福原遥と水上恒司がW主演を務める映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』が、12月8日に公開された。同作は、汐見夏衛氏による同名小説を、CM界で活躍してきた成田洋一監督が実写化。現代の女子高生・百合が1945年の日本にタイムスリップし、そこで出会った彰に惹かれていく姿を描く。本記事では映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』のあらすじ、キャスト、主題歌を紹介する。

映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』あらすじ

親や学校、すべてにイライラして不満ばかりの高校生・百合(福原遥)。ある日、進路をめぐって母親の幸恵(中嶋朋子)とぶつかったことで家出をし、近所の防空壕跡に逃げ込むが、翌朝に目が覚めるとそこは1945年の6月、戦時中の日本だった。偶然通りかかった彰(水上恒司)に助けられ、軍の指定食堂に連れていかれる百合は、女将のツル(松坂慶子)や勤労学生の千代(出口夏希)、石丸(伊藤健太郎)、板倉(嶋崎斗亜)、寺岡(上川周作)、加藤(小野塚勇人)たちと出会う。日々を過ごす中で、彰に何度も助けられ、その誠実さや優しさに惹かれていく百合だが、彰は特攻隊員で、程なく命がけで戦地に飛ぶ運命だった――。

映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』キャスト・登場人物

加納百合 役・福原遥

1945年にタイムスリップしてしまう高校生。

■福原遥コメント
――今回、百合役のお話が来たとき、どのようなお気持ちでしたか?

まずは原作を読ませていただいて、とても感動して素敵な作品だなと本当に思いました。この物語が2時間という映画になるということで、「どうなるんだろう」「自分にできるかな」という不安な気持ちも感じました。ですが原作が素晴らしいですし、戦争を題材にした作品ですので、しっかりとリアルに演じられるように頑張りたいと思いました。

――原作はSNSで10代の若者を中心に話題となり、「初めて本を読んで泣いた」という声も上がっています。原作を読まれた時の心情はいかがでしたか?

ぐっとくるものがありました。戦争について学校で学んだことはあっても、分からない、感じきれない思いをこの作品から感じることができました。「この時代の方々は色んな思いで生きていたんだな」と考えただけで胸が苦しくなりました。

――特攻隊員・彰を水上恒司さんが演じます。どんな印象を持たれましたか?

共演は今回で2回目です。とてもストイックな方なので、ご一緒させていただけて嬉しいですし、すごく安心感があります。撮影に入る前にたくさんお話をさせていただいて、役について色々と考えることができました。

――公開を楽しみにされている皆さんに一言お願いいたします。

私が演じる百合が、戦争の時代にタイムスリップをして、彰という人に出会って初めての恋をして、愛というものを知ってどう成長していくのか、是非見守っていただければと思います。すごく切なくて、でも本物の愛を感じられる作品になると思いますので、公開を楽しみに待っていてください。


佐久間彰 役・水上恒司

若き特攻隊員。タイムスリップしてきた百合の前を偶然通りかかる。

■水上恒司コメント
――今回、彰役のお話が来たとき、どのようなお気持ちでしたか?

私自身が芝居に興味を持ったきっかけが高校演劇で、その際にいただいた役が特攻隊員の古賀正一という青年でした。また、広島と長崎にも不思議な縁があり、彰が生きた時代には物心ついた時から関心がありました。私の会ったことのある親族や大事な人に戦争の犠牲者がいないため、私は戦争を冷静に見ることができると思っています。そんな私が今回彰という役を生きる意味は、私より下の世代に『戦争』というもの、日本がしてきたこと、世界の戦争の歴史を知るきっかけを与えるためだと思います。

――脚本をお読みになっていかがでしたか?

やはり、役者としてこの台本を更にどこまで大きくできるか、というワクワクに駆られました。

――撮影を無事に終えて、彰を演じた今の感想を教えていただけますか?

撮影の半ば、成田監督に「彰だけ別世界にいるよう」と言われ、ある程度作戦通りにいったのかと思います。彰は人間ではない、自己が一部欠如した愛に溢れた妖怪のようなイメージですので。

――共演は2度目となる福原さんについて、どのような印象を持たれましたか?

とても良い意味で、普通の女の子でした。今回の現場にいた福原遥さんはとても無邪気で、清涼感溢れ、この世の全てを愛しているような、まさに百合のようなお方だと思いました。

――公開を楽しみにされている皆さんに一言お願いいたします。

今作を観た後に勉強をし始めるきっかけになることを望んでいます。日本が受けた暴力も、日本が世界に与えた暴力も。若い世代に両側を知ることを望みます。百合と彰のような健気な人々を破壊するのが『戦争』だということを、今作を通じてお伝えできれば幸いです。


石丸 役・伊藤健太郎

特攻隊員。ムードメーカー的存在。

■伊藤健太郎コメント
元々特攻隊というものに非常に興味があり、このようなお仕事をさせてもらっている上では演じたいなと思っていたジャンルでした。戦争をテーマにした作品が自分にとっても初めての経験なので、すごく嬉しかったです。親戚に特攻隊だった方がおりまして、その方の思いも背負いつつ石丸を演じられたらいいなと思います。石丸は基本的に明るくてムードメーカーという部分があるのですが、だからこそ切なく感じられる部分があり、そこが魅力なのかなと思っています。観てくださっている皆さんに石丸の切なさ、生き様を届けたいです。今の時代にこの映画を届けられるということは、すごく意義のあることなのではないかなと思います。観てくださる方々に色んな感情を与えることができる作品にしていきたいと思っていますので、公開の12月8日を楽しみに待っていただきたいです。


板倉 役・嶋崎斗亜

特攻隊員。生きたいという強い意志を持つ。

■嶋崎斗亜コメント
短い期間の撮影でしたが、無事にやりきることができました。僕が演じた板倉という役は、戦争の時代に生きた18歳の特攻隊員です。最初はとても大人のイメージでしたが、死への怖さ、生きたいという強い意志、守りたいものがしっかりとあり、自分とはかけ離れた存在だと思っていた板倉にとても共感することができました。戦争は残酷で怖いものですが、そのような時代でも楽しむ場所はあったんだと思いました。この作品のそのような瞬間を、百合になった気持ちで映画館で観ていただきたいです。


寺岡 役・上川周作

最年長の特攻隊員。

■上川周作コメント
撮影を無事に終えることができてほっとしています。演じた寺岡は特攻隊員5人の中で最年長という立場ですが、あまり意識せず現場で皆さんと肌を合わせて、セリフを交わしてみて、そこで生まれるものを大切にしようと思いながら演じました。心理的にハードな描写に、追い詰められるかと心配していたのですが、鶴屋食堂に入った時の安心感であったり、野球のシーンは心から笑ったり、思いのほか嬉しかったり楽しかったりする部分を多く感じ、意外な気持ちでした。でも、そこはその時代の方々にとっても真実なのだと思います。映画を観て誰かと話したくなったり、滅多に会えない人や遠くにいる人の声を聴きたくなったり、触れられる距離で今しかできないコミュニケーションを取りたくなる、そんな映画だと思います。是非ご覧ください。


加藤 役・小野塚勇人

特攻隊員で「百合とは正反対のこの時代の常識のような人」。

■小野塚勇人コメント
クランクインから1か月、本当にあっという間の撮影でした。前半から重たいシーンが続いたのですが、特攻隊員5人組の絆というか、日は浅いですが気持ちは繋がっている感覚があり、非常に濃密な時間でした。僕が演じた加藤は、百合とは正反対のこの時代の常識のような人です。その信念の軸がぶれないよう、自分なりに責任を感じながら演じさせていただきました。この作品は百合と彰の恋物語をはじめ、「戦争もの」を超えたメッセージが込められています。こういう時代だからこそ皆さんにご覧いただき、強く生きようとか、もっと周りの人たちを大切にしようとか、そんな当たり前のことが幸せだと気づける作品だと思いますので、是非映画館でご覧ください。


千代 役・出口夏希

石丸に恋心を抱く勤労学生。

■出口夏希コメント
もう少し千代として、この時代にいたかったなという気持ちがありますが、撮影が無事に終わってホッとしています。千代を演じてとても楽しかったですし、初めて戦争の時代背景に触れて、とても貴重な時間を過ごすことができました。福原さんや松坂さんとも沢山お話をする機会があり、キャストの方やスタッフの皆さんにとても優しくしていただいて嬉しかったです。石丸と千代の恋愛模様もありますので、是非楽しみにしていただけたらと思います。


加納幸恵 役・中嶋朋子

百合の母親。スーパーの鮮魚売り場で働いている。

■中嶋朋子コメント
どんなことにも真っ直ぐ、誠心誠意取り組む遥ちゃんを、母として見つめる素敵な時間でした。時代の隔たりを超えて、遥ちゃんと水上くんの純粋な煌めきが、この作品の魅力を、真っ直ぐ皆さんの胸に届けてくれると思います。


ヤマダ 役・坪倉由幸

百合の担任教師。

■坪倉由幸コメント
僕はあまり出番は多くなかったのですが、主演の福原遥さんはもちろん連日撮影で、疲れてるのにもかかわらず待ち時間の間も笑顔で話しかけてくれコミュニケーションを取ってくれてました。そんな福原さんも撮影の終盤、一度だけ一人現場の片隅に座りとても話しかけづらい雰囲気の時がありました。さすがに疲れてるのかな? と思ってたら直後のとてもシリアスなシーンで物凄い演技を見ました。めちゃくちゃ集中してたんですね。カットがかかったらすぐにいつもの笑顔でした。素敵な女優さんです。皆さん是非、福原遥さんを劇場でご覧ください。


ツル 役・松坂慶子

鶴屋食堂の女将。特攻隊員を温かく見守る母親のような存在。

■松坂慶子コメント
汐見夏衛先生の原作を読ませていただいて、真っ直ぐで多感で、喜んだりときめいたり、とてもわくわくと、自分の10 代の頃の感覚が甦ってきました。ツルは、特攻隊の若い方たちにとって母親のような人です。鶴屋食堂で、十分な物資もない中、「特攻隊の方たちにおいしい食事を」という思いで、彼らと想いを一つにして生きている女性を演じさせていただきました。戦争という極限の時のお話ですが、命をかけて一生懸命生きていたこの時代を決して忘れません。この映画の百合ちゃんや彰くんと一緒に過ごすようなお気持ちで、大切な人への愛や真心や夢を感じていただけたらと思います。皆さんどうぞ映画館に足をお運びくださいね。


映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』主題歌

福山雅治「想望」(アミューズ/Polydor Records)

■福山雅治コメント
福原さん水上さんたち二十代の俳優をはじめとする出演者全員が表現する1945年の夏。あの日々に想いを馳せた誠実なお芝居に胸を打たれました。本作は、運命がもたらす喜びと苦しみを教えてくれています。時代という抗えない濁流の中に飲み込まれる一滴の水のように出会った百合と彰の運命。人々の日常を破壊する戦争という行為が、何度も繰り返されてきた時代の果てである現在。その2023年に産み落とされた今作に寄せて「いま、日々を生きていることの幸せ」を歌で描きたいと思いました。毎日帰るべき場所へ帰れることの幸せを。世代や時代を超えて、この映画が多くの人に触れてもらえることを願います。

映画『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』原作

汐見夏衛『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

(C)2023「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」製作委員会