日本テレビ系ドラマ『厨房のありす』(21日スタート、毎週日曜22:30~)で、自閉スペクトラム症の料理人・八重森ありすを演じる門脇麦。その特性から人とのコミュニケーションは苦手だが、驚異的な記憶力の持ち主で、食材の栄養素や調理工程の化学変化の知識から客に合った“やさしいごはん”を作り出す天才料理人という役柄だ。

この役にどのような意識で臨んでいるのか。自身も好きな料理が題材のドラマへの期待なども含め、話を聞いた――。

  • 『厨房のありす』に主演する門脇麦 撮影:泉山美代子

    『厨房のありす』に主演する門脇麦 撮影:泉山美代子

“写真記憶”で化学式のセリフを暗記

自閉スペクトラム症とは、社会的なコミュニケーションの困難さや空間・人・特定の行動に対する強いこだわりがあるなどの特性がみられる発達障がいの一つ。

演じるにあたって、「現場に監修の先生がいてくださるので、“そこまではしないよ”とか“こうしたほうがいいよ”という判断はお任せして、私はありすがどういう子なのかということだけを考えています。コミュニケーションが苦手なのも、何かにこだわりを持つのも、本当に人それぞれの個性だと思うので、見てくださる方から愛される女の子になれば」と意識している。

その、ありすの特徴的な個性が、パニックになると元素記号を繰り返しつぶやいて心を落ち着かせるというもの。このために、「とりあえず元素記号は8番まで覚えました。今、スマホの待ち受け画面は、自分で書いた1番から8番までの元素記号になってます」と頭に叩き込んだ。

さらに、毎話登場する料理の化学式もセリフに出てくるため、これを覚えることに苦戦を強いられるのだそう。それでも、学生時代から暗記するのは得意だったそうで、「本を読むときも全部そうなんですけど“写真記憶”で視覚から覚えるので、もうそれで頭に入れていくしかないですね」と覚悟を決めている。

  • 門脇麦

愛するキノコを熱弁「本当に優秀な食材です」

“写真記憶”の能力を発揮し、「図鑑を見るのが子どもの頃から大好きでした。野鳥図鑑、昆虫図鑑、魚図鑑をよく見ていて、生き物には詳しいほうだと思います」とのこと。様々な番組で明かしているキノコ観察の趣味も、図鑑がきっかけだったという。

キノコは食べるのも好きだそうで、「バルサミコ酢で炒めて洋風にして食べるのが好きなんですけど、鍋にも入れられるし、おみそ汁にも入れられるし、洋食にも合うからクリーム煮にしてもいいし、万能なんですよ。それに、キノコの素晴らしいところは、冷凍するとさらに旨味が出ておいしくなるところ。買いすぎちゃっても、ジッパーの袋に入れて冷凍庫で保存するといいんです。干しシイタケとか保存食にもなるし、出汁としてもいける。本当に優秀な食材です」と熱弁。

今回のドラマでも、キノコの料理が登場する予定で、「メインじゃなくてもいろんな料理に入ってると思いますし、他にもいろんなお料理がたくさん出てくるので楽しみです」と声を弾ませた。