機関士になるためには、「何から始めるべきなのか」「どんな資格が必要なのか」と疑問に思う人は多いのではないでしょうか。また、大まかな仕事内容は理解しているものの、細かい部分はわからない場合もあるでしょう。

今回は、「船舶機関士」「鉄道機関士」「航空機関士」に分けて、それぞれに必要な経験や資格など詳しく解説していきます。機関士を目指す人は、ぜひ参考にしてください。

機関士とは?

  • 機関士とは?

    機関士は船舶・鉄道・航空機の運転・整備を行います

機関士とは、船舶や鉄道、航空機などの運転や整備をする職業です。機体によってシステムの内容は異なりますが、燃料・電気・油圧・空調油圧など、多くのシステムの数値を監視したり見回ったりして、異常がないかを確認しています。

船舶機関士・鉄道機関士・航空機関士になるためには、専門的な知識を身に付け、実務経験や訓練を行い、国家試験に合格する必要があります。実際に機関士として働くには、長い年月がかかりますが、努力を惜しまないことが夢を叶える一番の近道です。

船舶機関士とは

  • 船舶機関士とは

    船舶機関士になるには、海技士免許の取得が必須です

ここからは、船舶機関士の仕事内容、必要な経験や資格を解説していきます。ぜひ参考にしてください。

船舶機関士の仕事内容

船舶機関士の主な職務は、船の運転・整備・船内の発電機、冷凍機、荷役作業機械、船内生活に必要な電気関係機器の管理です。航海中には、機関制御室でそれぞれの計測値を監視したり、定期的に機関室の見回りを行ったりして、異常がないかを確認します。異常が発生した場合は、素早く応急処置を行い原因を解明し、機関長に報告します。

船舶機関士の中でも、以下の通り階級が分かれます。

・機関部最高責任者として船長のアシスタントを務める機関長(チーフ・エンジニア)

・一等機関士(ファースト・エンジニア)

・二等機関士(セカンド・エンジニア)

・三等機関士(サード・エンジニア)

航路は「外航航路」と「内航航路」がありますが、外航船で勤務する場合は数か月単位の長期航海で、9か月乗船し3か月休むという勤務形態が一般的です。

船舶機関士に必要な経験や資格

船舶機関士になるためには、商船高等専門学校、東京海洋大学や神戸大学などの海上技術の学校に進学し、船舶機関や機器について学ぶのが一般的です。在学中または卒業後に、航海訓練所にて約1年の乗船実習を行い、船舶職員、小型船舶操縦者法による「海技従事者国家試験」に合格し、海技士免許を取得できれば、船舶機関士になれるというわけです。海技士免許を取得した後は、外航海運会社か内航海運会社に就職します。

船舶機関士になるには、国家試験に合格し免許をとることが最も重要ですが、外航船の場合は外国人の乗客が多いため、日常会話ができる程の英語力を身に付けておくことも条件の一つです。また、外航船は数か月単位の長期航海なため、長期に渡る厳しい作業だけでなく、時差や気温の変化による船上での勤務に耐えられる忍耐力も必要です。さらに、集団生活への適応も必須といえるでしょう。

鉄道機関士とは

  • 鉄道機関士とは

    鉄道機関士は、現在では運転士と呼ばれています

かつては「機関士」や「電気機関士」の職名でしたが、電車化された現在の職名は「運転士」に変わっています。

ここからは、鉄道機関士の仕事内容、必要な経験や資格を解説していきます。ぜひ参考にしてください。

鉄道機関士の仕事内容

1949年6月1日〜1987年4月1日までの国鉄時代は、「機関士」「電気機関士」の職名で、鉄道の運転や整備が主な仕事内容でした。

しかし、分割民営化されてからJR各社での職名は「運転士」に変更されています。また、ワンマン化の発展により、運転や整備の他に旅客や荷物の取り扱い、車内の清潔を保つことや車両故障・追突防止のための安全確認なども職務に加わりました。民鉄では、機関車が貨物列車をけん引していましたが、旅客列車が次々と電車や気動車に変わったため、運転士がこの職務を引き継いでいます。

鉄道機関士に必要な経験や資格

分割民営化以降、「新幹線電気車」「甲種電気車」「甲種内燃車」「甲種蒸気機関車」などに資格が分けられています。「甲種電気車」は、以下のようにさまざまな車両の操縦が可能なため、取得する人が増えているのです。

・普通列車

・特急列車

・貨物列車

・客車列車をけん引する電気機関車

・モノレール など

鉄道機関士になるには、まずは鉄道会社の運輸系業務員に採用される必要があります。入社後、駅員や車掌としての業務を各2〜3年経験した後、運転適性を満たした人が鉄道会社内の動力車操縦者養成所で約10か月の訓練を受けます。

さらに国家試験である「動力車操縦者試験」に合格した人が、鉄道機関士、現在でいう運転士になれるのです。運転士として働くために、少なくとも約7年の年月が必要です。この国家試験は、20歳未満・運転免許を取得した日から1年を経過していない人は、受験できません。

動力車操縦者試験の試験内容は以下の通りです。

・身体検査

・適性検査

・筆記試験

・「速度観測」「距離目測」「制動機の操作」などの実技試験 など

場合によっては全部、または一部の免除があります。

国鉄時代は、これらの条件のほかに、鉄道学園で半年間の教育、3年間の実務経験、再度鉄道学園での半年間の教育が必要でした。

航空機関士とは

  • 航空機関士とは

    日本では現在航空機関士という職種はなくなりました

ここからは、航空機関士の仕事内容、必要な経験や資格を解説していきます。ぜひ参考にしてください。

航空機関士の仕事内容

航空機関士は、エンジン・機体・燃料などの機器類の管理が主な職務です。大型旅客機では、他にも空調与圧や離着陸、高圧空気などいくつものシステムが作動しており、それらの監視を行います。緊急時には素早い対処が必要です。

1990年代から機関士がパイロットとしての能力付与の訓練を行っていきましたが、同時に機関士を必要とする機材が減っていき、日本では2009年7月以降、旅客機に航空機関士の乗務が不要になり、航空機関士と呼ばれる職種が事実上なくなりました。そのため、現在の航空機は機長と副操縦士の2名の乗務で運行しています。

航空機関士に必要な経験や資格

航空機関士と呼ばれる職種がなくなった現在、航空機の操縦をするパイロットになるためには、操縦士の免許取得と国際民間航空機関(ICAO)の「推定期運送用操縦士」の資格取得が必須です。

航空会社に入社後、「100時間以上の航空機関士の実地訓練を行う」と「1年以上の航空機の整備経験を経て、50時間以上の航空機関士の実地練習を行う」のどちらかに該当した18歳以上が、資格を受験できる条件です。

試験は大きく分けて2種類行われます。

・「航空力学」「重心位置計算」などの学科試験

・「機体の制御、検査の方法」「初同意の制御、検査の方法」などの実技試験

操縦士の免許は複数あり、航空機の種類や業務範囲が異なります。定期航空では、機長は「定期運送用操縦士」、副操縦士は「事業用操縦士」の取得が必須です。産業航空では「事業用操縦士」、スポーツ航空では「自家用操縦士」の取得が必要になります。2004年9月には、航空機乗務員の年齢上限が65歳に引き上げられました。

必要な経験や資格を知り機関士を目指すための目標を明確にしよう

  • 必要な経験や資格を知り機関士を目指すための目標を明確にしよう

    機関士になるために必要な資格や経験を把握しましょう

機関士には、「船舶機関士」「鉄道機関士」「航空機関士」があり、それぞれの運転や整備の仕事が主な職務です。

現在、鉄道機関士と航空機関士は職名や職務の内容が変わっていますが、船舶機関士になるためには「海技従事者国家試験」、鉄道機関士になるためには「動力車操縦者試験」、航空機関士になるためには「推定期運送用操縦士」の国家資格が必要です。

どの機関士でも、実務経験や実務訓練が必要であるため、専門知識を学べる学校に通うか入社して経験を積むしか方法はありません。それぞれの機関士の必要な経験や資格を理解して、機関士になる夢を実現へと導きましょう。