大津市と大津市大河ドラマ「光る君へ」活用推進協議会、JR西日本は23日、ラッピング列車「びわこおおつ 紫式部とれいん」の完成お披露目・出発式を京都駅で開催した。内覧・試乗も行われ、「びわこおおつ 紫式部とれいん」が京都~石山間を走行した。

  • ラッピング列車「びわこおおつ 紫式部とれいん」の完成お披露目・出発式が京都駅で開催された

「びわこおおつ 紫式部とれいん」の使用車両はJR西日本の225系「L10」編成(6両編成)。車体側面にラッピングが施され、紫式部が石山寺に参籠し、本堂から琵琶湖に映る月を眺め、『源氏物語』の一節を思い付いたとされる場面を描いた「石山寺縁起絵巻 巻四第一段」をモチーフにデザインしている。平安時代、貴族や女性文学者に人気のあった「京の都から大津の石山寺に詣でる“石山詣”」の様子や、石山寺から満月を眺める紫式部の姿を表現した。

車体前面に「びわこおおつ 紫式部とれいん」のヘッドマークも貼付している。車内もラッピング列車のコンセプトにもとづき装飾を行い、古くから大津で受け継がれてきた組紐のカーテンを出入口付近に配置したほか、中吊り・窓上・ドア横の広告枠を活用し、昔の人々が詠んだ和歌や、詠われてきた大津の美しい景色など紹介。知られざる平安と大津の物語が車内を彩る。

  • 「びわこおおつ 紫式部とれいん」が京都駅0番のりばに入線。出席者らによるテープカットが行われた

完成お披露目・出発式は京都駅0番のりばで開催された。大津市長の佐藤健司氏は、「ラッピング列車を通じて、広く京阪神の皆さんに『紫式部ゆかりの地』大津を知っていただき、大津市、滋賀県へお越しいただくことを願っています。市民・県民の皆さんも、豊かな歴史文化を有する土地に住んでいることを再認識するきっかけにしていただければと思います」と挨拶。JR西日本京滋支社長の財剛啓氏は、「びわこおおつ 紫式部とれいん」について、「平安時代の優雅なイメージにふさわしい、格調高いデザインを列車の外側・内側に施しています。ホームでご覧いただき、大津市・滋賀県の魅力を感じていただけたら」と語った。

大津市観光キャラクター「おおつ光ルくん」、「SMART ICOCA」のキャラクター「カモノハシのスマートイコちゃん」も会場に登場。「びわこおおつ 紫式部とれいん」は10時17分に入線し、その後、出席者によるテープカットが行われた。

  • 車体前面にヘッドマークを貼付。車体側面に色鮮やかなラッピングを施した

  • 車内も装飾。組紐のカーテンが乗客を出迎える

完成お披露目・出発式の出席者と関係者らはラッピング列車に乗り込み、内覧・試乗がスタート。京都駅長と大津駅長による合図で「びわこおおつ 紫式部とれいん」が京都駅を発車し、石山駅まで約10分かけて京都市内・大津市内の東海道本線を走行した。

石山駅で京阪電車(石山坂本線)または京阪バスへ乗り継ぐことにより、紫式部が『源氏物語』を書き始めたとされる石山寺へ行くことができる。1月29日以降、石山寺で大河ドラマ『光る君へ』のテーマを掘り下げた企画展も開催されるとのことだった。

「びわこおおつ 紫式部とれいん」は1月23日から運行開始し、東海道・山陽本線米原~上郡間(琵琶湖線・JR京都線・JR神戸線など)で快速・普通列車として運用される。運行期間は3年程度の予定。運行区間が広範囲に及び、運行ダイヤも非公開のため、「出会えたらラッキーな電車」といえる。京阪神エリアの複々線区間で新快速に乗車した際、隣の線路を走る「びわこおおつ 紫式部とれいん」と遭遇し、しばらく並走する場面も見られるかもしれない。このラッピング列車を通じて、沿線住民や京阪神を訪れた人々が「紫式部ゆかりの地」大津に興味を持つきっかけになればと思う。

  • 「びわこおおつ 紫式部とれいん」の車内・外観