NTTデータ経営研究所は12月18日、「デジタル給与払いの利用意向に関する意識調査」の結果を発表した。調査は、20代~60代の「NTTコム リサーチ」に登録する就業者10,000人を対象にインターネットで行われた。
「デジタル給与払い」認知度は6割、「使いたい」人の割合は?
デジタル給与払いに関する認知度は61%と、比較的高い傾向に。年代別にデジタル給与の利用意向について聞くと、22%が「使いたい(ぜひ+どちらかといえば)」と回答。その割合は年齢が若くなるにつれて高くなり、20代では35%にのぼった。
また、年代別のデジタル給与利用意向の割合を基に、国内においてデジタル給与の受け取り希望人数を推計した結果、全国で約440万人という結果に。中小企業庁によると、大企業と中小企業の労働者人口比は約3対7であり、余力がある大企業の方が早い段階でデジタル給与払いの仕組みを構築することができると考えられることから、大企業に勤務する約130万人がデジタル給与開始当初の見込み利用者になると考えられる。
なお、デジタル給与で毎月受け取りたい平均額は約8.3万円(年間で約100万円)で、年代別平均月収に占めるデジタル給与の割合は平均で22.1%。今回集計されたデジタル給与の利用意向割合と、年代別のデジタル給与受取希望金額、年代別就業人口のデータを基にデジタル給与払いの市場規模を推計した結果、デジタル給与導入初期に銀行口座から流出する(デジタル給与払いとなる)と考えられる金額は約1.3兆円にのぼることが分かった。
デジタル給与の利用意向を地域別に見ると、「九州・沖縄」(26.2%)が最も高く、次いで「四国」(24.9%)、「北陸」(24.4%)で高い傾向に。
デジタル給与の受け取りを希望する理由を聞くと、いずれの地域においても、「銀行口座から現金を出す手間がなくなるため」「銀行口座から現金を出す際の手数料がなくなるため」「決済アプリにチャージする手間がなくなるため」が主で、既存の銀行口座受取に関する不満を解消するためにデジタル給与の利用を検討する傾向が見受けられた。
「デジタル給与」受け取りたい決済サービスは?
次に、どの決済サービスでデジタル給与を受け取りたいか質問をしたところ、「PayPay」が最多の50%。次いで「楽天ペイ」(22.1%)、「d払い」(13.5%)、「au PAY」(9.2%)という結果に。理由を聞くと、「普段使っているため」(45%)、「利用金額の還元等のキャンペーンが期待できるため」(19%)、「運営企業に安心感があるため」(11%)という理由が多くあがった。
一方、デジタル給与を「使いたくない(どちらかといえば+全く)」と答えた人に対して、その理由を聞いたところ、「使うメリットが分からないため」(25%)、「現状の銀行口座受取に不満がないため」(22%)が多く、デジタル給与を利用するメリットが十分に認知されていないことが浮き彫りに。
さらに、「何があればデジタル給与を利用したいと思うか」と聞くと、「ポイント還元などが受けられた場合」(23.1%)が最も多く、次いで僅差で「どんなきっかけがあっても、デジタル給与払いは使わない」(23.0%)、「デジタル給与利用のメリットが明確になった場合」(21.6%)と続いた。
デジタル給与を「使いたくない(どちらかといえば+全く)」と答えた人は78%。そのうち23%が「どんなきっかけがあっても、デジタル給与払いは使わない」と回答していることから、どんなきっかけがあってもデジタル給与を利用しない割合は、全体の約16%であり、日本の就業者の約84%にデジタル給与を利用するポテンシャルが存在することがうかがえる結果となった。