第17回朝日杯将棋オープン戦(主催:朝日新聞社・日本将棋連盟)は二次予選が進行中。12月12日(火)にはGブロックの全3局が関西将棋会館で行われました。このうち、午後に行われた斎藤慎太郎八段―黒田尭之五段の一戦は122手で斎藤八段が勝利。2連勝で第13回以来自身3度目となる本戦入りを決めています。
大一番は同門対決に
午前に行われた対局で斎藤八段は冨田誠也四段に、黒田五段は菅井竜也八段に勝っての2回戦進出。ともに畠山鎮八段門下の両者、勝った方が本戦入りをつかみます。振り駒で先手となった黒田五段は相掛かりの態度を表明。以下スラスラと駒組みが進みます。
黒田五段が雁木に組み替えて持久戦を目指したところで後手の斎藤八段が動きます。左辺の端攻めに手段を求めたのはこのまま局面が落ち着いては損と見た大局観で、ついで角を犠牲に竜を作ったところは斎藤八段の指し手の方針がわかりやすい局面となりました。
終盤に待ち受けたワナ
守勢の時間が続く黒田五段ですが手にした角を自陣に放って徹底抗戦。この粘り強い指し回しが功を奏して盤上は次第に黒田五段ペースに転じます。盤面全体を使った押し引きが続いたのち、斎藤八段が飛車を取って手を渡した局面が終盤のポイントとなりました。
銀を取ってから後手玉に詰めろをかけた黒田五段ですが、結果的にこの手が敗着に。感想戦で斎藤八段が指摘した通り、ここは単に桂成りで詰めろをかけることによって後手に持ち駒の飛車を受けに使わせるのが重要とされました。
豊富な持ち駒を手にした斎藤八段は満を持して反撃に出ます。詰み筋を含みに質駒の銀を外したのが決め手となりました。終局時刻は15時46分(14時対局開始)、最後は自玉の詰みを認めた黒田五段が投了。勝った斎藤八段は4年ぶりとなる本戦入りを決めています。
水留 啓(将棋情報局)
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