帝国データバンクは1月31日、「食品主要195社」価格改定動向調査を実施し、2024年2月以降における食品の値上げ動向と展望・見通しについての分析結果を発表した。この調査は、1月31日9時時点を対象期間としている。

  • 2月の食品値上げ

主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした2月の飲食料品値上げは1626品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均14%という結果に。単月の値上げ品目数としては2023年10月以来4カ月ぶりに1千品目を上回ったという。

ただ、前年同月の5639品目に比べると7割減となったほか、2千品目を超える値上げが常態化していた前年中旬までの推移と比較しても大幅に少ない水準で推移しているという。

  • 値上げ要因の推移

2024年に予定される値上げ4556品目のうち、「原材料高」を理由とした値上げは84.6%(目数ベース)と、前年同期(98.9%)を大幅に下回ったほか、「エネルギー」などの割合も低下した。一方、「円安」(39.9%)、「人件費」(18.1%)などは前年同期から倍増するなど大幅に上昇した。

  • 食品分野別の値上げ品目数

2024年2月の値上げは、パスタソースなどパウチ常温食品を中心とした「加工食品」(643品目)が全食品分野で最も多い結果に。1-5月間の年間比較では、2024年は「加工食品」(2261品目)が最も多かった。23年の3割程度と大幅に減少したものの、22年の水準とほぼ同等のペースで推移しているという。

  • 各年1-5月の「値上げ品目数」

中東情勢の混乱や電気代の引き上げなどリスクはあるものの、原料高騰を中心とした値上げ機運は前年の同じ時期に比べて後退傾向がみられるという結果に。

短期的には「物流の2024年問題」に対応した物流費の大幅な上昇が見込まれ、3・4月にかけて局所的な値上げが加速するとみられる予想。特に4月は、1月末時点で2千品目に迫っており、昨年10月以来6カ月ぶりとなる3千品目に到達する可能性があるという。

  • 実施ベースでの値上げ品目数 推移

2024年の値上げは前年のコスト高を解消する目的に加え、物流費の上昇や賃上げなど人件費増に対応した値上げが続くとみられる。

同社によると、「各社では多品目かつ大幅な値上げには慎重さもみられ、年間では最大1~1.5万品目前後、月平均で1~2千品目前後の緩やかな値上げペースが続く」としている。