米労働省が12月8日に発表した11月雇用統計の主な結果は、【1】非農業部門雇用者数19.9万人増、【2】失業率3.7%、【3】平均時給34.10ドル(前月比+0.4%、前年比+4.0%)という内容であった。

  • 11月雇用統計まとめ

【1】雇用者数

11月の非農業部門雇用者数は前月比19.9万人増と市場予想の18.5万人増を上回った。教育・医療サービスや娯楽・接客などの業種が雇用の増加をけん引。この結果、米労働市場の基調的な動きを見る上で重視される3カ月平均の雇用者の増加幅は20.4万人となった。これは、前年同月(32.1万人)より少ないものの、コロナ禍前の2019年11月(18.4万人)を上回る水準。

  • 米非農業部門雇用者数の推移

【2】失業率

11月の失業率は3.7%と、前月の3.9%から低下した。前月比での低下は7月以来4カ月ぶり。市場予想は3.9%だった。フルタイムの職を希望しながらパート就業しかできない人なども含めた広義の失業率である不完全雇用率(U-6失業率)も、前月の7.2%から7.0%へと低下した。労働力人口に占める働く意欲を持つ人の割合である労働参加率は62.8%に上昇した(10月62.7%)。

  • 米失業率と労働参加率の推移

【3】平均時給

11月の平均時給は34.10ドルと前月の33.98ドルから0.12ドル増加。伸び率は前月比+0.4%、前年比+4.0%で、市場予想は前月比+0.3%、前年比+4.0%だった。金額ベースで過去最高を再び更新した。ただ、前年比の伸び率は2カ月連続で2021年6月以来の低水準にとどまった。

  • 米平均時給の推移

まとめ

米11月雇用統計は、全米自動車労組(UAW)のストライキが10月末で収束したことによる雇用者の上積み(3~4万人程度)があったと見られるが、それを割り引いても米労働市場の底堅さが確認できる内容であった。今年に入り、上昇気配だった失業率は、11月には労働参加率の上昇にもかかわらず低下した。11月の週平均賃金は前年比の伸び率こそ鈍化したものの、前月比では4カ月ぶりの高い伸びとなった。もっとも、米11月雇用統計は、従前から市場に漂っていた早期利下げ観測を払拭するには至らなかった。それでも、米国の景気後退を巡る懸念は後退させたと見られ、8日のNY市場ではダウ平均株価やS & P500が年初来高値を更新。米債利回りがやや上昇する中、ドルは対円で小幅に上昇した一方、対ユーロでは弱含むなどマチマチの動きであった。