フジテレビの動画配信サービス・FODのドラマ『ペンション・恋は桃色season2』(19日20:00~全5話一挙配信)の完成発表会が11日、東京・台場のフジテレビ本社で開催され、出演するリリー・フランキーと斎藤工が登壇した。
ちょっと古いペンション「恋は桃色」を舞台に、訪れる“珍客”たちが一夏の大騒動を繰り広げるハートフルコメディの同ドラマ。シーズン1からの続投でリリー・フランキー、斎藤工、伊藤沙莉がメインキャストを務め、ペンションに訪れる宿泊ゲストとして関智一、剛力彩芽、スペシャルゲストとして山口智子が登場する。
リリーと斎藤が登場すると、早速「年始のお忙しい中、こんな早い時間に本当にありがとうございます。眠いでしょ。僕はめちゃくちゃ眠いです。わざわざ僕たちCHEMISTRYの新曲発表にお越しいただき…。偶然、ケミストリーみたいな感じで。衣装が!」と早速リリー節を披露。
シーズン2が始まるにあたり、感想を聞かれると、リリーは「4年以上前なんですね、前回と変わってないんですけど、このドラマ特殊でめちゃくちゃ手作りなんですよ。みんなでペンションに泊まって、ペンションに撮影に行く。で、みんな泊まりでやってるから、監督とか共演者と明日のシーンどうする?っていうことをみんなで話して中身を変えたりしちゃうとか。なんかそういう意味では、部活っぽいですよね。撮影6日で全5話を撮っているんですよ。ほとんど撮ったものを流さなきゃいけない。最初からもう言っときますけど、シーズン1もシーズン2も、このシーン間延びしてんなと思ったら、ここはもう切れないんですよ。切ると24分以内になるというね。シーズン1では、撮影が冬だったのですが、山中瑚では珍しくクリスマスイブに大雪になって、普通は撮影が中止になるじゃないですか。でも次の日はテニスコートで主婦の方々がテニスをするっていうシーンだったんですけど、絶対明日撮影した方がいいよ!ってことになり、雪が積もったテニスコートで、主婦の皆様が三角テニスをするっていう、あれも平成の名シーンです。ボールが1つも跳ねないとか見たことない。でも逆に泊まり込みで合宿っぽくみんなで話しながらやってるから、ああいう不思議なことも起きる。そのやり方はもう今回も引き続き強くなってるかもしれないです」と裏話を語った。一方の斎藤は「メンバーが、スタッフキャスト共に、よくこのタイミングで集まったなという、もうここしかないっていう瞬間の奇跡みたい。そして集中力がすごかった」と心境を明かした。
共演者の伊藤沙莉について、リリーから「存在感が、なんかこうリアリズムを生み出すのです。僕と工くんだけが2人で、キャーキャー言ってる感じなんですけど、沙莉ちゃんが入った瞬間に、ここにずっといたような気がしてくるっていうか、この子の独特の持ってる、なんかそのリアリティというかね、なんかこう、すごくいいんですよ。この3人でいるのは、なんのストレスもないというか。彼女は今ね、朝ドラでね、忙しいから。朝ドラが決まった瞬間にこの展開の速さ、びっくりしました。俺らはずっと4年間低飛行してましたから」と、ひと笑いあり、さらに「前回は真冬に撮って、今回は夏に撮らせていただいた。これはフジテレビさんですから、もう『北の国』からぐらい長く続けてほしい。だから俺“シーズン2”じゃないんじゃない。ってのは、ずっとプロデューサーと話してたの。『ペンション・恋は桃色2024夏』みたいな」と熱望。司会の西山喜久恵アナウンサーから「その方向でいけばずっといけますね!」と言われると、「ちょっと20分ちょいで超短いけど」と会場を沸かせた。
また、シーズン2の終盤のシーンについて、斎藤から「リリーさんと沙莉さんのシーンで、心がやられてしまいまして、本当に2人の表情だったり、たたずまいで、ものすごいドラマになっていて」とドラマの感想を伝えると、リリーは「外が暗くなって、これ、今僕って映ってんのかなっていう状態だったんですけど、もう映ってないかもしんないけど、撮らないともっと暗くなっちゃうから、みたいな」といい、斎藤から「はい、その通り。めちゃくちゃグレーディングで、たぶん輝度をあげて!みたいなね。機材の限界を感じました。その、執念というか(笑)」と、感動シーンを振り返った。
シーズン2で登場する山口智子について、リリーから「まさかね、智子さんも来てくれると思ってなかった。なんで出てくれたのか謎だよこれ。聞けなくて。あ、これもしかして月9だと思ってんじゃないかと思って。深夜だって言いづらいんですよ」と回想。今回の撮影中、斎藤の誕生日を祝った話になると、斎藤から「リリーさんがスペシャルケーキをつくってくださいました」といい、リリーは「工くんのお誕生日だったんですけど、今この人は、乳製品とかケーキとかは避けて“腸活”をやっていて、発酵食品しか食べないゾーン?ブーム?に来てるんですけど、プロデューサーはケーキ用意しますって。でも、工くんが、食べられないものを用意してもしょうがないじゃないって言って。で僕、スーパー行って、お豆腐を買ってきて、こう組み合わせて。納豆とうずらのたまごを!」とエピソードを披露。
斎藤からは「めちゃくちゃ美味しかったし、スタッフにも評判でした。それもね、美しさはありましたよ。その、うずらが効いてて、スタッフの皆さんも、こう、凝縮して撮影してるんで、なかなか現場にいないといけない人たちが多かったんですけど、空き時間にリリーさんがマックスバリューに買い出しに行くっていうね。リリーさんがしょっちゅう僕らの細々したものとかを買いに行ってくださってましたね」と感謝を伝えた。
オープニングとエンディングのシーンについて、リリーから「シーズン1では工くんが『王様のブランチ』でもらったドローンを持ってきてて、撮影前に早く起きて、ドローン飛ばして、雪山の風景とって、その雪も風景をそのまま、シーズン1のカラオケ映像に使ったりしていた。シーズン1と、シーズン2のエンディングって、ドローンを使った俯瞰の映像で、スタッフも全員映る“イナバ物置き方式”です(笑)」と紹介されると、斎藤からは「そうです。“買い物の達人”(『王様のブランチ』のコーナー)で、無料でゲットし、資材としてはTBSの出資という。不思議な現象が起こっていまして…」と笑いを誘った。
西山アナから「手作り感満載で、かつ皆さんのアドリブ。アドリブだと受ける方も、あっ!てなるじゃないですか。でもそれは実に自然で、これはどういう風に皆さんやってらっしゃるのですか?」と質問が飛ぶと、リリーは「映像のことをやってる関係者の人に、あれ、どうやって撮ってるんですか?って聞かれることがよくあって、なんかみんな不思議に見えるみたいなんですよ。それを聞かれたら、もう返すことは1つ。“時間がない”っていう。“時間がない”っていうやり方でこうなってしまったっていうことと、やっぱり泊まるってデカいかなと思ったんですね。撮影が終わっても、寝る直前までパジャマを着た工くんと、僕らはそのペンションのいわゆるロッチでペンションの過ごし方してるんです。パジャマでみんな集まってきて、寝るまでそうやって明日の撮影さぁって話しをして、それが次の日に反映されるし。あと、工くんお風呂行ったよって言ったら見に行ったりとか。合宿感がすごくて。だから、そういう意味でもね、共演者の人ともそこで話せるから、普通にドラマやってると、監督とか共演者と話す時間って本当にないんです。だから、その、部活っぽいって言っていうのは、終わった後、明日こうしようよっていう話ができるっていうことと、あと、それをやっぱ汲んでくれる監督とかプロデューサーがいるっていうことは実に健全と言いますか、こういうことをやろうよ、じゃあそれを取り入れようよ、じゃあそれがもう実際に作品になる」とコメント。
斎藤が「スケジュールはね、健全とは言えないものを感じましたけどね。ここで撮りきるぞっていう(笑)。天気もすごく大変で、大雨に襲われ、セリフはもちろん僕らの体感としても無視できないレベルの大雨が、リリーさんがベランダに出た瞬間降ってきたりして、“こんな雨男いる?”っていう設定に急きょなったり」と話すと、リリーは「天気に関しては、普通だったら雨止むまで待とうとかなりますが。そんな時間はないです。気にしないことにする。さほどね。工くんとは、斎藤監督の映画にも出させてもらって、斎藤プロデューサーの映画にも出さしてもらって、共演者でもあって、いろいろな関係性として仕事をしてるので、だからこそ、こういうことがやりやすいというか、認識としては、僕にとって工くんは、俳優さんっていう人よりも、クリエイターの人っていう感じなんですよね。だから、こうした方がいいよねって言いやすいというか。逆になんか工くんが、ガチガチに自分の役をもう決めてきてる俳優さんだったとして“工くん、明日の主婦の人たちが出てくるシーン、雪の中でやるの良くない?”って提案した時、“いや、それおかしくないですか。”って言われたらチーンってなってしまいます」と共演者やスタッフのコンビネーションと間柄が伺えるエピソードを明かした。
最後に視聴者に向けて、斎藤から「がっちり構えて受け取ってほしいっていうドラマでは、いい意味ではないですし、今は、まだこういったエンタテイメントに触れるのが、時期尚早の地域だったり、状況の方もいらっしゃると思うんですけど、どこか心の隙間にぽっと寄り添ってくれるようなある種、凪のようなドラマが誰かの少しの救いになったり、心が温かくなるような、そういう旨みを持った作品だと思うので、今すぐじゃなくても、配信の特性でもあると思うんですけど、必要な時にこの作品を必要としてくれる方がいることを心から願っております」とコメント。
リリーは「今みんな若くて映画とかと撮ってる人とかいっぱいいて、なんなら携帯で撮れるわけで、これを見た時に、そういう人たちが、“あ、僕たちもドラマ撮ってみようかな?”ってものすごくハードルが下がる、そういうものであってほしいなって思う。なんでかっていうと、僕らはそのつもりでやってるというか、臨場感って、なかなか商品になるものでなかなか作りにくいというか。だから、これを見ると、何がきっちりしたものなのかなって、ちょっと自分の中の今までの物作りを反省したりもします。なんか大人めいたことが、なんかこう、ものづくりのちゃんとしたことであるみたいな風にちょっと思いすぎてたのかもしれない」といい、最後に「あと、やっぱこういう場所に女優さんがいないとこうなりますよね。こういう場は、女優さんがメインで集まるやつですよ。なんだよ感がすごい(笑)」と笑いで会を締めた。
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