俳句には、詠む時期に応じた季語を入れるのが基本的なルールです。また、ただ何となく寒いから冬の季語を使う、ということではなく、使える期間が決まっているため注意が必要です。

本記事では、俳句で使える冬の季語の一覧を、時期別、さらに花などの植物、猫に鳥などの動物、食べ物、自然、行事といったジャンル(種類)に分けて紹介します。冬の季語を使った俳句の例や、季語の意味もまとめました。

  • 冬の季語一覧

    俳句で使える冬の季語の一覧や俳句の例、季語にまつわる豆知識などを紹介します

【冬の季語の一覧】「三冬(11月7日~2月3日頃)」の季語と俳句例

季語において、冬全体を通じた時期は「三冬(さんとう/みふゆ)」と呼ばれます。年によって正確な期間は異なるものの、二十四節気の立冬、つまり11月7日頃から、立春の前日、つまり2月3日頃までが該当します。

この三冬の期間に使える俳句の季語一覧と、俳句例を紹介します。

「三冬」の季語一覧表

ジャンル 季語の例
時候・行事 冱つ/鐘氷る/寒参(かんまいり)/凍る/寒し/冴ゆ/霜夜(しもよ)/短日(たんじつ)/冷たし/冬/冬暖/冬ざれ/冬の朝/冬の暮
自然 乾風/霰(あられ)/凍土(いてつち)/うつ田姫/オリオン/鎌鼬(かまいたち)/空風(からかぜ)/枯野(かれの)/枯園(かれその)/寒昴/寒潮(かんちょう)/北颪/北風/狐火/くだら野/しづり/霜/霜柱/隙間風/たま風/露凝る/天狼/ならひ/冬霞/冬銀河/冬景色/冬田/冬野/冬の雨/冬の泉/冬の海/冬の風/冬の川/冬の霧/冬の雲/冬の空/冬の月/冬の波/冬の虹/冬の浜/冬の星/冬の水/冬の靄/冬の山/冬の雷/冬日/冬旱(ふゆひでり)/冬北斗/冬夕焼/鰤起(ぶりおこし)/べつとう/水凅る/霙(みぞれ)/虎落笛(もがりぶえ)/山眠る/雪起し/雪催
生活・食べ物 アイスホッケー/青写真/足温め/網代/熱燗/厚司/アノラック/霰酒/行火/鮟鱇鍋/息白し/池普請/石狩鍋/鼬罠/今川焼/芋粥/兎狩/埋火/枝打/襟巻/負真綿/黄蜀葵搗く/押しくら饅頭/おでん/飯櫃入/温石/温突/外套/貝焼/懐炉/牡蠣船/牡蠣剥く/牡蠣飯/角巻/風切鎌/重ね着/火事/火事見舞/粕汁/風邪/蕪汁/蕪鮓/蕪蒸/釜揚うどん/紙衣/紙漉/紙衾/乾鮭/狩/猟人/皮羽織/かんじき/狐罠/着ぶくれ/吸入器/きりたんぽ/切干/茎漬/嚔(くさめ・くしゃみ)/鯨汁/葛湯/薬喰/熊突/熊祭/雲腸/毛糸編む/毛皮/毛衣/消炭/巻繊汁/甲羅煮/コート/炬燵/海鼠腸/桜鍋/薩摩汁/三平汁/塩鰹/塩鮭/塩鱈/塩鰹/猪狩/じぶ/ジャケット/絨緞/生姜酒/生姜味噌/生姜湯/障子/消防車/助炭/ショール/塩汁/白炭/成吉思汗鍋/スキー/炭売/炭竈/炭斗/炭焼/咳/雑炊/鋤焼/頭巾/酢茎/スケート/鼈鍋/ストーブ/酢海鼠/炭/炭火/炭俵/石炭/セーター/背蒲団/芹焼/千枚漬/蕎麦掻/蕎麦湯/大根洗/鯛味噌/鯛焼/鷹狩/鷹匠/焚火/竹馬/竹瓮/炭団/狸汁/狸罠/足袋/玉子酒/湯婆/暖房/ちゃんちゃんこ/ちり鍋/綱貫/手足荒る/手焙/出稼ぎ/手袋/胴着/凍死/冬耕/菜洗ふ/納豆/納豆汁/鍋焼/縄飛/煮凝(にこごり)/二重廻し/人参採る/葱鮪/寝酒/根木打/根深汁/ねんねこ/屏風/火桶/氷魚の使/膝掛/日向ぼこ/火の番/火鉢/被布/火吹竹/鰭酒/蒸飯/河豚汁/河豚鍋/柴漬/襖/衾/懐手/冬扇/冬着/冬籠/冬座敷/冬シャツ/冬杣/冬の灯/冬羽織/冬服/冬帽/冬館/フレーム/風呂吹/ペーチカ/頬被/捕鯨/干菜汁/干菜湯/榾/牡丹鍋/ホットドリンク/マスク/松葉酒/マッフ/水洟/味噌搗/三椏蒸す/耳袋/蒸鮓/蒸饅頭/毛布/紅葉鍋/股引/もんぺ/焼薯/焼鳥/闇汁/湯豆腐/雪合羽/雪沓/雪下駄/雪帽子/湯気立/湯ざめ/夜着/夜興引/寄鍋/夜鷹蕎麦/夜咄/ラグビー/煉炭/炉/綿/綿入/綿帽子/藁仕事
動物 あなぐま/甘鯛/あら/鮟鱇/いさざ/鼬/凍鶴/金糸魚/海豚/浮寝鳥/兎/海雀/狼/鴛鴦(おしどり)/鳰/牡蠣/杜父魚/旗魚/方頭魚/竈猫/鴨/羚羊/寒苦鳥/寒鰡/狐/金目鯛/鯨/熊/炬燵猫/笹鳴/ざざ虫/鮫/氷下魚/助宗鱈/ずわい蟹/たいらぎ/鷹/田鳧/狸/だぼ鱚/鱈/鱈場蟹/千鳥/鶴/貂/通し鮎/冬眠/鍋破/海鼠/麕/鰰(はたはた)/隼/氷魚/ひめぢ/鮃/河豚/梟/舞鯛/冬鴎/冬鷺/冬の虻/冬の鶯/冬の蚊/冬の雁/冬の鹿/冬の蝶/冬の鳥/冬の蚤/冬の蠅/冬の蜂/冬の虫/冬の鵙/冬雲雀(ふゆひばり)/鰤/ほうぼう/鮪/まながつお/水鳥/鷦鷯/木菟(みみずく)/都鳥/むささび/眼抜/鷲
花・植物 青木の実/榎茸/晩三吉/落葉/蕪/枯葦/枯茨/枯木/枯菊/枯草/枯桑/枯忍/枯歯朶/枯芝/枯芒/枯蔦/枯蔓/枯葉/枯萩/枯芭蕉/枯蓮/枯芙蓉/枯真菰/枯葎/枯柳/枯山吹/寒菊/寒忍/寒菅/寒芒/寒芹/寒牡丹/木守/朽葉/木の葉/霜枯/セロリ/千両/大根/名の木枯る/名の草枯る/滑子/南天の実/人参/葱/鼠黐の実/白菜/裸木/冬苺/冬柏/冬枯/冬木/冬木の桜/冬木立/冬桜/冬珊瑚/冬山椒/冬薔薇/冬蔦/冬菜/冬の草/冬芽/冬林檎/冬蕨/ブロッコリー/椪柑/松藻/万両/蜜柑/室咲/芽キャベツ/藪柑子/龍の玉/侘助(わびすけ)
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代表的な「三冬」の季語の意味と、俳句例

三冬の季語のうち、「冬の月」とは冷たい空気の中で寂しくも美しく光る月の様子を表しています。

【俳句の例】

  • あら猫のかけ出す軒や冬の月(内藤丈草)
  • 静かなるかしの木はらや冬の月(与謝蕪村)

「霜柱」は、冬の夜に、土の中の水分が地表にしみ出てきて凍った、細い氷の柱の集まりのことです。

【俳句の例】

  • ほきとをる下駄の歯形や霜柱(夏目漱石)
  • 貧乏の庭の広さよ霜柱(高浜虚子)

「竈猫(かまどねこ)」は、なんと灰だらけの猫のこと。各家庭にかまどがあった頃、人が火の始末をした後に、暖を取ろうとかまどの灰の中に猫がもぐりこむことが多かったため、このような言葉ができました。有名な『男はつらいよ』の寅さんの口上「結構毛だらけ猫灰だらけ」の猫も、同じことを指しているのです。

現代ではかまどがある家庭はほとんどないでしょうが、こたつで暖を取る猫を指して「炬燵猫(こたつねこ)」という季語もありますよ。

【俳句の例】

  • 薄目あけ人嫌ひなり炬燵猫(松本たかし)

「虎落笛(もがりぶえ)」とは、激しい冬の風が柵(さく)などに吹きつけた際に出す、笛のような音のことを言います。ちなみに同じく「虎」が入った「虎が雨(とらがあめ)」は陰暦5月28日に降る雨のことで、夏の季語なので混同しないように注意しましょう。この日に曽我祐成が亡くなり、愛人の虎御前(とらごぜん)の悲しみの涙が雨となったといわれています。

【冬の季語の一覧】「初冬(11月7日~12月6日頃)」の季語と俳句例

  • 初冬の季語とは

三冬の中でも、冬の始まりの時期を「初冬(はつふゆ/しょとう)」と言います。初冬が該当するのは、二十四節気の立冬を迎えた11月7日頃から、大雪(たいせつ)が始まる前日である12月6日頃までです。

現代の感覚では秋のイメージが強い「十一月」「七五三」なども、冬の季語となります。

この初冬の期間に使える俳句の季語一覧と、俳句例を紹介します。

「初冬」の季語一覧表

ジャンル 季語の例
時候・行事 亜浪忌/一葉忌/厳島鎮座祭/一蝶忌/一碧楼忌/出雲大社新嘗祭/恵比須講/納の庚申(おさめのこうしん)/御火焚/下元の節/神在祭(かみありまつり)/神送/髪置/神の旅/神の留守/神迎/神等去出神事/感謝祭/神無月(かんなづき)/吉祥院八講/九州場所/勤労感謝の日/空也忌/熊手/契冲忌/興福寺法華会/小春/七五三/十一月/十夜/小雪/尻摘祭/神農祭/聖ザビエル祭/誓文払/宗鑑忌/徂徠忌/待降節/大師講/松明あかし/達磨忌/秩父夜祭/東叡山開山忌/東福寺開山忌/十日夜/栂尾虫供養/豊国忌/酉の市/新嘗祭/波郷忌/芭蕉忌/冬浅し/冬の日/冬めく/牡丹焚火/三島忌/水始めて氷る/箕祭/孟冬の旬/諸手船神事/維摩会/頼朝忌/来山忌/嵐雪忌/立冬/浪化忌
自然 神渡し/凩(こがらし)/時雨/初氷/初時雨/初霜/初冬/冬凪/星の入東風(いりごち)
生活・食べ物 浅漬/亥の子/射場始/馬下げる/案山子揚/風除/蕪引/蕪菁干す/刈上餅/雁木/北窓塞ぐ/口切/車蔵ふ/楮蒸す/木の葉髪/蒟蒻掘る/敷松葉/霜除/棕櫚剥ぐ/生姜掘る/蕎麦刈/大根引/大根干す/沢庵漬/塗炉縁/初猟/冬構/冬の更衣/べつたら市/麦蒔/眼貼/蓮根掘る/炉炭を進る(ろたんをたてまつる)/炉開(ろびらき)
動植物 銀杏落葉/落鱸/帰り花/柿落葉/寒葵/寒竹の子/寒蘭/熊穴に入る/山茶花(さざんか)/柳葉魚(ししゃも)/茶の花/石蕗(つわ)の花/蟷螂枯る/初鱈/柊の花/枇杷の花/冬葵/冬の蝗/冬紅葉/朴落葉(ほおおちば)/麦の芽/紅葉散る/八手の花/綿虫

代表的な「初冬」の季語の意味と、俳句例

「紅葉散る」は、文字通り、辺りを美しく彩った紅葉が散ることで、冬の季語です。「紅葉かつ散る」は、「紅葉しながらも早くも散っていくこと」を表し、こちらは秋の季語のため注意しましょう。

【俳句の例】

  • 山深し樫の葉落ちる紅葉散る(正岡子規)

「芭蕉忌」は俳人・松尾芭蕉が亡くなった旧暦10月12日を指します。なお他の「忌」が付く季語も、その人物の忌日です。

【俳句の例】

  • 芭蕉忌や三人三色の天窓哉(小林一茶)

【冬の季語の一覧】「仲冬(12月7日~1月4日頃)」の季語と俳句例

  • 仲冬の季語とは

三冬の中でも、冬の半ばの時期を「仲冬(ちゅうとう)」と言います。仲冬が該当するのは、二十四節気の大雪(たいせつ)を迎えた12月7日頃から、小寒(しょうかん)が始まる前日である1月4日頃までです。

「クリスマス」「除夜の鐘」「門松立つ」のように、年末年始の行事に関わる言葉も多いです。

この仲冬の期間に使える俳句の季語一覧と、俳句例を紹介します。

「仲冬」の季語一覧表

ジャンル 季語の例
時候・行事 一陽の嘉節/一茶忌/永観忌/大晦日/納めの庚申/小忌衣/神楽(かぐら)/賀状書く/春日若宮御祭/門松立つ/義士会/宮線を添ふ/クリスマス/五節の舞/後日の能/暦の奏/朔旦冬至/霜月/十二月/十二月八日/初春/除夜の鐘/新年/青邨忌/聖胎祭/青畝忌/石鼎忌/漱石忌/大雪/近松忌/智積院論義/鎮魂祭/仲冬/冬至/遠山の霜月祭/豊明節会/寅彦忌/鳴滝の大根焚/子祭(ねまつり)/野坡忌/鉢叩/花祭/日蔭の蔓/鞴祭(ふいごまつり)/報恩講/宗像祭/山の神祭/横光忌/良弁忌
自然 御講凪/初日/初富士/冬日和/名残の空
生活・食べ物 藺植う(いうう)/帯解(おびとき)/顔見世/鏡餅/書初/甘蔗刈(かんしょかり)/社会鍋/除雪車/冬至粥/年忘/流黐/寝正月/年貢納/年末賞与/墓囲ふ/羽子板市/冬休/鰤網/餅/藪巻/雪囲/雪下し/柚子湯
動植物 伊勢海老/落鱚/甘蔗の花/クリスマスローズ/霜月鰈/蝦蛄葉仙人掌(しゃこばさぼてん)/冬至梅/初鰤/ポインセチア

なおこれらのうち、年末にまつわるものは「暮の季語」、新年にまつわるものは「新年の季語」として分類される場合もあります。

代表的な「仲冬」の季語の意味と、俳句例

「冬至」は二十四節気の一つで、太陽の中心が冬至点を通過する日のことです。新暦で12月21日頃にあたります。

北半球では、一年のうち昼が最も短く、夜が最も長くなります。この日は「柚子湯(柚湯)」に入ったり、カボチャを食べたりする風習があります。

【俳句の例】

  • 冬至より来るもいまだ雪の空(立花北枝)
  • 今日はしも柚湯なりける旅の宿(高浜虚子)

「冬至梅」はその名の通り、冬至の頃から咲き始める梅の品種で、白い花をつけます。

【俳句の例】

  • 冬至梅夜は水月の宿りかな(松瀬青々)

皆さんご存じの冬のイベントである「クリスマス」。俳句には日本のものしか入れてはいけないと思われがちですが、元々はキリスト教の文化だったクリスマスも、俳句に取り入れられています。

【俳句の例】

  • 塔の上の鐘動き鳴るクリスマス(松本たかし)
  • クリスマス真つ暗な坂あがりしが(久保田万太郎)

「名残の空」は大みそかの空のことで、過ぎ去った一年を振り返る気持ちで仰ぐ空を意味します。

「初日」は「しょにち」と読むと最初の日のことですが、季語としては「はつひ」と読み、元旦の朝日、つまり初日の出のことを指します。

【俳句の例】

  • 空近くあまりまばゆき初日かな(正岡子規)

【冬の季語の一覧】「晩冬(1月5日~2月3日頃)」の季語と俳句例

  • 晩冬の季語とは

三冬の中でも、冬の終盤の時期を「晩冬(ばんとう)」と言います。晩冬が該当するのは、二十四節気の小寒(しょうかん)を迎えた1月5日頃から、立春が始まる前日である2月3日頃までです。

冬の厳しさを表す言葉の他に、梅の花にまつわるものなど、少しずつ春の訪れを予感させる言葉もあります。

この晩冬の期間に使える俳句の季語一覧と、俳句例を紹介します。

「晩冬」の季語一覧表

ジャンル 季語の例
時候・行事 一月/役行者忌/御潔め祭/乙字忌/鬼走/鬼房忌/覚如忌/寒垢離(かんごり)/関西震災忌/元三会/寒土用/寒念仏/寒の入/寒の内/寒波/黒川能/厳寒/公現祭/五条天神参/才磨忌/実朝忌/三寒四温/しばれる/聖家族祭/世田谷ぼろ市/節分/節分詣/草城忌/大寒/大徳寺開山忌/大呂/団水忌/西本願寺報恩講/年内立春/春近し/春隣/春待つ/晩冬/日脚伸ぶ/久女忌/蕪村忌/冬尽く/冬深し/碧梧桐忌/遍照忌/御髪上/明恵忌/茗荷祭/妙心寺開山忌/和布刈神事(めかりのしんじ)/夕霧忌/吉田清祓/義仲忌/義政忌
自然 凍滝(いてたき)/雨水/御神渡(おみわたり)/風花/寒月/寒の雨/寒の水/寒晴/氷/氷橋/しまき/樹氷/節東風/ダイヤモンドダスト/氷柱(つらら)/波の花/氷海/氷湖/吹雪/冬三日月/霧氷/雪/雪時雨/雪女郎/雪晴/八日吹
生活・食べ物 皸(あかぎれ)/霰餅/大原雑魚寝/鬼餅/悴む(かじかむ)/粥施行/寒灸/寒稽古/寒肥/寒声(かんごえ)/寒復習/寒晒/寒施行(かんせぎょう)/寒卵(かんたまご)/寒厨/寒中水泳/寒造(かんづくり)/寒搗/寒釣/寒天製す/寒乗/寒糊/寒紅/寒見舞/寒餅/葛晒し/氷餅作る/事納/蒟蒻氷らす/採氷/砕氷船/凍豆腐造る/霜焼/新海苔/すが漏り/相撲寒取/雪上車/橇/追儺(ついな)/凍傷/春支度/柊挿す/避寒/胼(ひび)/蒲団/吹雪倒れ/豆撒/丸太曳/水餅/厄払/八目鰻取る/雪遊/雪兎/雪掻/雪棹/雪達磨/雪吊/雪踏/雪見/雪見舞/雪眼/雪眼鏡/雪焼
動植物 凍蝶/潤目鰯(うるめいわし)/寒烏賊/寒独活/寒鴉/寒鯉/寒蜆(かんしじみ)/寒雀/寒鯛/寒鮠/寒鮒/寒木瓜(かんぼけ)/水仙/早梅/白鳥/花野菜/葉牡丹/冬菫/冬椿/冬の梅/冬萌/むつ/八目鰻/雪折/蠟梅

代表的な「晩冬」の季語の意味と、俳句例

晩冬とは二十四節気の小寒と大寒(立春の前の節気)のことなので、「寒」「寒中」「寒の内」などとも言います。

そして「寒の雨」とはこの寒の期間に降る雨のことで、冷えが強くなれば雪に変わるような雨のことを指します。

【俳句の例】

  • 雁騒ぐ鳥羽の田づらや寒の雨(松尾芭蕉)

「風花(かざはな)」とは、晴天時に花びらが舞うように降る雪のこと。はかなく美しい様子が想像できますね。

【俳句の例】

  • 風花や山下りて来る二三人(石田雨圃子)
  • 山国の風花さへも荒けなく(高浜虚子)

「早梅」は、季節よりも早く咲いた梅のことです。春の訪れる気配を運んでくれます。

【俳句の例】

  • 早梅や日はありながら風の中(原石鼎)

俳句で冬の季語を使うのは、基本的に立冬から立春前日まで

  • 冬の季語に関する豆知識

先ほども少し触れましたが、冬の季語を使うのは二十四節気の立冬から立春前日まで、具体的には11月7日頃から2月3日頃までです。

2月と言うとまだまだ寒いイメージですが、暦の上では立春からは春になるため、俳句では冬の季語ではなく春の季語を使います。この時期に俳句を詠む場合は注意が必要です。

ただ最近では季語にこだわらない、自由なスタイルの俳句も広がっています。

俳句の季語は美しい・かっこいいかよりも、心情に即したものを選ぼう

俳句を作る際には、無理になじみのない季語を使う必要はありません。自分の心情や伝えたいことを、最も適切に表現できる言葉を選ぶことが大切です。

伝統行事、天気などにまつわることはもちろん、植物や食べ物など身近なものの季語もたくさんあります。

また季語は実際の人々の生活と共に成熟したり、増えたりしています。今後も新しい文化の定着とともに、冬の季語は増えていくでしょう。