬ猛攻により、SKaRDがピンチに陥ることも少なくない。そんなとき、ゲント隊長の腕に現れた「ブレーザーブレス」に「ブレーザーストーン」を装填すると、謎の巨人・ウルトラマンブレーザーが姿を見せ、果敢に怪獣へと立ち向かっていく。

エピソードを重ねることにより、チームの絆を深め、結束を強めてきたSKaRDメンバー。心をひとつにして地球の危機を乗り越えた最終話(第25話)のその後の物語となる今回の映画では、SKaRDの前に恐るべき敵「妖骸魔獣ゴンギルガン」が現れる。圧倒的な破壊力で東京のど真ん中を襲撃するゴンギルガンを、SKaRDとウルトラマンブレーザーはいかにして攻略するのか。映画館の大スクリーンに展開する大特撮スペクタクルと、アクロバティックなバトルアクションに注目したい。

上映後のステージには、ウルトラマンブレーザーに変身するヒルマゲント隊長役の蕨野友也、諜報活動のスペシャリスト・アオベエミ隊員役の搗宮姫奈、格闘戦を得意とするミナミアンリ隊員役の内藤好美、アースガロンの開発に携わり、アンリと交替で操縦士の任務も務めるバンドウヤスノブ隊員役・梶原颯、怪獣生物学に詳しい冷静沈着なナグラテルアキ副隊長役・伊藤祐輝が現れ、かけつけた大勢のファンに笑顔を向けた。

約半年にわたって放送されてきた『ウルトラマンブレーザー』の物語も、この劇場版でひとまずの区切りを迎えることになる。蕨野は「始まりの場所が池袋で、今日みなさんとお会いしたのも池袋。運命的なものを感じます。これまでSKaRDが経験してきたいろいろな戦いをふりかえり、みなさんと思い出を共有できればと思います。素敵な時間にしていきましょう」と挨拶し、第1話で宇宙甲殻怪獣バザンガが出現した場所である池袋サンシャインシティにほど近い、今回の劇場に縁を感じたことを話した。搗宮は「劇場版はやっぱり大きなスクリーンで観るのが一番だと思っています! 楽しかった人――!?」と呼びかけ、客席からの大きな拍手を受けて満面の笑顔になった。

内藤は「明るい場所で、みなさんにお会いする機会がないので、今日はじっくりお顔を見ながらお話したい」と、ファンひとりひとりの表情が確認できるステージに立てた喜びを示した。梶原は「これで『ブレーザー』すべての物語を観てもらえます。まだスクリーンで映画を観ていないので、公開が始まったら映画館に行きたい」と、映画の迫力を実感するべく自ら劇場に足を運ぶと宣言した。伊藤は「僕もまた大きな画面で映画を観ていないので、ヤスノブと観に行こう!」と語り、撮影の日々を通じて最高のチームワークを育んだSKaRDメンバーとの映画鑑賞に意欲を示した。

映画の見どころについて、伊藤は「ジェットパックを背負い、ゲント隊長、エミ、ヤスノブが降下するシーンがカッコいい。しかも、僕(テルアキ)とアンリが搭乗しているわれらがアーくん(アースガロン)の胸のところから飛び出すんです。この作戦スタートのところはダイナミックで大好き」と、テレビシリーズとは一味違うSKaRD隊員のアクティブな作戦行動を薦めた。梶原も伊藤の言葉を受け「隊員ひとりひとりの生身での戦いの部分に注目してほしい」と、ウルトラマンやアースガロンだけでなく、等身大のSKaRD隊員が巨大怪獣に挑むべき必然性があることを熱く語った。

内藤は「アンリが、大嫌いなあの怪獣を一撃で仕留めたシーン。ちょっと成長したところを見せられた」と、虫のグロテスクな部分を大の苦手とするアンリが、甲虫怪獣タガヌラーを前にして果敢に戦った勇姿をぜひ観てほしいと話した。搗宮は「テレビシリーズでは非現実的な言葉を喋らないエミちゃんですが、今回の映画ではある場面でとてもカッコいいセリフを放ちます。テルアキ副隊長からも、いいセリフだねって言われました!」と、往年の正統派アクション映画のようなエミの「決めゼリフ」を挙げた。蕨野は「映画でタガヌラーとの戦闘シーンを撮影していた日、実はテレビシリーズの最終回も同時に撮影していました。だから私の心情はボロボロだったんですが、気持ちを切り替えてそれぞれの撮影に臨みました」と、思い入れの強いテレビ最終回と同時進行で映画を撮ったため、テンションの上げ下げが厳しかったことを明かした。

また蕨野は「ゴンギルガンの体内へ入るところが苦労しました。みなさんが思っている以上にベチャベチャしていて、気持ち悪かったです」と、怪獣の体内に入った経験を持つゲントならではのエピソードを語った。搗宮は「エミちゃんはずっとひとりでの行動が多かったんですけど、今回の映画は隊長とヤスノブさんと初めて一緒の行動を取りました」と、テレビシリーズとは少し異なるシフトを組んで行動したことを明かした。内藤は「私はテルアキ副隊長と、ずっとアースガロンに乗っていましたから、外にロケへ出ているみんながうらやましかった」と、コクピット内での撮影が多かったことへの感想を述べた。

梶原は「撮影の合間、ゲント隊長が僕の胸を押さえつけて『これで絶対動けない』『いや、動けますよ』とやりとりをしていました」と、撮影時に印象的だった出来事を語ったが、蕨野から「いや、記憶にないよ」とトボケられて苦笑いする場面が見られた。伊藤は、電話がかかって振り向くカットの撮影時、自身が想像していたよりももっと近くにカメラが来ていて、ビックリしたことを打ち明けて、隣の搗宮を笑わせた。

■田口清隆監督が登場し、キャストとトーク

キャストによるトークが盛り上がりを見せる中、田口清隆監督がステージへと現れた。田口監督は「先ほど、いちばん後ろの席で映画を観ていました。ファンのみなさんと一緒に観ることができて、楽しかったです」と、大切に作り上げた作品を多くのファンに楽しんでもらえたことを喜びつつコメントした。

今回の劇場版『ウルトラマンブレーザー』について田口監督は「ウルトラマンの劇場版についてはいろいろなやり方があったと思いますが、意識的にSKaRDのみんなの活躍を見せる作品にしています。冒頭につけているあらすじも、テレビシリーズの説明というよりも、5人がいかにしてひとつのチームに成長していったかを表すような編集を施しました。この作品で初めて『特撮映画』『怪獣映画』に接してくださる人がいることを考えて、テレビシリーズの情報を一切入れずとも観られる内容を心掛けました」と語り、生まれて初めて怪獣映画を体験する子どもたちの目を意識して、作品作りに臨んだことを明かした。

また、テレビ最終回と映画の撮影が同時進行だったという蕨野の言葉を受けた田口監督は「映画冒頭でゲント隊長がタガヌラーやズクガンと戦うシーンのアクション練習を午前中に行ってから、じゃあ(テレビの)最終回撮りまーす! みたいなスケジュールだったから、あれが一番申し訳なかった」と話し、感情の切り替えが大変だった蕨野をねぎらう場面も見られた。そして「あまりにも最終回っぽいムードになると、寂しくなってしまう『最終回恐怖症』なので(笑)、『ウルトラマンブレーザー』はわざと、いくらでもこの先がありそうな感じで作っています」と、あえて「ファイナル」感を出さない内容で攻めた理由を明かした。

■きただにひろしの生歌に合わせ全員で「SKaRD体操」

続いて、テレビシリーズ放送中に動画配信で話題を集めた「SKaRD体操」を全員で踊るコーナーへ突入。このタイミングで「せっかくなら生の歌声で……」という内藤のフリを受け、搗宮が「あの方をお呼びしましょう!」と主題歌シンガーのきただにひろしを呼び込むことに。客席のファンたちと声を合わせ、登壇者がニックネーム「ダニ～～!」を叫ぶと、きただにがステージへさっそうと登場した。

きただにが歌う「僕らのスペクトラ」に合わせて、ウルトラマンブレーザーの戦闘時のかまえや登場時の個性的なモーション、必殺技スパイラルバレードを投げるアクションなどを採り入れたSKaRD体操が実演された。田口監督は隣にいる梶原の動きをお手本にしながら踊っていたものの、テンションが高まった梶原が途中アドリブで他のメンバーと違う動作をとてつもない勢いで始めたため、明らかに戸惑う瞬間が見られた。メンバーそれぞれの個性が反映された体操の模様をご覧いただきたい。

そして、今回初披露となった映画主題歌「星と獣」が歌われることに。きただには本歌曲について「ムードの異なる4曲の候補を出して、最終的に『切ない感じの曲』に決まりました。アレンジも含め『僕らのスペクトラ』のメンバーが再結集。コーラスは(エンディングテーマを歌った)MindaRynさんにやってもらいました」と、テレビシリーズと同じチームで作り上げた自信作だと語り、フルコーラスを熱く歌いあげた。

■ウルトラマンブレーザーが登場

きただにが「星と獣」を歌っている間、SKaRDメンバーと田口監督はウルトラマンブレーザーへの変身アイテム「ブレーザーブレス」を左腕に装着し、ゲント隊長と一緒に「変身」する準備をしていた。昨年の「制作発表会見」のステージでも同じ演出が試みられたのだが、梶原がブレスを逆向きに着けてしまってうまく変身できないという出来事があったため、蕨野が「ヤスノブ(今度は)大丈夫か?」と念を押して客席の笑いを誘った。しかし今回はきただにがうまくブレスを装着できず、少々手間取ってしまった。そこでステージ上のメンバーが、ライブショーでもおなじみ「ウルトラチャージ」のポーズできただにを応援するという、実にレアな光景が見られた。

ゲント隊長の決めゼリフ「俺が行く!」を合図にブレーザーブレスを構えた全員が、映画のキャッチコピーでもある「俺たちが行く!」と叫び、ブレーザーストーンを装填。すると神秘的な変身効果音に合わせて、さっそうとウルトラマンブレーザーがステージ前へ姿を現した。

,闘志をみなぎらせるかのように、独特な構えを取るウルトラマンブレーザー。

雄々しく並び立つ2人のヒーロー、ウルトラマンブレーザーとゲント隊長。

■プレミア上映会最後に登壇者陣からメッセージ

改めてマイクを手にした田口監督は「最速で映画をご覧になったみなさん、ぜひとも周りの人に直接、あるいはSNSで広めて、応援していただけると嬉しいです。『ブレーザー』の世界観は、音楽にとても触発されたところがあります。最終回や劇場版では、撮影する場面に合わせて音楽を作っていただくなど、近年あまりない試みもできました。ありがとうございます。今回、音楽担当のTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUNDさんがいらっしゃっていますので、みなさん拍手をお願いします!」と音楽の良さについて今一度アピールしつつ「ボイスドラマやBlu-ray特典『SKaRD休憩室』といったスピンオフ作品の多い『ブレーザー』ですが、みなさんからの応援があれば、これからもっと何かができるはず。今後も応援をよろしくお願いします」と、さらなる『ウルトラマンブレーザー』の世界が広がるよう、応援を呼びかけた。きただには「『僕らのスペクトラ』と『星と獣』の2曲は、これからも僕の宝物として大事にしていきます。ぜひみなさんの宝物にもしてもらえたら嬉しいです」と、2つの主題歌をいつまでも愛してほしいと語って笑顔を見せた。

伊藤は「テレビシリーズ終了でホッとしている反面、少し寂しい気持ちがありました。今日、こうしてみなさんと直接会えてうれしかったですし、またお会いしたいです!」と語り、客席を見渡して目を輝かせた。梶原は「自分の気持ちを言葉で伝えるのは苦手なんですけど、みなさんにありがとうという気持ちを伝えたくて……」と話しているうちにこみあげる感情を抑えることができなくなったのか「ほんとにみんな、ありがとぉぉぉおお! 応援してくれたみなさんや、スタッフの方々に支えられてきました!!」と涙ながらに絶叫。内藤に優しくなだめられる場面が見られ、ファンを感激させた。内藤は「こんなにヤスノブさんが感情をむき出しにしたところを見たことがなく、今びっくりしています」と梶原をいたわりつつ「みなさん、映画の感想をSNSに上げてくださいね。『#ウルトラマンブレーザー』とハッシュタグをつけてくだされば、私やエミちゃんは最速で『いいね!』を押しますから(笑) 感想お待ちしています!」と話し、ファンの方々の愛情のこもった宣伝活動に強い期待を寄せつつニッコリほほえんだ。

搗宮は「SKaRD一同、みなさんに明日から頑張ろうと思ってもらえるようステージに立とうと決めていました。張り切りすぎて、なんかフワフワした感じでしたけど、気持ちは伝わったんじゃないかと思っています。……ていうか、伝わってくれーーーー! みんな頑張れーーーーっ!」と大きな声で叫び、客席のファンに向かって最大級の元気を投げかけ、まぶしいスマイルで魅了した。蕨野は「ウルトラマンブレーザーって結局何だったんだろうとか、みなさん疑問に思ったり、もっと深掘りしたいってポイントがたくさんあると思います。でも、そこはあえて答えを設けずに、ご覧になった個人個人でいろいろな想像ができる、無限に楽しめる作品でありたいです」と、『ウルトラマンブレーザー』のお楽しみポイントを提示した上で「もしみなさんがウルトラマンブレーザーやSKaRDのみんなに会いたいなという気持ちがあれば……、そのお声が集まれば『大きいお友だち』が動く可能性があります! みなさんの力が必要です。いつまでも応援してください!」と、さらなる『ウルトラマンブレーザー』の物語が生まれる可能性を示唆しつつ、ウルトラマンを愛するすべての人たちに熱いメッセージを贈った。